第25回「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」―シリーズ6

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーションは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
今回は、先般5月にお伝えしている令和3年4月28日付で、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限を2024年3月に設定」されたことが金融庁のホームページに公表されたことについての、シリーズ6となる「管理態勢とその有効性の検証・見直しにおいてのマネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)」のお話です。

■「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」)の改正までの振り返り
ガイドラインの策定・公表から3年が経過し、金融機関等において態勢整備への意識が浸透してきたことから、より実効的な態勢整備を行うよう、今般、ガイドラインで対応を求めている事項に対する完了期限(2024年3月)を設け、態勢を整備することが、各業態団体を通じて要請されました。

・2018年2月 ガイドラインの公表
・2019年4月に一部改正。
・2020年12月11日から2021年1月22日にかけて公表し、広く意見の募集が行われ137件の寄せられたコメントを踏まえ、ガイドラインの趣旨をより明確化するために改正が行われました。

今回の改正では、今まで「対応が期待される事項」であった事項が多数「対応が求められる事項」に格上げされ、2019年4月改正時よりも大幅な改正となっています。

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マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し(PDCA)
について
金融機関等において、実効的なマネロン・テロ資金供与リスク管理態勢を確立し、有効に機能させるためには、マネロン・テロ資金供与対策の方針・手続・計画等を整備し、全社的に共有を図ることが必要である。こうした方針・手続・計画等は、金融機関等におけるリスクに見合った対応の実効性を確保するためのものであり、これらの方針・手続・計画等の中で、自らの規模・特性等を踏まえながら、リスクの特定・評価・低減という一連の対応を明確に位置付ける必要があると記されています。

また、金融機関等においては、こうした方針・手続・計画等の実効性を検証し、不断に見直しを行っていくことが求められること、加えて、リスクの特定・評価・低減の各プロセスの実効性を検証するためには、マネロン・テロ資金供与対策に係る担当役員や主管部門における定期的な監視のほか、内部監査部門における各部門・営業店等へのマネロン・テロ資金供与対策の浸透状況の確認等を行うことが重要であるとされています。こうした検証の結果、各プロセスにおける措置や管理態勢に更なる改善の余 地がないか改めて検討し、必要に応じリスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等や管理態勢等につき、改善を図っていくことが求められています。

マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等の策定・実施・検証・見直し (PDCA)
に際し、具体的に対応が求められる事項として、以下のように記載されています。

①自らの業務分野・営業地域やマネロン・テロ資金供与に関する動向等を踏まえたリスクを勘案し、マネロン・テロ資金供与対策に係る方針・手続・計画等を策定し、顧客の受入れに関する方針、顧客管理、記録保存等の具体的な手法等について、全社的に整合的な形で、これを適用すること
②リスクの特定・評価・低減のための方針・手続・計画等が実効的なものとなっているか、各部門・営業店等への監視等も踏まえつつ、不断に検証を行うこと
③リスク低減措置を講じてもなお残存するリスクを評価し、当該リスクの許容度や金融機関等への影響に応じて、取扱いの有無を含めたリスク低減措置の改善や更なる措置の実施の必要性につき検討すること
④管理部門及び内部監査部門において、例えば、内部情報、内部通報、職員からの質疑等の情報も踏まえて、リスク管理態勢の実効性の検証を行うこと
⑤前記実効性の検証の結果、更なる改善の余地が認められる場合には、リスクの特定・評価・低減のための手法自体も含めた方針・手続・計画等や管理態勢等についても必要に応じ見直しを行うこと

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■「対応が求められる事項」への対応が不十分と認められた場合には、
「ガイドライン」の要請事項に係る各金融機関の取組状況について、検査やモニタリングを通じて確認していくほか、管理態勢に問題があると認められる場合には、報告徴求・業務改善命令などの法令に基づく行政対応を含む対応を実施する旨が記載されています。

このメルマガをお読みになられていらっしゃる金融機関の方々におかれましては、本稿が貴社の取締役会や経営会議などの場における協議のご参考にしていただけるようでしたら幸いです。
引き続き、皆様方の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備」に向けた一助となりますように、シリーズでこのトピックを掲載させていただく予定です。

当社は、国際金融都市を目指している東京都に協力して、金融商品取引業に関する登録申請手続き及び金融商品取引業者等の内部管理体制強化等に関する国内外の方々のご相談に対応させていただいております。ご心配な点等ございましたら、是非当社までお問合せ下さい。

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