第43回「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案」の概要について(シリーズ2)

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーションは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
 
今回は、先月4月にお伝えしている令和6年3月15日に国会に提出された「金融商品取引法及び投資信託及び投資法人に関する法律の一部を改正する法律案」概要についてのシリーズ2となります「投資運用業者の参入促進」についてです。
 
―「投資運用業者の参入促進」における法改正の背景についてー
●現行の金商法において投資運用業を行うには金融商品取引業者として登録する必要があり、現在の投資運用業では、投資信託の運用や投資一任契約を受けて運用を行う場合には、運用部門(企画・立案、投資実行)ならびにミドル・バックオフィス業務(コンプライアンス、計理業務等)の人材を確保する必要があり、その負担が大きいものとなっている。
●また、現行の金商法では、投資運用業においてファンドの運営機能(企画・立案)に特化し、運用部分を分業することは不可となっている。投資運用業者は、すべての運用財産につき、その運用に係る権限の全部を委託してはならないとされている(金商法第42条の3第2項、投資信託及び投資法人に関する法律第12条第1項にも投資信託委託会社について同様の規定がある。)。
 
―投資運用業者の参入促進に向けての取組み―
上記課題について、今回の改正法律案によって行われる主な取組みは以下の2点です。
1.ミドル・バックオフィス業務に係る業の創設と投資運用業の登録要件緩和
●任意的登録制の創設
投資運用関係業務受託業(※1)を行う者は、登録を受けることが「できる」とされており(金商法改正案第66条の71) 、この登録を受けた者(投資運用関係業務受託業者)については誠実義務、忠実義務、業務管理体制の整備義務、禁止行為その他の業務に関する規制が適用される。
●金融商品取引業者等に関する規定の整備(投資運用業の登録要件緩和)
投資運用業を行う者は、投資運用関係業務(※2)のうちミドル・バックオフィス業務を投資運用関係業務受託者に対して委託する場合には、投資運用業の登録要件のうち人的要件が緩和される。
【金商法改正案第29条の4第1項第1号の2等】
●投資運用業者が金銭等の預託を受けない場合は、資本金要件を引下げ(5000万円→例えば1000万円)[政令改正事項]。そのため、投資運用業の登録時に預託の有無の記載を義務付ける。
【金商法改正案第29条の2第1項第5号の2】。
※1投資運用関係業務受託業(金商法改正案第2条第44項)):
投資運用業者からミドル・バックオフィス業務(法令遵守、計理等)を受託する事業者の任意の登録制度を創設。行為規制(善管注意 義務等)等を適用し、当局により直接モニタリングが実施される。
※2「投資運用関係業務」(金商法改正案第2条第42項):
投資運用業等(①投資運用業、②適格機関投資家等特例業務における運用行為、③海外投資家等特例業務における運用行為)に関して行う(中略)業務
 
2.運用(投資実行)権限の全部委託を可能とする。
●投資運用業者が、ファンドの運営機能(企画・立案)に特化し、様々な運用業者への運用(投資実行)を委託できるよう、運用(投資実行)権限の全部委託を可能とする。
【金商法改正案第42条の3第2項、投信法改正案第12条等】
●運用(投資実行)権限を委託する場合には、委託元(ファンドの企画・立案をする投資運用業者)が運用の対象や方針を決定し、委託先を管理することを義務付ける。
【金商法改正案第42条の3第2項】
 
今回は、改正案の概要についての「投資運用業者の参入促進」についてお伝えしましたが、その他の項目に関する制度・整備の取組みの概要、ならびに国会の審議の経過について、引き続き紹介を行って参りたいとい思います。
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