ミュージカル『ジョジョの奇妙な冒険』の開幕延期
東宝からの公式発表
リンクと共に全文転載します(2024年2月4日時点)
中止になった公演のチケットを持っている方々が悲しんだり、怒ったり、辛かったりするのは当然のこと
私自身同じ東宝主催の「ナイツテイル-騎士物語-」再演時の梅田芸術劇場公演初日前日に(これが再演のスタートでした)、初日の中止を告げられ呆然とした経験があります。
東京から遠征予定だったので、まずホテルに電話をして事情を話しキャンセルしてもらい、新幹線の予約は当時はコロナ禍だったためキャンセル料は無料だった記憶があります。振替公演などはありませんでしたので、チケット代金の返金のみ、でした。
堂本光一さん&井上芳雄さんという2大スターが主演する公演の再演で、何か月も前からチケットを押さえ(抽選で当選して)何か月も前から仕事の調整をしてホテルや新幹線を押さえ、やっと明日観劇出来る・・・・とワクワクした矢先の公演中止のお告げ。本当に悲しかったです。
そしてその日の夜、堂本光一さんが座長として判断し、インスタライブを行って視聴していた人たち(中止公演のチケットを持っていた観客の多くは視聴していたと思います)に丁寧になぜ初日開幕延期の決断に至ったか?も説明してくれました。これは本当に特別なことだったと考えます。
座長とメインキャストの心からの誠意に感動しましたが、それでも楽しみにしていた観劇がパアになったショックは薄れません。
今回のジョジョの件では、初日開幕延期の具体的&納得できる理由は公式には発表されてないので、当時の私よりも何倍もチケットを持っていた方々はショックだと思いますし、納得も出来ないと思います。
愚痴を言ってもいいし、当然怒ってもいいと思います。その権利があります。
SNSで炎上した原因はさまざまだが、事実を個人がどう解釈するかによって違ってくる
一方で、現時点の話ですが、第一報がX(旧Twitter)で流れた直後、SNSは多くの批判と苦情で溢れました。辛辣な批判をしている人ほど該当公演のチケットを持っていた方々では無いこともポストから分かりました。
そのほとんどが、
【開幕準備に想定以上の時間を要すこととなり、万全の状態で公演をお届けすることが難しい】
この部分を個人的に解釈してその”解釈”に対する批判でした。
多かった批判の文言をあげます。
「納期に間に合わないようなスケジュールを組んだ主催者の責任」
「たとえ多少出来上がりの質に納得いかなくても初日は開けるべき」
??????
公式発表は太字の文言のみで、「万全の状態で公演をお届けすることが難しい」詳細理由は発表されてないことが事実なのですが・・・・
またこの2つの批判がSNS上で独り歩きしてしまい、あたかもそれらが本当の開幕延期の理由だったかの決定事項のようになり、多くの人たちがこの2つの批判内容に基づいて共感や同意を投稿していました。一夜明けた今日はこの作品に出演していない舞台俳優の方々までが「そもそも海外では新作には2か月間以上稽古期間を取るのに日本は1か月でやっている自体無理がある」という投稿を始めて、「ジョジョの開幕延期は稽古期間不足のせいだった」ような印象が蔓延しています。
東宝側は「開幕準備に想定以上の時間を要すこと」の理由は一切公表していない
多くの人たちが「稽古期間不足」と解釈しているのが現時点なのですが、本当にそう解釈して批判することが正しいのか?
例えばもし「開幕準備に想定以上の時間を要すこと」の前に、
【関係者の体調不良により稽古がストップした期間があり、開幕準備に想定以上の時間を要すこと】だったらSNSは今と同じ批判の嵐になったのだろうか?と考えます。いや、おそらくならないでしょう。
”本当の理由の詳細”を公表しないわけもさまざま
この作品はいろいろな所属事務所のキャストが集合しています。公式発表する文言も全てのキャストや事務所の了解を得て発表できます。A事務所がいいですよ、と言ってもB事務所がNGですと言えば特にプライバシーに関することは発表できません。
つまり東宝の公式発表はキャストや作品関係者全員合意のもとで発表されているわけです。
現時点で詳細が分からないまま、SNS上で個人の解釈が独り歩きしている怖さを感じます。
「2/4にもう東京入りしている。だから交通費&宿泊費も全て損害賠償しろ」というポストも
このポストをした方は本当にジョジョのために早めに東京入りしたのかもしれません。海外から来日しているジョジョファンの方もいらっしゃるようです。しかしながら本当にジョジョの観劇のためだけに2日前から東京に遠征してきているのか?を証明できるのでしょうか?
例えば、2/4に東京入り→2/4はディズニーランドに行く→2/5は友人と会食→2/6ジョジョ初日観劇、だったとしたらどうやって「遠征目的はジョジョが主目的である」と言えるのでしょうか?
これは前泊でも同じことが言えます(国内の移動の場合)。初日と翌日は両方夜公演なので、交通機関が動いて居れば当日移動は十分可能です。
2日前の前乗り分の「宿泊代を返せ」は無理があるでしょう。恐らく消費者センターに聞いたとしても同じ答えが返ってくるはずです。
今回なぜこれだけ東宝に批判が集まっているのか?
ここ最近の東宝作品上演に際して、観客としてポジティブに受け取れない事象がいろいろあったという事実があります。引用したポストがその例です。
ジョジョの開幕延期の話以前に観客として納得できないこと、おかしいと思うことがいろいろあり、ジョジョの件をきっかけにその不満がX上で爆発した・・・・・という事象が起こっていると考えます。
東宝はSNS上で溢れている批判の声は真摯に受け止めて欲しい
まずは今回上演中止になったチケットを持っている方々への誠実な対応です。それが最優先事項のはずです。「チケット代金返します」のみでは顧客価値は当然得られないと考えます。
その後でなぜこれだけ該当チケットを持っていたわけでは無い人たちが怒っているのか?について真摯に考えるラストチャンスなのではないかと私は考えます。
特に批判の声が大きいポイントは
「運営側は直前でも上演中止が出来るのに、なぜ観客側は急に観劇出来なくなった場合チケット代金を返却してもらえないのだろうか?」
です。
いろいろな今までの慣習や契約を横に置いてシンプルに考えると、消費者側の購入した商品(観劇するという行為)が未使用(観劇出来ない、しないということ)の場合は返品&返金が出来る、ことが本当は正しいのではないか?ということです。
2020年にコロナ禍が始まって緊急事態宣言の中、開幕時間30分前に劇場の前で上演中止を告げられた観客は帝劇以外にもあちこちで沢山居ました。
「舞台芸術の危機」が騒がれる中、観劇出来なくなったチケットを”演劇を応援するため”に返金を求めずに主催者やキャストに寄付をした観客もたくさん居ました。
観客側は劇場や主催者や作品に誠意を示し、急な上演中止にも耐えて我慢してきたのです。
チケット代金の高騰や、何に使われているのかよくわからない「特別販売手数料」なるものの存在も受け入れながらチケットを買い、劇場に足を運びました。
これまでの諸々の出来事を積極的に受け入れて来たわけでは無い観客にとっては今回のジョジョの開幕初日延期の公式理由は納得出来ないものであり、遂にずっと言いたかったことが噴き出ているというのが観客側の”今”です。
2025年に閉館を迎える帝国劇場にとってこの事態は決して好ましいことでは無い
このジョジョの初日開幕延期の理由が不透明なまま、観客側の怒りと不全感がくすぶったまま閉館を迎えた時、何年後かになるか分からない帝国劇場再開の際はどうなるのでしょうか?
東宝の誠実な、顧客満足を回復出来る対応が待たれます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?