「造形ツール」とは
多摩美術大学統合デザイン学科3年の道木ジェイミーと申します。
この記事は学校の課題についての考察を整理、公表する為に書いたものです。
課題文はこれです
なんらかの身体的な行為を介して、コンピューター空間上に「かたち」を生み出す、新しい造形/描画ツールを企画・制作してください
これが今、私が取り組んでる課題のテーマです。
今回はこの中でも特に「造形/描写ツール」について考えを深めたいと思います。
造形ツールとは
まず造形ツールとはなんでしょうか
それは「造形」する「ツール」です
では「造形」とはなんでしょうか
「ツール」とはなんでしょうか
一つ一つ考えて行きます
「造形」とは
造形とはなんでしょうか
形のあるものを作り上げること。 -Weblio
つまり形を生みだすということでしょうか。
バラバラの粘土で立方体を作ることは造形な気がしますよね。
ではバラバラの粘土をそのままバラバラのまま違う場所に移動するのは造形でしょうか?違う気がしますよね。
二つとも最終成果物(立方体とバラバラ)は違っていてもおこなった行為は粘土の移動です。
この二つの行為の差は「意思を持って特定の形を作る為に粘土を移動している」ではないでしょうか。
大事なのは意思があるということです。
ツールとは
ツールとはなんでしょうか
直訳すると道具ですね。道具とは。
物を作ったり、仕事をはかどらせたりするのに使う器具の総称。 -デジタル大辞泉
つまり何かをする時に、使うと助けてくれる物のことですね。
物を分割したい時にに手で引きちぎるより、正確で力を入れずにすむ「ナイフ」であったり、
物理的に遠くにいる人に何かを伝達する時に、その人の所に歩いて行って口で伝えるより、便利で早い「手紙」や「メール」のことですね。
ツールにも向き不向きはあります。
牛一頭を解体するのに、家庭用包丁という道具は適していいないですよね
二人掛かりで扱うめちゃデカい切断機見たいのが適しているかもしれません。
コミュニケーションに置いて、メールは遠い人に伝達する道具として非常い優れています。でもチャットや電話が優れている場合もあります。
道具とは、人がコントロールしたいことを助けるものではないでしょうか。
まっすぐに肉を切りたい為に、まっすぐなナイフで切ります。
まっすぐ切りたいのに、ギザギザのナイフで切ってしまってはそれはふさわしい道具ではありません。
速く相手に伝えたいならばチャットという道具が適した道具ですし、しっかりカッチリ伝えたいならメールという道具が適しています。
では造形ツールとは何でしょう!
二つの意味を組み合わせると「意思を持って造形することをコントロールしてくれるモノ」ですね。
例えるならば、Adobe illustratorの四角形ツールや線ツール、など。
引く線をコントロールにして、正確無比なまっすぐなものにしたい時に線ツールは適しています。
言葉だとあんまわからないですね・・
Processingで試しに作ったものを例に挙げてみます。
シンプルに線を引いています
これは造形してますよね。
Processingは造形ツールになっています。
これはどうでしょう。
形を作っているにはいますが、マウスに連動していなく、勝手に作られている感じがします。意思を強く感じられません。
これは造形ツールとは言い難い。
マウス通りに線は引かれていますが、大きさがランダムですね。
これは造形ツールと言っていいか難しいところです・・
線の場所はコントロールできて、大きさはコントロールできてないですね。
大きさが違ってもそれを狙っている意思があるなら造形ツールな気がします。
これも難しいところですね
置かれている玉の位置はランダムですが、何かしらの意思を感じるような
でも100%コントロールしているわけではない。
これはコントロール率80%ぐらいでしょうか?
最後の二つは、完璧にコントロールされておらず、「ほどほどの作られている」感がありますね。
これは「融けるデザイン」にて渡邊恵太氏が言う「自己帰属感の低下からくる感触」ではないだろうか。
100%同期している最初の線を引く映像では、確実に自分が操作している、造形している感覚が得られている。
しかし、最後の二つの映像は自分が造形してる感覚がありながらも、「作られてる」感覚がある。それによって「線の太さ違くてモッサリしている」だったり「球がいっぱいあって綺麗」などの、客観的な感情が浮かんでくる。
線を引くときに客観的な感情は生まれない。
このように造形ツールの中でもいろんな幅がある。
ここで今までのことをまとめて図にしてみた。
この図のように「コントロール下でものを作ること」が造形ツールの条件だと私は思う。
ものをコントロールするだけではそれはツールだし、適当に生成さ荒れるだけでは、ただの造形である。
二つが合致したときに、そのツールは「造形ツール」になる。
面白い造形ツールとは?
造形ツールとは何かを長々と解説させてもらった。
ではここから、僕が造形ツールの中でも「面白い造形ツール」とは何かについてまた考察したいと思う。
造形ツールの中で感じる面白さ、とはなんだろうか。
だが「面白い」という事をさらに追求していったら、めちゃくちゃ時間が必要になる。
今回は、僕が考えてきた「造形ツール」の定義の文脈に沿って、「面白さ」を追求していきたい。
先ほどの図の中でも造形ツールと呼べるものの域だけズームした。
この中でも大きく4つのレベルに分けることができるだろう。
・造形レベル・コントロールレベル共に低い
・造形レベルが高くコントロールレベルが低い
・造形レベルが低くコントロールレベルが高い
・造形レベル・コントロールレベル共に高い
このレベルの指標は、現実世界の便利さは競争などに置いてレベルが高い方が正義だが、こと面白さに関しては関係ない。
高度なレベルというのはここではオリジナリティや特徴がある、といった言葉に置き換えられるだろう。
例えば特徴がある造形が低いレベルのコントロールとして「侵食」が一つあげられる
他にはないオリジナリティがあり、かつコントロールしずらい。
もしずっと波を当て続けて岩を造形するおもちゃ(造形ツール)をつくったら、あの表の中でもこのポジションになるだろう。
高度なコントロール下での低いレベル(意思)の造形行為としては先ほどいった自己帰属感が低いペンなどがあげられるだろう
お絵かきアプリなどでApple Pencilの丸い先端から生まれる、流動的な筆のようなツールはこのポジションだろう。
高度なコントロール下での高度な造形行為は例えば、3Dプリンターがそうなのではないだろうか。
非常に正確なコントロールで3Dプリンターならではの形を生み出している。
大雑把ではあるがマトリックスの両極端のポジションのものを意識的に探せば、独特な面白さ、面白い造形ツールができるのではないか。
夜に情熱と若いパワーによって書きなぐったような記事を書いてしまった。
粗だらけだし、間違っている部分も多々ある気がする。
しかし個人的にこれはいわゆるたたき台のようなものになって欲しく、ここからさらに発展していって、より「造形」「ツール」「造形ツール」について多くの方と探求していけたらと思う。10日後が最終講評だけど。
多くの批評と感想、意見をお待ちしております。
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