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健康的に歳をとる人の腸はどうなっているのか

日々医療や健康の情報に接しているじゃみまるですが、自分自身はどうなのかと聞かれると自信を持って「健康です」とはとても言えません。

せめて、食べるものだけでも健康的にしたいがために、せっせとオートミールを食べたりオリーブオイルにこだわってみたり。
果たして効果があるのでしょうか。

そもそも「腸活」という言葉は日本語にしかなく、英語だと腸をケアすること(Intestinal care)なのかもしれないし、Diet が食事がもたらすさまざまな効果を含んだ概念なのでDiet なのかもしれない。

一方で、最近医学や生物学では、腸内細菌叢の研究が進み、腸の持っている秘めたる機能が明らかになりつつあります。

例えば、栄養素を吸収・代謝・排泄する際、腸内細菌がとても重要な役割を果たしていることは知られています。

いくつかの種類の腸内細菌によってできた代謝産物は、抗炎症効果を持っています。腸自身が炎症を起こさないようにするメカニズムです。

さらに、脳腸相関という機能もあります。これは、脳と腸が自律神経やホルモン、サイトカインなどを介して密接につながっているというものです。
ストレスでお腹が痛くなる、という現象もこの反応です。

そして、今ホットな話題になっているのが、加齢との関係です。
▶︎どんな腸内細菌が病気と関連しているのか
▶︎どんな腸内細菌叢だと長生きできるのか
▶︎よいとされる腸内細菌叢を作るには何を食べたらいいのか
 (あるいは食べるだけでいいのか)

ここで、「健康的な加齢に影響する腸内細菌叢」という論文が発表されましたのでかいつまんで紹介します。

腸内細菌叢の加齢に伴う変化は、個人の生活様式と外部環境の両方から影響を受け多様です。面白いことに、一緒に生活していると共通する腸内細菌を持っていることや、多くのコミュニティに加わるような社会的ネットワークの大きい人はより多様な腸内細菌を示すそうです。当然、高齢者は社会的活動が少なくなってきた人ほど、変化が乏しくよい状態を保つことが難しそうです。

健康に歳を重ねている人は、酪酸を産生する能力が高いことがわかっています。
酪酸は、
▶︎炎症
▶︎インスリン抵抗性
▶︎認知機能の低下
を抑制するとても重要な物質です。
マウスの実験では糞便細菌叢の移植(トランスロケーション)によって、老化したマウスの衰退症状を減らすことができるとわかっています。ヒトでも腸疾患の治療法として行われることがありますが、抗加齢を目的としてではありません。

さて、不健康な加齢になってしまった場合、手の施しようはないのかというと、そうでもないようです。
この論文で紹介されているパイロットスタディによると、ポリフェノールおよびプレバイオティクス(オリゴ糖など)、一部のプロバイオティクスの介入によって腸管透過性の亢進を抑制して、その結果炎症、フレイル、インスリン抵抗性などが改善したとのこと。
腸内細菌叢の変化もしっかり現れていました。
フリーズドライのブルーベリー粉末を6週間摂取することで、腸内細菌叢のアルファ多様性が増加し、酪酸産生菌群が増加するなど抗酸化活性が確認されたとのことです。

他にも「厚岸草(アッケシソウ)」の効果についてや、地中海ダイエットによる腸内細菌叢の変化について詳しく記されています。

これらの結果から、食事による介入には一定の効果が期待できるものの、本人のもともとの腸内細菌の構成、恒常性のバランスの取り方の個人差などによって大きく差が出そうだとも注意されています。

また、世界中の人が健康的な食事をまともに摂ることができない現実についても述べられていました。一部の人が健康になるために高度な技術を使っていくことを決して薦めているわけではないのです。

というわけで、自分でできる範囲で今日も自分の健康にとってよいことを少しずつしていきたいと思います。
写真は、京都のおばんざいプレート(これがおかわり自由だなんてステキすぎる)です。


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