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ヴァイキング関連まとめ

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考古学発見からの考察、その他
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#西洋史

ヴァイキング時代の典型的な家屋について

ヴァイキング時代(793年頃~1066年頃)のスカンディナヴィアでの典型的な家屋には下記の3つがあります。 10世紀のスカンディナヴィアでは上記の図7.8 Cが主流となっていたようです(アングロ・サクソン地域では6世紀初めから標準型)。Bは納屋、作業場など。 リンホルム・ホイエはヴァイキング時代の墓地遺跡(船型墳墓の集合地)です。 柱に施された細やかな彫刻が見事な広間は、王または侯(ヤール)の館にあったものでしょうか。 ヴァイキング時代を舞台にした海外ドラマ『VIKI

ヴァイキング関連書籍で最初に読みたい3冊

北欧神話関連本、サガの翻訳本の紹介は以前記事にしたので、今回はヴァイキング関連書籍(社会史、文化史など)のうち最初に読みたい3冊を紹介します。 熊野 聰 著 小澤 実 (解説・文献解題)『ヴァイキングの歴史 実力と友情の社会』創元社 2017年 日本におけるヴァイキングの社会史研究での第一人者、熊野聰氏の著書は数多く出版されているが、すべてはこの本から始まっていると言っていいだろう。 私は10代半ばの頃、旧版の『北の農民ヴァイキング』を愛読していた。 ヴァイキングといえ

ソルビョルンの娘グズリーズの旅

11世紀前半を生きたグズリーズは、アイスランド西部ラウガルブレッカに住んでいた裕福な農民ソルビョルンの娘でした。 グズリーズはおそらく、当時もっとも長い距離を旅した女性であったと考えられます。 彼女については、1300年代に書かれたアイスランドのサガ『赤毛のエイリークのサガ』、『グリーンランド人のサガ』に詳しい記述があります。 幸村誠氏の人気漫画『ヴィンランド・サガ』の主人公トルフィンの妻グズリーズは、彼女がモデルになっていると思われます。 幸村先生が描かれる、明るくて魅力

楯の乙女 ― ヴァイキングの女戦士

2017年9月、スウェーデンで発掘されたヴァイキングの上級戦士(指揮官クラス)墓に埋葬されていた人物が最新のDNA鑑定の結果、女性であったことが判りました。 最初に発掘されたのは1880年代で、当時は有力な首長クラスの男性の墓だと思われていたようです。 場所はヴァイキングの交易都市ビルカ、時代は10世紀中頃。 剣、斧、弓矢などの武器と2頭の馬、ゲーム盤と駒 (ネファタヴルでしょう) がともに埋められていました。 彼女は神話に登場するヴァルキュリア(ヴァルキューレ)のよ

ヴァリャーギ(ビザンツの北欧人親衛隊)とルーン石碑

北欧人は、ヴァイキング時代以前からすでに東方へ進出していましたが、コンスタンティノープル(現在のイスタンブール)に滞在したスヴェア人(スウェーデン人)の存在が初めて知れるのは、839年のこと。 ビザンツ皇帝がフランク王国に派遣した使節団の護衛を務めていたようです。 その後、有名なところでは、ノルウェーのハラルド苛烈王 (1015頃~1066) が異父兄オーラヴ(聖王)が戦死した1030年のスティクレスタズの戦いの後、スウェーデン、ロシアを経由してビザンツ帝国に向かい、500

ハラルド美髪王の家系

ハラルド美髪王(ハーラル1世、c.850 - c.932)の家系とフラジル(ラーデ)の侯家との関係を中心にした相関図を作ってみました。 美髪王の妻は重要と思われる6人のみ記載、ほかにも兄弟多数とか端折ったところもありますが、此処に並んでいる人達だけでもいろんなサガに語られる沢山のエピソードがあります。 右端の〈徒歩〉のフロールヴはノルマンディー公ウィリアム(ギョーム)の先祖ロロです。彼とフラジル(ラーデ)の侯家は親戚だったのですね。 ノルウェー王家(美髪王の家系)とフラ