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NODA・MAP 第24回公演『フェイクスピア』WOWOWで久しぶりに鑑賞

2021年5月~6月。”日本一チケットが取れない”と言われている野田地図を初めて観に行ったのがこの『フェイクスピア』でした。
観に行くきっかけになったのは前年2020年2月26日に高橋一生さんが出演していた『天保十二年のシェイクスピア』を観劇したからです。

演劇ファンの方は覚えていらっしゃいますでしょうか?
2020年2月27日。天保~の上演が打ち切られた日。その前日にたった1回、天保~を観劇しました。

2020年2月27日に打ち切られた天保十二年のシェイクスピア

忘れられない高橋一生さんのご挨拶。

2月27日の一生さんの終演後のご挨拶、そのまま載せます。

『本日はご観劇いただきありがとうございました。
本日、皆様にお伝えすることがございます。
ここ最近、世界中で罹患者を増やし続けているコロナウイルス禍を受けての話です。

僕たちの座組も開幕当初からずっとこの状況を懸念しておりました。公演が始まってすぐに、東宝演劇部や日生劇場の方々と、お話をして参りました。早い段階でお客様に注意喚起を促すようなアナウンス、劇場出入り口での消毒等、微々たることですが、僕たちの方でも出来ることを、できる限りのことを尽くしてきたつもりです。

ですが、東宝演劇部、日生劇場がお話になりまして、本日をもって『天保十二年のシェイクスピア』の公演を中止するという発表を受けました。

東京公演の千穐楽、大阪の大千穐楽までは、あと少しでした。キャスト・スタッフ一同最後までなんとか辿り着きたいと思っておりました。今回の決定、僕なりに解釈いたしますと、公演がはじまってから、罹患者が日に日に増えているこの状況下で、自分たちに何ができるのかということを、きっと考えていらっしゃったと思います。最悪の事態を考えたと思います。仮に出演者が罹患していたら、同じ場所にいる誰かがウイルスに罹患していたら、劇場という空間でウイルスをうつし合ってしまうかもしれないことを危惧して、ということもあったと思います。東宝演劇部も日生劇場も苦渋の選択だったんだと思います。こういう結果になってしまったことは、心の底から無念としか言いようがありません。

ここからは僕の主観です。

僕たちがやらせて頂いている「お芝居」というものは、木場さん演じる〈隊長〉が前口上で仰っている通り「趣向」です。「娯楽」といってしまえばそうなのかもしれません。いつの時代も、僕の知り得る限り、多くの場合において、有事の際、芸術やお芝居などはトカゲの尻尾切りのように世の中から捨て置かれてしまうような存在だと思っています。しかし、僕の思いとしては、この「娯楽」というものが人の心というものを豊かにする重要なものなのではないか、と思っています。

娯楽というものが世の中からなくなってしまったら、きっと皆さんの心は、お芝居をさせていただいている僕らも含め、「豊かな心」がどんどん失われていってしまうと思います。

公演中止という判断をせざるを得ない状況にまでなってしまいましたが、僕の考えといたしましては、次また皆さまと「お芝居」の場所で会えること、それはまた〈隊長〉の言っていた通り「想像」をする場所で会う、ということなんです。
僕はこの公演を通して、〈三世次〉という役を通して、もしかしたら世間では本当に悪い奴だと糾弾されてしまうような人も、どうしようもない事情でそうなってしまったのかもしれないと考えられる「想像力」を、改めてこの作品から頂きました。そんな力を共有できたら、豊かな心づくりをし合えたら嬉しいなという思いでもお芝居をして参りました。お芝居の場所はそういった想像力を共有する場所だと思っています。

今日の発表は、非常に残念ではありますが、またこういった場所で、皆さまと想像力を共有できるようになるための措置であると僕は願っています。

本日は本当に、本当に心の底から、皆さまにも、今まで観てくださった全ての方々にも、この場をお借りしてキャスト・スタッフ一同、感謝したいと思います。
本当にありがとうございました。」』

野田地図を観に行こうと思ったきっかけは高橋一生さん

演劇人として一生記憶に残るご挨拶の”ことのは”を残した一生さんが主演のお芝居をまた観たいと思いました。
MY初日。私はどこで、気づいたのか?
『フェイクスピア』が、あの事故のことだったということを。

多分、一生さん、川平さん、伊原さんたちが制服を着てコックピットで並んでいる演出に場面が変わった時だったと思います。
それまで出て来た「ボイスレコーダー」という言葉、「午後6時56分30秒」という時間、今まで聞いていたセリフの数々が頭の中でぐるぐる蘇って、気持ちがとても混乱しました。
そしてキャストのセリフはあの日のボイスレコーダーそのままだったのです。『フェイクスピア』の中では確か21分間の場面だったと思います。

観終わって劇場を後にする時、実はあと2回チケットが取れていたのですが、私はこの演劇をまた観てよいのだろうか?と思いました。
この作品の中で何が起こされたのかを知ってしまった後でまた私は観ることが出来るのだろうか?と。(実は途中で帰って行った観客も居ました。そのくらいの衝撃だったのです)
そして2回目。恐る恐る客席に座り、これから何が起こるのか全てを知った上で観たフェイクスピア。
観劇後、思ったことは、忘れてはいけないのだ、ということでした。
そして伝えられなかった”ことのは”を全身全霊で聴くことが私が客席に座る理由だと思いました。

東京芸術劇場プレイハウスに置かれたジオラマ

今日またWOWOWで放映された『フェイクスピア』を久しぶりに観て、
忘れてはいけないことを胸に刻みました。

野田秀樹さんのチャレンジ。
演劇が肉体に食い込んでくるような作品。
人の創造力は無限大です。
演劇に衝撃を受け生きる意味を学び忘れてはいけないことを心に刻む。

演劇はやっぱり素晴らしい!






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