第34回「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」について(シリーズ3)

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーションは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。

今回は、本年6月よりお伝えしている令和5年3月14日に提出された第211回国会における金融庁関連法律案「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」についてのシリーズ3となります「企業開示等」についてです。
ご存知の通り、令和5年6月21日に閉幕した通常国会にて、今回の法律案は成立されませんでしたが、継続審議となり、今秋の臨時国会での成立を目指すことになっています。
したがって、金融商品取引業者は、法律案の課題点を理解したうえで、今回の改正点に対する適切な対応の実施準備が必要となります。

今回は、「企業開示等」に関して、その課題点および改正内容について、正しい理解と、今後必要となる対応について確認したいと思います。

法律案の説明資料において以下のように「課題」と「対応」が記されています。

【企業開示等】
「企業開示制度の見直し」
【課題】
〇企業経営や投資家の投資判断においてサステナビリティを重視する動きが見られる中、企業開示において、中長期的な企業価値に関連する非財務情報の重要性が増大
〇金融商品取引法に基づく四半期報告書と取引所規則に基づく四半期決算短信には重複がみられ、コスト削減や効率化の観点から見直すべきとの指摘

【対応】
四半期開示の見直し(開示の効率化)
〇中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けた企業開示制度の見直しを実施。
・人的資本を含むサステナビリティ情報等の開示の充実[府令改正事項]
・企業開示の効率化の観点から、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止
〇上場企業の第1・第3四半期については、金融商品取引法上の四半期報告書を廃止し、取引所規則に基づく四半期決算短信に「一本化」
(注1)当面は、四半期決算短信を一律義務付け。 今後、適時開示の充実の状況等を見ながら、 任意化について継続的に検討
(注2)虚偽記載に対しては、取引所のエンフォース メントをより適切に実施
(※)四半期報告書制度の廃止に関連する規定は、令和6年4月1日から施行し(附則第1条第3号)、この施行の日より前に開始した四半期については従前の例による(附則第2条第1号)
(※※)改正案の施行日(令和6年4月1日)は、今秋の臨時国会で成立された場合、後ずれする可能性がありますので、成立時の施行日の確認をお願いします。
〇見直し後の半期報告書について
• 現行の第2四半期報告書と同程度の記載内容
• 監査人によるレビュー
• 提出期限は決算後45日以内
〇半期報告書及び臨時報告書は、法令上の開示情報としての重要性が高まることから、公衆縦覧期間(各3年間・1年間)を5年間(課徴金の除斥期間と同様)へ延長

―具体的に必要となる対応―
今秋の臨時国会において本改正案が可決されますと、令和6年4月1日から施行(経過措置あり)より、上場企業の金融商品取引法上の四半期報告書は廃止され、取引所の規則に基づく四半期決算短信に一本化されることとなります。その代わりに、金融商品取引法に基づく半期報告書の提出が義務付けられることになります。
四半期報告書の廃止、半期報告書の義務付け、公衆縦覧期間の延長は 令和6年4月1日から施行(上記※※・経過措置あり)される予定ですので、アナリストや運用をご担当されている方々は、注意が必要です。

―関連改正法案-(「金融商品取引法等の一部を改正する法律案要綱からの抜粋」)
「四半期報告書制度廃止」
⑴ 上場会社に対する期中の業績等の開示について、現在の3ヶ月ごとの開示から6ヶ月ごとの開示に頻度を落とし(四半期報告書制度の廃止)、上場会社に対して、四半期報告書に代わり半期報告書の提出を義務付けることとし、四半期 報告書の提出に関する規定を削除することとする。(金融商品取引法第5条、第24条、第24条の4の7、第24条の4の8、第24条の5、第25条、第27条、第27条の30の2、第27条の30の6、第57条の2、第166条関係)
⑵ 参照方式の届出書、発行登録書類及び発行登録追補書類、半期報告書及び半期報告書の確認書並びに臨時報告書(これらの訂正書類も含む。)の公衆縦覧期間を5年に延長することとする。(金融商品取引法第25条関係)

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