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予測不能な未来が、人生を豊かにする

20代の頃、40代の自分がこんな風に過ごしているなんて、想像の片隅にもなかった。地方に住みながら、複数の仕事を掛け持ちし、子育てをしながら世界を旅する
――こうしたスタイルが「当たり前」になるなんて思ってもみなかった。

20代、いや30代前半まで、自分に合う働き方は「会社員」か「アルバイト」しか選択肢はないと思っていたし、仕事があるのは都会に限られると考えていた。都会でフルタイムで働き、朝から晩まで一生懸命に仕事をこなし、しっかりとした収入を得ることが当然の道のように感じていた。

さらに、母が専業主婦だったということもあり、女性にとっては結婚や出産で自然とキャリアをセーブするものだという固定観念もあった。「母親」になることと「仕事を続けること」は同時にできないとさえ思い込んでいた。

新卒での就職先はCM編集の仕事。当時は映像の世界に夢中になっていた。新しいプロジェクトごとに創造性を試され、アイデアを形にする喜びは格別だった。仕事仲間とのチームワークも素晴らしく、夜遅くもしくは会社に寝泊りしてスタジオに残って仕事をしたり、独特の緊張感が漂う代理店・クライアントとの試写時間も好きだった。しかし、業界全体が激務で、女性が長く続けるのは厳しい環境でもあった。20代の今は良いがこの先ずっと続けていくのは女性でもヒゲを生やす覚悟がないと難しいと感じるようになった。

一度はキャリアから離れることを考え、26歳で留学の道を選んだ。ロンドンで学んだ1年半は、異文化に触れ、自分自身と向き合う貴重な時間だった。世界から集まる留学生やロンドナーは多様な価値観を持ち、仕事や生活に対して独自のスタンスを貫いている姿を見て、「働き方に正解はない」という考え方を少しずつ理解するようになった。

留学時。日本にいたら出会うことのない国の友達ができた


その後日本に戻り、29歳で再就職した際には「今度こそ一生懸命働き、安定した生活を手に入れよう」と意気込んでいた。しかし、気づけば馬車馬のように働き、独身であればこのままで良いものの家族を持ちたいと思う理想のライフスタイルとはかけ離れた生活になっていた。労働はお金の対価であると信じてやまなかったのだ。

社畜化していたけれど(笑)たくさんの評価してもらえる機会や挑戦はさせてもらえた会社員時代


想像の枠を超えた働き方

そんな私が今、40代にして鹿児島という地方で、小さな子供と一緒に暮らしながら、自由度の高い働き方と生き方を楽しんでいるのは、あの頃の私には信じられないような未来になっている。今、私にとっての仕事はただの収入源ではなく、自分を表現する手段であり、人生を豊かにする一つの手段になった。

今年だけで地球二周半に相当する距離を移動し、訪れた国は12カ国を超える(世界一周をしているわけではないけれど)。旅をしながら仕事をし、場所に縛られない働き方を実現している自分がいる。ある日はデザインの仕事をし、またある日はカメラマンとして写真を撮り、別の日には講師としてデザインについてやSNS、コミュニティについてを教える。日によって仕事内容は変わるけれど、どれも自分が愛してやまない仕事になった。数年前には、母親になると「旅行なんて当分お預け」と思っていたが、実際にはむしろ頻繁に世界を飛び回り、さまざまな文化や人々に触れている。これまでに訪れた国は、50カ国以上になった。

左:イタリアでの地球クラブ
右:ジョージアでのデザイン講師


旅先での出会いや体験は、仕事にも、そして生き方にも刺激を与えてくれている。例えば、ある国で見たアートや街の色彩からインスピレーションを得て、デザインの仕事に活かすこともあれば、異文化で感じた価値観を旅の企画やコンサルタントとしてのコンテンツに取り入れることもある。

現在、デザインやブランディングコンサル、カメラマン、講師業、コミュニティマネージャーや運営、旅の企画、代理店業など、いくつもの仕事を掛け持ちしている。どの仕事も私にとってはそれぞれに異なる意味があり、それが相互に影響し合い、独自の働き方やスタイルを築き上げている。

デザインの仕事では常に新しいアイデアを生み出す挑戦があるし、ブランディングコンサルではクライアントの想いを形にする手助けをする喜びがある。それぞれの仕事が独自の役割を持ち、繋がり合って今の自分のスタイルを支えている。

「年齢はただの数字」という実感

年齢を重ねるにつれ、若さよりも経験が唯一無二の武器になると感じるようになった。20代の頃は「若いことこそが自分の最大の価値」と感じていたが、40代の今、むしろ年齢を重ねたことで得られた知見や体験が自分の強みとなっている。デザインの仕事においてもお客様の想いや社会の流れを汲み取り、視覚的に伝える力を持つことが重要だと感じている。

また、クライアント様の70代の方と接することも多く、彼らの姿を見ていると「年齢なんてただの数字に過ぎない」ということが実感として理解できる。むしろ、年齢を重ねるごとに自由度は増し、選択肢が広がることを教えてくれる人生の先輩たちにいつも刺激をもらっている。

彼らは年齢や固定観念に縛られることなく、自分の好きな道を歩んでいる。そうした人たちとの交流は、未来に対してよりポジティブな視点を持たせてくれている。

かつて「若さに勝るものはない」と思っていたし、今でもそういった場面はもちろんある。ただし「経験は若さを超える力になる」ことも実感している。以前の会社で培ったマネジメント能力や、立場上いくども謝罪に行き鍛えられたメンタルは今も活きている。ビジネスシーンで培ったタフさは、今の複業スタイルの土台となっているし、クライアント様との信頼関係を築くうえでも重要な要素になっている。年齢とともに価値観が変わり、20代には見えなかった広がりを感じるようになった。

大好きな人生の先輩であるクライアント様たち

未来はまだ、これから広がっていく

今、私は都会を離れ、自分の好きな仕事や働く場所、生き方を自由に選んでいる。そして、その未来がこれからもまだまだ広がっていくという実感がある。年齢や場所に縛られない生き方、働き方の可能性は、誰にでも手が届くもの。経験が自分の中で増えるごとに、今後の未来がさらに未知で自由に溢れていくことを、心から楽しみにしている。

自分の過去を振り返ると、20代や30代での選択が今の自分にどれだけ影響を与えているのかがわかる。しかしそれと同時に、これからの未来にも無限の可能性が広がっていることを感じている。そして、この生き方や働き方を見た人たちが、「年齢や場所にとらわれない生き方をしたい」と思ってもらえたら、それこそが私にとっての最大の喜びだ。経験という厚みが積み重なることで仕事も人間味もさらに深みを増していくわけだから。

若い頃の自分が思い描いていた人生と違っていても、決して「不正解」ではないというのにも気付けるはず。むしろ、今が一番楽しいし、誰にでも想像を超える未来は待っている。そしてその未来は、自分次第でどんな色にも染められるのだと信じてやまない。




writer :Jamy

世界観コーディネーター兼 地球を楽しむ旅人ライター。子供が1歳になったタイミングで起業。50カ国以上の渡航歴を持ち、旅を通して、役割にとらわれがちな女性の自己開放を促す、旅コミュニティ・地球クラブを主宰。合言葉は「地球のどこかで待ち合わせ」。面白くて愛せる働き方応援。
広島出身 鹿児島在住




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