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後世に伝えるべきOsumi a.k.a.Big-Oのクラシック3選

1月24日にOsumi a.k.a.Big-O氏が亡くなられた。

Osumi氏の作品は後世に語り継がれるべきだ。

ということで、中でも僕の大好きな3曲を紹介したいと思う。

シャカゾンビはとにかくカッコよかった。

シャカゾンビがハーフのカーゴパンツを着ればみんなカーゴパンツを買ったし、ニットのベストを着ればみんながベストを身に纏った。

シャカゾンビはヒップホップ黎明期を語る上で欠かせない。

なんと言っても90年代のヒップホップカルチャーは凄まじいものがあった。

感度の高い人を中心にムーブメントが起こっていき、頭をドレッドにしてダンスやラップを始め、みんながB-BOYファッションに身を包んだ。

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コレは当時の僕。

みんながメソッドマンに憧れて、そのNYのカルチャーを日本に持ってきたシャカゾンビやMURO氏がラッパーやDJの道しるべとなった。

ダンサーやラッパーの登竜門的なイベントも数多く行われていた。

休みの日はStill Diggin'に行ってB-BOYファッションとミックステープを買い、CISCOとManhattan Recordでレコードを漁った。

頭にバンダナを巻いて、木を咥え、みんながヘッドホンにショックウェーブを引っ掛けてシャカゾンビやMUROを必死で追いかけた。

TimberlandとGuessで渋谷を彷徨ったのだ。

Das EFXが黒の革ジャンを着ればみんながそれを欲しがった。

Smif-N-Wessunが迷彩のセットアップを着れば、みんなが迷彩に身を包んだ。

そういったNYスタイルのファッションの日本版のアイコンがシャカゾンビやMURO氏だった。

だけど、みんながラッパーになれないこと・DJになれないことも現実としてあった。

世の中のレール(社会)から外れてしまうことが「怖い」という風潮がまだ根強く残っていたからだ。

もちろん、スキルの壁もあったが。

だから、みんなが彼らに夢を乗せた。

託した。

90年代は本当に夢のような時間だった。

よく、ロックは○○年代だよと言う人がいる。

その気持ちがわからないわけでもないが、僕はそれは一種の思考停止と思っている。

新しいものが生まれてどんどん進化・深化していくのだ。

だから、僕は今でも新しいヒップホップを聴く。

舐達磨のBUDS MONTAGEとかSIMONのどうってことねぇとかヘビロテだ。

純粋にカルチャーが発展してくれて嬉しいとも思う。

ただ、回顧を懐古するのはいかがなものかとアンチテーゼしておきながらなんだが、それでも90年代はやっぱり「特別」だったと言わざるを得ない。

そのくらいみんなが熱狂したし、すごい時代だった。

このジャパニーズヒップホップカルチャーの礎を築いた重要人物の1人、Osumi氏が亡くなられたので、彼の功績を後世に伝える意味も含めてクラシックを3曲紹介したい。

Shakkazombie 「手のひらを太陽に」

これはすごく衝撃的な曲だった。

ジャパニーズヒップホップの5本指に入る曲です。

「証言」と「銀河探検鬼」とこのシャカゾンビの「手にひらを太陽に」は世界と戦えるレベルに昇華させたビートだと思う。

最高傑作。

Osumi氏のODBばりのフローはとにかく衝撃的だった。

「日本語でもこんなにカッコよくできるんだ」とめちゃめちゃ興奮したことを今でも覚えている。

verse3からIGNITION MAN(HIDE BOWIE)のビブラートが強めになっているところも鳥肌モンです。

B-BOYファッションもシャカゾンビはすごくカッコよかった。

ツッチーくんがオオスミに「新しいMC、決まったよ」って報告して。「どんな人ですか?」ってなって。それで僕、アフロだったんですけども。「ほら、いつもライブハウスでアフロですごい暴れてる人、いるじゃない?」ってツッチーくんが言ったらオオスミが「あの人だけは嫌です」と言ったっていう……(笑)。

これはシャカゾンビのMCが決まったときのエピソード。

当時アフロで大暴れしていたIGNITION MAN(HIDE BOWIE)に決まったと言ったら「あの人だけは嫌だ」と言ったという。

ここからもOsumi氏の繊細で優しい人柄が読み取れる。

IGNITION MAN(HIDE BOWIE)からOsumi氏のことが語られているので、ぜひ下記をチェックして欲しい。


Osumi a.k.a. Big-o 「No Limit」

この曲は、Prod:DJ Watarai。

DJ Wataraiの本気を感じる曲です。

DJ Watarai氏の曲紹介も別でしたいと思う。

Osumi氏とWatarai氏の相性の良さを感じさせた1曲。

女性コーラスがループされる哀愁漂うビートです。

女性コーラスが消えてまた復活するところの入り方なんかはもうWatarai氏のセンスとしか言いようがない。

Osumi氏は別名Big-Oというだけあって体はめちゃめちゃでかいですが、リリックはすごく繊細だと思う。

傷つきやすいハートなんだけど、いつだって希望は忘れないといったような解釈ができるものが多いと感じます。

正しくリリシストですね。

この曲を推す人はほとんどいませんが、後世に引き継がれるべきビートです。

1998年の作品だけど、23年経った今聞いても全く色褪せないクラシックです。

奇しくも僕の誕生日に他界された。

RIP。

INDOPEPSYCHICS feat. OSUMI, DEJJA 「100万光年の優しさが注がれる限り」 

これはDJ KENSEI remixのピアノのループが秀逸。

このビートからもわかるように、Osumi氏はすごく繊細だということがわかる。

100万光年の優しさが注がれる限りという曲名は、Osumi氏のように繊細な方じゃないと付けられない。

少なくとも、Osumi氏のようなラッパーは今は見当たらない。

すでに、20年に1人の逸材ということは証明された。

おそらく、30年に1人、50年に1人の逸材だったということになっていくと思う。

空は青くなきゃいけないし、俺たちは強くなきゃいけないんだ。

彼のメッセージはとてつもなく深い。

R.I.P.



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