第13回「投資助言業者のマネロン・テロ資金供与対策について」

株式会社日本資産運用基盤グループのJAMPフィナンシャル・ソリューションズは、金融商品取引業者様及びその登録を目指しておられる方々向けに、当局の動向などをまとめた「JAMPコンプラ・メルマガ」を発信しています。今回は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令」(以下、「犯収法施行令」)の定める、投資助言業者の特定取引に該当する取引を行う場合の取引時確認についてのお話です。

犯収法施行令第7条第1項第1号ヌによれば、「当該契約により金銭の預託を受けない場合」は「特定取引」には該当せず、したがって金銭の預託を受けない投資助言業者において、犯収法上は「取引時確認」 の義務は課せられていないものと理解する一方で、金融庁は「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(令和3年2月19日)の適用対象を「犯収法第2条第2項に規定する特定事業者のうち、金融庁所管の事業者を対象とする。」(6頁)としています。

また、金融庁の「マネロン・テロ資金供与対策ガイドラインに関するよくあるご質問」(令和3年3月26日)2021_amlcft_guidelines_FAQ.pdf (fsa.go.jp)では、「取引時確認」に関し、「リスクベース・アプローチによる顧客管理においては、犯収法等の法令に定める取引時確認は、最低限の対応ですので、それに加えて、何らかの追加的措置を講ずることは必然的にあり得るものと考えます。いずれにせよ、各金融機関等には、その規模や特性等に応じて、本ガイドラインの趣旨に沿った適切な対応が求められています。」(53頁)とあります。

投資助言業者は犯収法上の特定事業者であり、特定取引に該当する取引を行う場合には、取引時確認を行う必要があります。マネロンガイドラインにおいても、特定取引に該当しない取引に対して取引時確認を求めてはおりませんが、一方で、金融機関等におけるマネロン・テロ資金供与リスクは犯収法の定めに限らず、個別に検証される必要があります。
投資助言業者が直接金銭の預託を受けない場合でも、顧客や提携先等を通じてマネロン・テロ資金供与リスクに晒されることは考えられると、金融当局はみています。

投資助言業者も含めた金融商品取引業者が直面するリスクについては、「犯罪収益移転危険度調査書」や「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」等を確認し、自らの業務・サービス等がマネロン・テロ資金供与に利用されないよう、リスク評価に基づきリスクベースで管理態勢を整備することが求められています。

―根拠関連条文および金融庁ガイドライン等―
・犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令第7条第1項第1号ヌ
金融商品取引法第二十八条第三項各号又は第四項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約の締結(当該契約により金銭の預託を受けない場合を除く。)
・犯罪による収益の移転防止に関する法律第2条第2項
この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる者をいう。
(この法律において規定する特定事業者のうち、金融庁所管の事業者を対象)
・「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン」(令和3年2月19日)2021_amlcft_guidelines.pdf (fsa.go.jp)
・「マネー・ローンダリング及びテロ資金 供与対策の現状と課題」
20191021amlcft-1.pdf (fsa.go.jp)
・「犯罪収益移転危険度調査書」risk021105.pdf (npa.go.jp)

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