第22回「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限設定について」―シリーズ3

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPビジネス・イノベーションは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。
今回は、先般5月にお伝えしている令和3年4月28日付で、「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備の期限を2024年3月に設定」されたことが金融庁のホームページに公表されたことについての、シリーズ3となる「リスクの評価について」のお話です。

■「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(以下、「ガイドライン」)の改正までの振り返り
ガイドラインの策定・公表から3年が経過し、金融機関等において態勢整備への意識が浸透してきたことから、より実効的な態勢整備を行うよう、今般、ガイドラインで対応を求めている事項に対する完了期限(2024年3月)を設け、態勢を整備することが、各業態団体を通じて要請されました。

・2018年2月「ガイドライン」の公表
・2019年4月に一部改正。
・2020年12月11日から2021年1月22日にかけて公表し、広く意見の募集が行われ137件の寄せられたコメントを踏まえ、「ガイドライン」の趣旨をより明確化するために改正が行われました。

今回の改正では、今まで「対応が期待される事項」であった事項が多数「対応が求められる事項」に格上げされ、2019年4月改正時よりも大幅な改正となっています。
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リスクの評価について
リスクの評価は、リスクの特定において特定されたマネロン・テロ資金供与リスクの自らへの影響度等を評価し、低減措置等の具体的な対応を基礎付け、 リスクベース・アプローチの土台となるものであり、自らの事業環境・経営 戦略の特徴を反映したものである必要があるとされています。加えて、リスクの評価は、リスク低減措置の具体的内容と資源配分の見直し等の検証に直結するものであることから、経営陣の関与の下で、全社的に実施することが必要であると記されています。

リスクの評価に際し、具体的に「対応が求められる事項」として、以下のように記載されています。

① リスク評価の全社的方針や具体的手法を確立し、当該方針や手法に則って、具体的かつ客観的な根拠に基づき、リスクの特定において特定されたマネロン・テロ資金供与リスクについて、評価を実施 すること
② 上記①の評価を行うに当たっては、疑わしい取引の届出の状況等の分析等を考慮すること
③ 疑わしい取引の届出の状況等の分析に当たっては、届出件数等の定量情報について、部門・拠点・届出要因・検知シナリオ別等に行うなど、 リスクの評価に活用すること
④ リスク評価の結果を文書化し、これを踏まえてリスク低減に必要な措置等を検討すること
⑤ 定期的にリスク評価を見直すほか、マネロン・テロ資金供与対策に重大な影響を及ぼし得る新たな事象の発生等に際し、必要に応じ、リスク評価を見直すこと
⑥ リスク評価の過程に経営陣が関与し、リスク評価の結果を経営陣が承認すること
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■「対応が求められる事項」への対応が不十分と認められた場合には、
「ガイドライン」の要請事項に係る各金融機関の取組状況について、検査やモニタリングを通じて確認していくほか、管理態勢に問題があると認められる場合には、報告徴求・業務改善命令などの法令に基づく行政対応を含む対応を実施する旨が記載されています。

このメルマガをお読みになられていらっしゃる金融機関の方々におかれましては、本稿が貴社の取締役会や経営会議などの場における協議のご参考にしていただけるようでしたら幸いです。
引き続き、皆様方の「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に係る態勢整備」に向けた一助となりますように、シリーズでこのトピックを掲載させていただく予定です。

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