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ヴァイキング関連まとめ

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考古学発見からの考察、その他
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#北欧

北欧の竜はドラゴンではなく蛇?

映画 『ノースマン 導かれし復讐者』 のコンセプトブック(洋書)に載っていた「ヴォルスンガ・サガ」(ドイツのジークフリート伝説の北欧版。シグルズ伝説とも)のタペストリーに、シグルズがファーヴニル(竜)を討伐する場面があります。 穴に隠れ、下から心臓を一突きにするという伝承に忠実なのも良いのですが、何よりもファーヴニルがいわゆる西洋らしい翼を持つ竜ではなく、ヨルムンガンドを想像させるデザインになっています。 ヨルムンガンドはミズガルズ蛇。北欧神話に登場する、世界をぐるりと取

ヴァイキング関連書籍で最初に読みたい3冊

北欧神話関連本、サガの翻訳本の紹介は以前記事にしたので、今回はヴァイキング関連書籍(社会史、文化史など)のうち最初に読みたい3冊を紹介します。 熊野 聰 著 小澤 実 (解説・文献解題)『ヴァイキングの歴史 実力と友情の社会』創元社 2017年 日本におけるヴァイキングの社会史研究での第一人者、熊野聰氏の著書は数多く出版されているが、すべてはこの本から始まっていると言っていいだろう。 私は10代半ばの頃、旧版の『北の農民ヴァイキング』を愛読していた。 ヴァイキングといえ

ソルビョルンの娘グズリーズの旅

11世紀前半を生きたグズリーズは、アイスランド西部ラウガルブレッカに住んでいた裕福な農民ソルビョルンの娘でした。 グズリーズはおそらく、当時もっとも長い距離を旅した女性であったと考えられます。 彼女については、1300年代に書かれたアイスランドのサガ『赤毛のエイリークのサガ』、『グリーンランド人のサガ』に詳しい記述があります。 幸村誠氏の人気漫画『ヴィンランド・サガ』の主人公トルフィンの妻グズリーズは、彼女がモデルになっていると思われます。 幸村先生が描かれる、明るくて魅力