見出し画像

aiko / カブトムシ の歌詞解釈①

■前置き■

一人称が 「アタシ」 の曲は
身体によく馴染む。

「アタシ」は
甘えたいけど甘え方がわからなくて、
気持ちと反対のことをして
空回りしてしまう不器用なひと。

そんな「アタシ」が創る曲は
同じように不器用な私の耳に、
刺激なくやさしく流れ込んで、
聴く前身体の中にあった言葉にできない何かを、
「アタシ」が言葉にして歌い流してくれる。

気がついたら
私の身体の中は
どこを見渡しても障害物はなにもないほど
す───っと凪が広がっているのです。

「アタシ」同士気が合うようで、
今までたくさんの「アタシ」と交流してきましたが、
その中で
親友である「あたし」のお話をしていきたいと思います。

「あたし」はaikoの「カブトムシ」という曲に出てきます。

カブトムシ」は「あたし」が「あなた」と出逢い、
恋に酔い、愛に目覚めていく2人の恋愛を詠った曲です。

このお話を通して「あたし」が「あなた」に伝えたいことは

どんなに長く一緒に居ても、
どんなに冷めることがあっても、
何度だって「あなた」に酔ってしまう。


恋愛は案外気難しくて、
嬉しいことよりも悲しいことばかり。

でも、

たとえ悲しいことだとしても、

それだってあなたと共に過ごしたしるし。だから嬉しいことも、悲しいことも、全てがあなたとあたしのかけがえのないものなのだ。

ということです。
お話は1番と2番で構成されていますが、
それぞれ対比されており1番は「」、2番は「」をテーマにして上記の伝えたい想いを詠っています。
それを意識して見ていきたいと思います。


■歌詞解釈■

悩んでる身体が熱くて
指先は凍える程冷たい
「どうした はやく言ってしまえ」
そう言われてもあたしは弱い

はじめから解釈めちゃ難しい場面やんけと思いました笑

さて、
ここの解釈で重要になる言葉は
身体』と『指先』の2つです。
まず『身体』について。
「からだ」と読む言葉には
主に「」と「身体」の2つがあります。
同じ読みですが
」と表記した場合は
物質的な肉体 のみを意味し、
身体」と表記した場合は
物質的な肉体 と 心の両方を意味します。
つまり、
悩んでる身体が熱くて」というのは
ただ物質的な体が熱いのではなく
体も心も両方熱い状態を表していると思います。

次に『指先』について。
身体が熱い」のに「指先(だけ)は冷たい」のです。
指先が冷たくなるのは、
寒い時に何モノにも包まれていないからですよね。
もし、手を繋いでいれば指先は冷たくなんてならないはずです。
以上から、ここの部分は、


「手、繋ぎたい」と言いたくて
ドキドキして体も心も火照っている。
頭の中では何回も言ってるのに
口元まで言葉が出て来てるのに
結局言い出せない。
そうやって1人でぐるぐる悩んでても、
結局手を繋げなくて
指先は凍えるほど冷えきってしまった。
一方で「あなた」は、
「あたし」がなんでぐるぐるしているのか
わかっているのに、
わざと「どうした早く言ってしまえ」
なんていじわるをするのです。
言ってしまえばいいってわかっていても、
でも素直に気持ちを言えない、
そんな「あたし」は弱い人間なのだ。

というようになります。
彼女ピッピがおろおろしているのを彼ピッピがいじわるしてるというかんじですね。
つまりイチャコラさっさということです。

ここから
「あたし」は不器用で気持ちを素直に言えない人で、
「あなた」は少しいじわるな人だけどちゃんと「あたし」のことを見ている人だという事がわかります。

あなたが死んでしまって
あたしもどんどん年老いて
想像つかないくらいよ
そう 今が何より大切で…


文の並べ方が「あなたが死んでしまう」ことが先で、
「あたしがどんどん年老いて」しまうことが
後に続くかたちになっているので、
「あなた」が先に死ぬ、
つまり「あたし」よりも歳上であることがわかります。
(病気などで寿命短く先に死んでしまう可能性もありますが、歌詞の中でそれを想起させる文がなかったので歳上であるとしました。)
ここは、

あなたが先に死んでしまって、
そして私もどんどん年老いて…。
そんなはるか先の未来なんて、
今、この瞬間、目の前にいる「あなた」のことで
頭がいっぱいで考える余裕なんてない。

と「あなた」のことを強い想っていることを表しています。
好きな人かできると、
どんなに昨日とか明日に嫌なことがあっても、
目の前の相手のことばっかで
そんなの忘れてしまうんです。

スピード落としたメリーゴーランド
白馬のたてがみが揺れる


どっからメリーゴーランド出てきたねん

さて、
この部分は「メリーゴーランド」がキーワードになります。
「メリーゴーランド」は、和声英語で、
英語では「merry-go-round」と表記されるようです。
「merry」は日本語で「楽しむ・楽しく」という意味で、
「go round」は日本語で「回る」という意味です。
ここから、
「merry-go-round」(メリーゴーランド)は「楽しく回ろうよ」という意味が込められていることがわかります。
このメリーゴーランドの意味を踏まえて、
歌詞を解釈していきます。

メリーゴーランドの"何度も訪れるいくつかの同じ景色"が、"自分の周りでぐるぐると回る"特徴に、
"何度も4つの季節繰り返す"、
つまり人生を重ねているのではないかなと思います。

そして、
白馬」は「白馬の王子様」とよく理想の男を言う時に使われるので、「白馬」は「あなた」のことです。
メリーゴーランドの座席が馬になっていることと重ねているのもありますし、
「あたし」にとって「あなた」はどストライクの人で、
一目惚れしてしまったという事も表しているのもあると思います。

以上から、"白馬"がこの"メリーゴーランド"で回っているつまり、
メリーゴーランドは「あなたの人生だと言うことがわかります。

そして、
スピードを落とし」メリーゴーランド「白馬のたてがみが揺れる」は、
一見メリーゴーランドの白馬がゆっくりと速度を落としている情景を表していますが、
ゆっくりと速度を落とすのは馬に人が乗りやすいようにするためだと思うので、
上記の解釈を含めると、
「あなた」が「あたし」をこのメリーゴーランドに乗せようとしている=人生を共にしようとしているのです。

つまりここの部分は、
「あたし」が「あなた」とお付き合いを始めたことを表現しています。

また、「白馬のたてがみが揺れる」の「揺れる」は、
単純に白馬が周り動いている様子を表しているだけでなく、ここが付き合い始めの部分を踏まえると、
「恋心が"揺れる"」という意味も含んでいるのではないかなと思います。
この表現は2番でも出てきます。

少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ
甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし

身長差のある相手の耳に
自分のおでこを寄せているので、
2人が向かい合ってハグをしていることがわかります。
「かぶとむし」が
木の樹液の"甘い匂い"に"誘われて行ってしまう"ことに重ねて、
「あたし」が
「あなた」の"魅力"にどうしようもなく"惹かれていってしまう"ことを表現しています。

流れ星ながれる
苦しうれし胸の痛み
生涯忘れることはないでしょう

流れ星」がここのキーワードになります。
「かぶとむし」が夜行性であるため、
夜に見える「流れ星」をチョイスしたのだと思います。

「流れ星」は
「消える前に願い事を3回唱えれば願いが叶う」
と言い伝えられています。
なので「流れ星」は「幸せ」を象徴しているのだと思います。
つまり「流れ星」は
「あたし」は今この瞬間あなたと居れて幸せであることを表しています。
でも
「流れ星」は流れてすぐに消えてしまうものですよね。
以上よりここの部分は、

幸福はあっという間に消えてしまう。
苦しい時のほうがいっぱいだ。
でも、
たとえ苦しいことだとしても
それだってあなたと共に過ごしたしるしの1つ。
そう思えば、
この胸の痛みは苦しいけれども
でも痛みすらも嬉しく思えるだろう。
嬉しいことも悲しいことも
全てあなたと過ごしたしるしだから
一生忘れない。

ということです。
夜空は星や光がなくなると果てしなく闇が広がります。
でもどんなに少なくて、どんなに小さい光でも
闇の中で光るからこそ、
よりいっそうその光が美しく見えるのです。
光ばかりだったらその一つ一つの輝きは薄くなってしまいますよね。
だから光も大切だけれども、暗闇だって大切なものなのです。

以上が1番の解釈です。

「手をつなぎたい」と「あなた」に甘えられないほど
弱い「あたし」ですが、
心の中ではつらいことがあっても
プラスに捉えてあなたと一緒に過ごしていこうと
強い決意、想いを抱いていることがわかります。
不器用で普段は気持ちを伝えられないけれども、
歌の中では「あなた」へのひたむきな想いを
不器用なりに精一杯に詠っている「あたし」。

めちゃめちゃ可愛いくないですかこの子🥴

大好きな曲なので
解釈がまとまりきらず長くなってしまいました…
2番の解釈は別の記事に書こうと思います。
もしお気に召していただけましたら、
そちらも読んでみてください。

#カブトムシ #aiko #歌詞解釈 #私の勝負曲

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集