「しないこと」を増やし、「すること」を深掘りしよう

ある友人 

私の友人といいますか、かつての上司がいます。現役中は温厚さとクレバーさの両方を重ねもち周囲、特に下から尊敬されていた人です。上には簡単になつかない私でしたが、彼とはよく話しをする関係にありました。しかしそんなに密接とは言えませんでした。彼との距離は定年退職後に縮まりました。仕事や人事、出世といった夾雑物が抜け落ちたからでしょうか。それとも私の存在が組織内では彼とは無色で付き合いやすかったのでしょうか、彼の方からアクセスがあり、一ヶ月に一度飯をご一緒にする関係にあります。

やることを減らせ

話す内容は時事問題や私が今係わっている仕事、そしてかつての組織の話しや彼の趣味である映画の話しが殆どです。よくある会話です。その中で先日喫茶店で彼が話したことが自分に刺さりました。「最近は一日ひとつのことしかしない」というものでした。その時、私が今思ってること、感じてること、やろうとしていることのいくつかが、彼のこの言葉で繋がったような気がしました。「やることを減らせ」です。

好奇心と断る力不足の間で

若い頃の私はひとより好奇心が強く、何にでも顔を突っ込むタイプでした。自分にそう行動させていたからでもあります。一方において人からたのまれごともされやすくそして断れきれないタイプでした。あれもこれも手を出すが結果何も成就できないという結果は必然でした。「断る力」の不足は「人を先に、自分を後にせよ」という親からの教育もありましたが、それも言い訳でどこかで「いい子」である自分を演じたいということだったのでしょう。

宮仕え的人生と不善感の蓄積 

こうしたスタイルで仕事を長年してきました。一言で言えば「宮仕え」的人生。しかしこれでは裏腹にやりたいことをやっていないという「不全感」がつきまとってきました。「宮仕え」は「出世」で不全感は解消できますが自分は「出世」にはまったく興味はなく、こうして不全感だけが降り積もっていったのです。

”転職”→仕事の再定義

 職場が変わったことを契機に自分の生き方、仕事の仕方を考え直しました。今の仕事の練度を上げる、精度を上げる。合わせて常にショートカットも考える。つまりは無駄なことをしないということです。そのためにネットなどのツールは駆使する。これまで私は「余計なこと」を仕事に入れてそれを「選択肢」としてきました。A案からE案まで設定して最後に選択するという考え方です。通常はAからCまでを他者提示してました。可能性の担保ということではいいのですが、時間と手間がかかりすぎる。そういうやり方を潔く捨てました。

 しないことを増やす

しないことを増やしてわかったことは「判断する回数」が減ると言うことです。また残されたすることについて考え、判断し、実行する時間がふえたことです。当たり前のことをいってますね。大組織で多くの部下を持つ人は判断する回数は多いですがその分、部下に振り分けて元来のすべきことを考え、判断し、実行する時間は担保できます。しかし多くの人はそうじゃありません。

選択と集中

つまりしないことを増やすことはすべきことを深掘りするためのやすりのようなものです。ひとことでいうと「選択と集中です」。あまりにもありふれた言葉のためにここまでお読みいただき恐縮です。しかしながら思考を巡らしながら至った結論というのは字面だけでわかったというのとは違いますからね。有難うございました。

最後までお読みいただきありがとうございます。よろしければ「スキ」をお願いします。励みになります。ありがとうございました。

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