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おすすめ本まとめ

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北欧史、ヴァイキング関連のおすすめ本を紹介します
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ヴァイキング関連書籍で最初に読みたい3冊

北欧神話関連本、サガの翻訳本の紹介は以前記事にしたので、今回はヴァイキング関連書籍(社会史、文化史など)のうち最初に読みたい3冊を紹介します。 熊野 聰 著 小澤 実 (解説・文献解題)『ヴァイキングの歴史 実力と友情の社会』創元社 2017年 日本におけるヴァイキングの社会史研究での第一人者、熊野聰氏の著書は数多く出版されているが、すべてはこの本から始まっていると言っていいだろう。 私は10代半ばの頃、旧版の『北の農民ヴァイキング』を愛読していた。 ヴァイキングといえ

おすすめ本③『ドイツ誕生 神聖ローマ帝国初代皇帝オットー1世』

講談社現代新書の11月新刊です。 帯に書かれていた、「ヨーロッパ随一の強国は、ひとりの男によって作り上げられた。戦いに明け暮れ欧州を席巻した苛烈な王の物語」の一文に惹かれて読んでみることに。 オットー1世(912-973)は、イングランドのアゼルスタン王(895-939)、ノルウェーのホーコン善王(c.920-c.961)と同時代の東フランク王。 アゼルスタン王の異母妹エドギィス(エドギタ)が最初の正式な妻でした。ホーコン王との接点はありませんが、10世紀の周辺諸国の事情を

アイスランド・サガの翻訳書案内

1970年代以降、大変ありがたいことに数多くのサガが北欧中世史や北欧古典の研究者によって日本語に翻訳されている。 最近では、北欧神話を題材にしたゲームや、アニメ化もされている人気漫画『ヴィンランド・サガ』(幸村誠著)、海外ドラマ『VIKINGS 海の勇者たち』などから北欧の古典であるエッダ・サガに興味を持たれた方も多くいらっしゃることと思う。 散文作品である〈サガ〉は、主にノルウェー王の事績を扱う〈王のサガ〉、アイスランド移住者たちを主人公にした〈アイスランド人のサガ〉、伝

北欧神話関連のおすすめ書籍

ギリシア神話ほどではありませんが、北欧神話の本も日本でたくさん出版されています。 新しい本は殆ど読んでいないので、発行年は古いのですが、私のお勧めはこの2冊。 ① 谷口幸男訳 『エッダ ―古代北欧歌謡集』 新潮社 1973年 ② 菅原邦城著 『北欧神話』 東京書籍 1984年 ①は日本における北欧古典紹介の第一人者である谷口幸男先生による北欧神話の原典『エッダ』の翻訳書。 韻文の古エッダの全訳と解説、散文のエッダ(スノッリのエッダ)から「ギュルヴィたぶらかし」を収録。

おすすめ本② サクソ・グラマティクス著(谷口幸男訳)『デンマーク人の事績』(GESTA DANORUM)

"GESTA DANORUM" は、12~13世紀デンマークの歴史家サクソ・グラマティクスがラテン語で書いたデンマークの歴史書です。 以前から読んでみたいと思っていたのですが、ついノルウェーやアイスランドを優先してしまうので、なかなか手を出せずにいました。 原書は1~16巻までありますが、日本語訳は1~9巻までとなっています。 1~9巻は、伝説的な内容を含む先史時代を扱っています。 神話の時代から、9世紀のゴルム王までの異教時代です。 ちなみに10~13巻は、ハラルド青歯王

おすすめ本① 阪西紀子著『北欧中世史の研究』刀水書房

昨年(2021年)急逝された阪西紀子氏の著作がまとめられた1冊。 阪西氏は中世北欧(主にアイスランド)の社会史を研究されていました。CiNii で検索すると、興味深い論文が沢山ヒットします。 私も幾つかチェックしていて、国立国会図書館の複写サービスを利用するか、(関西在住なので)涼しくなったら関西館に行こうかな……と考えていました。 そんな中、歴史書で有名な刀水書房から業績をまとめた書籍が刊行。 早くに亡くなられたのは残念でなりませんが(阪西氏は1962年生まれ)、貴重な