第20回「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPフィナンシャル・ソリューションズは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
今回は令和3年4月28日付で、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限を2024年3月に設定」されたことが金融庁のホームページに公表されたことについてのお話です。
具体的には、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」で対応を求めている事項について、各金融機関が対応計画を策定し、適切な進捗管理の下、2024 年3月末までに着実な態勢整備の実行を図ることを求めるものとなっています。
■「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の改定までの振り返り
ガドラインの策定・公表から3年が経過し、金融機関等において態勢整備への意識が浸透してきたことから、より実効的な態勢整備を行うよう、今般、ガイドラインで対応を求めている事項に対する完了期限(2024年3月)を設け、態勢を整備することが、各業態団体を通じて要請されました。
・2018年2月「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の公表
・2019年4月に一部改正。
・2020年12月11日から2021年1月22日にかけて公表し、広く意見の募集が行われ137件の寄せられたコメントを踏まえ、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」の趣旨をより明確化するために改正が行われました。

今回の改正では、今まで「対応が期待される事項」であった事項が多数「対応が求められる事項」に格上げされ、2019年4月改正時よりも大幅な改正となっています。

―改正のポイントー
「対応が期待される事項」から「対応が求められる事項」へ
今回改定された「マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン」についての整理
「対応が求められる事項」の中で、今回のメルマガでは下記の事項について確認を行って参ります。

●経営陣の関与について
「主体的(かつ積極的)な関与」から「主導的に関与」「主導性を発揮」に変更
マネロン・テロ資金供与対策における経営陣の関与は、経営陣自らが実施する主体となるというよりも、関連部門を適切に支援し、導く(主導する)ことが求められるものであり、その趣旨を明確化するために表現を変更したものとなりました。

―経営陣の関与に関する改正内容―
・Ⅰ-1 マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る基本的考え方
金融機関等においては、こうしたマネロン・テロ資金供与対策が、実際の顧客との接点である営業部門において有効に機能するよう、経営陣が主導的に関与して地域・部門横断的なガバナンスを確立した上で、同ガバナンスの下、関係部署が継続的に取組みを進める必要がある。
・Ⅰ-2 金融機関に求められる取り組み
(2) 経営陣の関与・理解
前記の管理態勢の構築に当たっては、マネロン・テロ資金供与リスクが経営上重大なリスクになり得るとの理解の下、関連部門等に対応を委ねるので はなく、経営陣が、管理のためのガバナンス確立等について主導性を発揮するなど、マネロン・テロ資金供与対策に関与することが不可欠である。
・Ⅱ-2 リスクの特定・評価・低減
(1)リスクの特定
(略) 包括的かつ具体的な検証に当たっては、社内の情報を一元的に集約し、全 社的な視点で分析を行うことが必要となることから、マネロン・テロ資金供与対 策に係る主管部門に対応を一任するのではなく、経営陣が、主導性を発揮して関係する全ての部門の連携・協働を確保する必要がある。
・【対応が求められる事項】
⑤ マネロン・テロ資金供与リスクについて、経営陣が、主導性を発揮して関係する全ての部門の連携・協働を確保した上で、リスクの包括的かつ具体的な検証を行うこと。
・Ⅲ-2 経営陣の関与・理解
(略)
こうしたことを踏まえ、金融機関等の経営陣においては、自らのマネロン・テロ 資金供与対策に主導的に関与し、対応の高度化を推進していく必要がある。
・【対応が求められる事項】
①~⑤(略)
(新設)
⑥ マネロン・テロ資金供与対策の方針・手続・計画等の策定及び見直しについて、経営陣が承認するとともに、その実施状況についても、経営陣が、定期的及び随時に報告を受け、必要に応じて議論を行うなど、経営陣の主導的な関与があること

■「対応が求められる事項」への対応が不十分と認められた場合
「マネロン・テロ資金供与対策に関するガイドライン」の要請事項に係る各金融機関の取組状況について、検査やモニタリングを通じて確認していくほか、管理態勢に問題があると認められる場合には、報告徴求・業務改善命令などの法令に基づく行政対応を含む対応を実施する旨が記載されています。

このメルマガをお読みになられていらっしゃる金融機関の方々におかれましては、本稿が貴社の取締役会や経営会議などの場における協議のご参考になるようでしたら幸いです。
引き続き、皆様方の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備」に向けた一助となりますように、シリーズでこのトピックを掲載させていただく予定です。

当社は、国際金融都市を目指している東京都に協力して、金融商品取引業に関する登録申請手続き及び金融商品取引業者等の内部管理体制強化等に関する国内外の方々のご相談に対応させていただいております。ご心配な点等ございましたら、是非当社までお問合せ下さい。


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