第27回「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の実施計画について」

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーションは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。

昨年令和4年5月よりシリーズ1~シリーズ7まで約半年間に渡るシリーズでございましたが「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」について、態勢整備を行うための一助となりますように、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で対応を求めている事項について、シリーズ毎にトピックをお伝えして参りました。
今回は、設定された期限(2024年3月)まで残すところ1年余りとなった本年令和5年初めにおいて、各金融機関等において態勢整備の実行を図るために講じるべく具体的な実施計画についてのお話です。

■「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」)の改正までの振り返り
ガイドラインの策定・公表から3年が経過し、金融機関等において態勢整備への意識が浸透してきたことから、より実効的な態勢整備を行うよう、今般、ガイドラインで対応を求めている事項に対する完了期限(2024年3月)を設け、態勢を整備することが、各業態団体を通じて要請されました。
※今回の改正では、今まで「対応が期待される事項」であった事項が多数「対応が求められる事項」に格上げされ、2019年4月改正時よりも大幅な改正となっています。

■シリーズ1~7(概略)の振り返り
令和4年6月 シリーズ1
●「対応が期待される事項」から「対応が求められる事項」・経営陣の関与
令和4年7月 シリーズ2
●「リスクベース・アプローチとリスクの特定」
令和4年8月 シリーズ3
●「リスクの評価」
令和4年9月 シリーズ4
●「リスクの低減およびリスクの低減においての「顧客管理」(カスタマー・デュー・ディリジェンス:CDD)」
令和4年10月 シリーズ5
●「リスクの低減においての取引モニタリング・フィルタリングとITシステムの活用」
令和4年11月 シリーズ6
●「管理態勢とその有効性の検証・見直しにおいてのマネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)」
令和4年12月 シリーズ7
●「職員の確保、育成等」

■マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の実施計画
下記の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で対応を求めている事事項について、経営陣は、態勢整備が確保できるよう、各営業店を含む様々な部門の職員がその役割に応じた専門性・適合性等に基づき具体的な実施計画を策定し、的確に確実に実施計画が実施されるよう、また実施状況について把握しなければなりません。

金融機関等において、より実効的な態勢整備を行うこと目的として、実際に求められる取組み(例)を以下の通りお伝えします。
金融機関等においては、差し迫る期限(2024年3月)までに求められている態勢整備に不備が無いよう確実に実施するためのご参考にしていただけば幸いです。
また、以下に記載しております金融機関等に求められる取組み(例)は、ひとつの取組み例としてお伝えしており、実際に取組むべく事項については、広範囲に詳細に求められています。
従いまして、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で対応が求められている事項について実際に取組みをされる際には、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」はもとより、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」について、自ら必ず確認し、的確に実施されるよう実施計画を策定されることを推奨いたします。


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金融機関等は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(以下、「犯収法」)上の「特定事業者」として、その適用範囲に応じ遵守する必要がある事項を改めて認識し、今回のガイドラインの改正により示された「具体的に対応が求められる事項」についてはミニマム・スタンダードとして、期限である2024年3月までに態勢整備を行わなければなりません。

時々変化する国際情勢や、これに呼応して進化する他の金融機関等の対応に強く影響を受けるマネロン・テロ資金供与対策において、こうした動向やリスクの変化等に機動的に対応し、マネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を有効性のある形で維持していくことが求められています。

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■「対応が求められる事項」への対応が不十分と認められた場合には、
「ガイドライン」の要請事項に係る各金融機関の取組状況について、検査やモニタリングを通じて確認していくほか、管理態勢に問題があると認められる場合には、報告徴求・業務改善命令などの法令に基づく行政対応を含む対応を実施する旨が記載されています。

このメルマガをお読みになられていらっしゃる金融機関の方々におかれましては、本稿が貴社の取締役会や経営会議などの場における「対応が求められる事項」に必要な態勢整備を行うための協議のご参考にしていただけるようでしたら幸いです。

当社は、国際金融都市を目指している東京都に協力して、金融商品取引業に関する登録申請手続き及び金融商品取引業者等の内部管理体制強化等に関する国内外の方々のご相談に対応させていただいております。ご心配な点等ございましたら、是非当社までお問合せ下さい。

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