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ヴァイキング関連まとめ

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考古学発見からの考察、その他
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#北欧史

ヴァイキングの綽名いろいろ

ヴァイキング時代の北欧人には姓がなく、名前の後に父称をつけていました。 エイリーク・ホーコナルソン(ホーコンの息子エイリーク)、オーラヴ・トリュグヴァソン(トリュグヴィの息子オーラヴ)、テュリ・ハラルズドーティル(ハラルドの娘テュリ)などです。 男子には息子を表わすソン、女子には娘を表わすドーティル(ドッティル)が付きます。 同じ名前の人物が多かったので、父称や綽名で区別していたようです。 『エギルのサガ』の主人公エギル・スカラグリムソンはアイスランドのスカルド詩人で、典型

ハラルド美髪王の家系

ハラルド美髪王(ハーラル1世、c.850 - c.932)の家系とフラジル(ラーデ)の侯家との関係を中心にした相関図を作ってみました。 美髪王の妻は重要と思われる6人のみ記載、ほかにも兄弟多数とか端折ったところもありますが、此処に並んでいる人達だけでもいろんなサガに語られる沢山のエピソードがあります。 右端の〈徒歩〉のフロールヴはノルマンディー公ウィリアム(ギョーム)の先祖ロロです。彼とフラジル(ラーデ)の侯家は親戚だったのですね。 ノルウェー王家(美髪王の家系)とフラ

土の塊の中からヴァリャーグのフィギュア

今から6年前、2016年。 スウェーデン南東部、ストックホルムとエスキルステューナの間にあるクラハーマルという場所にあるヴァイキング時代の墳墓遺跡で大規模な発掘調査が行われた時のことです。 発掘チームが鉄以外の金属をマッピングした際、小さな不定形の茶色の塊が採取されました。 土に覆われていましたが、金属反応があったので丁寧に洗浄してみたところ、中から戦士を象った銀製フィギュアが姿を現したのでした。 戦士は長髪で、顎が長く見えるのはたぶん髭を伸ばしていると思われます。右手に