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育児商社マンが取った半年の育休

皆さんはじめまして。Jemesです。
まず簡単に自己紹介させて頂きます。

私は新卒から総合商社のバックオフィスで働いています。
歳は20代アラサーで妻とは2年前に入籍し、昨年息子を授かりました。
(妻は金融の法人営業をしておりキャリア重視です)

そして半年間の育休を夫婦で取り家族での時間をゆっくりと過ごしました。
育休にはメリットが沢山あるものの多くの男性は本当は取りたいのに取らない(取れない?)というのが現在の日本の実態です。

激務と言われかつ長期の男性育休を取る人が少ない商社業界ですが妻との相談・上司との交渉の末、半年間の育休を取った経験を皆さんにシェアすることで一人でも多くの育休希望者が実際の育休取得に踏み切るきっかけになればと思っています。

初めてのnoteの執筆なので至らない点もあると思いますが
最後まで読んで頂けますと幸いです。


育休をとった経緯

恥ずかしながら私はもともと”産休”と”育休”の違いすらもはっきりと分かっていませんでしたし、また育休をどの期間取れるかも知りませんでした笑

一応復習ですが産休は女性が出産のために取るもので女性しか取ることは出来ません。一方育休は男女かかわらず子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで取ることが出来ます(保育園に入れなかったなどの事情がある場合は1歳を超えても延長することが可能)。

これは法律で決められており会社の制度などではありません。「育休って男女で取れる期間変わらないんだ!?」と思った方がいるかも知れません。私もそうでした笑。しかし出産は女性しか出来ませんが、その後は男女条件は同じなわけでして、なんなら女性が即復職して男性がそこから育児をしたっていいじゃないですか。ってことはなにも不思議なことではないんです。

「その思い込みにそもそもバイアスかかってるんだよ」というのは私が妻に言われた言葉です…。

さてこんな私なので育休の存在は知っていましたが取ったとしても1−2ヶ月取るものだろうと思っていました。周りの先輩や上司もそのくらいの短期間でしたし、むしろ入社以来働き詰めだった私からすると「月単位で休みもらえるなんてラッキーじゃん」と思っていたくらいでした。

そんな考えだった私なので当時妊婦の妻から「育休、私と一緒に1年取るよね?」とさらっと言われたときは衝撃でした。

しかし上記した内容を妻から説明されようやく考え方が変わりました。元々私は「持っている権利は主張するべき!」という考えの人間ですので制度を理解してからは「絶対取ったほうがいいやん」と思うようになりました。

少し順番が前後しますが金銭面についても実は心配はないです。会社から給与は出なくなりますが、その代わりに毎月源泉徴収されている雇用保険を財源とした育児給付金が毎月最大約30万円支給されます。夫婦だと最大約60万円です。しかも保険金なので非課税。これ結構大きいですよね?

少しキャリアのことも心配に思いましたがずっと希望していた海外赴任は今年もない雰囲気でしたし、業務にも慣れてしまい「成長が鈍化しているな」と思っていたタイミングだったことも私を後押ししました。むしろ惰性で業務に励むより育休を取るほうが人生単位で見たときに大きな成長になると判断しました。

上記の経緯から子供の生まれたタイミングと翌年度の保育園入園のタイミングを考え妻と一緒に半年間の育休取得を決めました。

上司の反応

育休を半年取ることを決めたものの億劫に思ったことは何と言っても上司になんと申請するかでした。上記した通り、職場だと男性で取ったとしても1−2ヶ月という人が大半でしたし、半年取ると繁忙期を跨ぐのでなんと言われるかが心配でした。

育休を取ると決めたタイミングは安定期(妊娠5ヶ月頃)に入る1ヶ月前のタイミングだったのでじっくりなんと伝えるか考えようと決めた翌日。
なんと急に初戦は訪れました。

急に上司から別室に呼び出され「Jamesには事業会社に出向してもらおうと思う。なに、期間は1年くらいを考えていてその後は海外に行けるように手配するから大丈夫さ!」と言われたのでした。

出向先は激務で有名したし人事が決まった後に育休を申し出るのは余計部に迷惑がかかると思いその場で妻が妊娠していること、また育休を半年間取ろうとしていることを伝えました。

上司は突然の話にびっくりしたのか顔をしかめ「ちょっと部長と相談するから少し待ってくれ…」と言われました。家に帰ってから妻にその話をすると「相談する?育休は法律で守られてるんだって」とあくまで強気。
自分は肝の座った女性と結婚したんだったなと再確認するのでした。

決戦は1週間後に迫っていた評定面談。本来この面談は人事評価を聞くものなのですが、このタイミングで育休の返事が来るのは容易に想像できました。

そして決戦のとき。

当日はスマホで録音をして何か辛辣なことや却下されでもしたらコンプラ委員会に提出するつもりで挑みました笑。

上司「半年育休の許可が部長から降りたわ。まあ業務より育児のほうが大変だと思うから頑張ってくれ」とあっけなく決戦は終わりました。
しかも出向もなくなり育休に入る1ヶ月前から担当業務には後任を付けるからゆっくりと引き継いでくれとのこと。最高な対応を頂けました。

今思うと色々理屈をこねくり回すよりシンプルに「育休を半年取りたい」と伝えられたことが良かったのだと思います。

上司だって1人の従業員。全社さらには全国として男性育休が推奨されている中で個人の裁量で育休を却下するなどということは(大企業だと特に)出来ないのだなと思いました。さらには育休を取れないと決めているのは会社ではなく「取れないだろう」と思う自分自身だったとも気づきました。

そして残りの業務と引き継ぎを無事終え半年間の育休に入りました。
(神対応を記録した録音は今でも残っています笑)

育休中に出来たこと

書き始めるとキリがないので以下厳選した5つを以下記載します。

FIRE状態で家族時間を過ごすこと

まず何といってもお金と時間がある状態(つまりFIRE状態)で家族の時間を過ごせました。学生の時はとにかくお金が、社会人になってからはとにかく時間がない生活を送っていた私はFIREという言葉を初めて知った時からいつか実現したいと思っていました。

同じような考え方を持っている人も多いのではないのでしょうか?ただ具体的にFIREするのはいつで何のためにするかまで決められている人は少ないと思います。

闇雲に理由も分からずFIREのためにお金を貯め続けるって変ですよね。私はぼんやりとFIREしたら家族での時間をゆっくりと過ごしたいと考えていました。その時間を過ごすとどんな感覚なのかを育休期間に実感することが出来ました。

特に生まれた頃は朝起きる度に生きているか不安になる程か弱かった息子が今では保育園に入園し、そこら中動き回るほど元気に成長したことをずっと側で見守れたことは大きな経験です。

この経験は将来設計をするための大きな糧となっています。

夫婦で腰を据えて対話すること

育児というのは新規プロジェクトに夫婦2人が新人配属されるようなものだと思います。その新規プロジェクトはマニュアルはたくさんあるものの全てが自分のケースに当てはまるわけではなく、また失敗も許されません。

そんなプロジェクトを片方が片方に押し付けてると当然片方が潰れてしまいます。それを育児では産後うつといいます。しかし2人で協力して育児に取り組めばオムツを変えている途中に子供が漏らしても、初めての沐浴にパニックになっても、寝返りを覚えた子供がそこらじゅうを転がり回っても、保育園の送り迎えの段取りを立てるのが難しくても前向きに解決策を考えることが出来ました。そして将来の子供の教育や自分たちの子育てとバランスをとったキャリア形成まで時間を取って考えることが出来ました。

何か問題が起こった時に「もうオワタ」と絶望するのではなく、「その問題をどうすれば解決できるか?」と前向きに捉えることが出来るようになったのは今後の夫婦の大きな財産となりました。

両親に孫の顔を見せること

遠方に住んでいる夫婦の実家に長い期間帰省したり、また関東に招待して孫の顔を気が済むまで見せることが出来ました。

そして親と話すと改めて自分が小さい頃のエピソードを聞くことができ、また子供を大切に思う気持ちを実感出来た状態で改めてそのエピソードを聞くと独身の頃には決して味わうことのできなかった感慨深さを感じます。

両親に孫の顔を見せるというのは人生で絶対に成し遂げたい親孝行だったのでこれを達成できて本当に良かったです。

自己研鑽

キャリアの中断は怖くないと思いながらそれでも遅れるのは嫌だったので子供が寝ている時間や夫婦での育児ローテーションを活用して育休前から始めていた米国公認会計士の勉強をし、育休中に無事試験に合格出来ました(妻は英語の勉強に注力しました)。

また家族でパーソナルトレーニングに通い続けました(息子は夫婦交代で抱っこ笑)。私の場合は育児だけという生活は性に合わなかったのでこの機会に業務では得られない部分の成長に時間を当てられて良かったです。

この自己研鑽のおかげで復帰のハードルも気持ち的に大分下がりました。

海外旅行

FIREの話と被るかもですが纏まった時間を自由に取れたので旅行シーズンのピークを外した時期に思い切ってハワイへ行くことが出来ました。

復帰してからだと家族全員で予定を合わせることが難しくなったり、それ以外に使うべき費用が発生したりするので育休中に決行することにしました。家族3人での貴重な思い出を作ることが出来て良かったです。

今後の計画

半年の育休を終えて夫婦で職場復帰する予定です。元々上司からは「長く育休を取った人がいないから今後のキャリアにどう影響するか分からない。多分影響はないけど…。」と若干不安なコメントをもらっていました。

しかし復職面談をした上司(前の上司は育休中に異動)からは「元々のポジションを空けているし部員みんな(人手が足りてないから笑)首を長くして待ってるよ。あと海外赴任の希望ももちろん分かってるから!」と頼もしい言葉を頂けました。

復帰して答え合わせをしないといけないですが、今のところは長期の育休を取ったからといって左遷されるようなことは起こらないようで安心しています。

育休を取るためにはタイミングも大事なので次は海外赴任が終わるタイミングで2人目を、そして育休を取れたらいいねと夫婦で話しています。このタイミングというのは年だけではなく、月も大事です。4月生まれであれば来年度の保育園入園までにたくさんの時間を過ごせますがその分キャリアのブランクも大きくなります。

行き当たりばったりではなく今後も夫婦で話し合ってプランを立てて行きたいと思っています。お互いの心の平穏、さらには家庭の平穏にも繋がる大事なことです。

検討している方へ

振り返ってみても本当に育休はとって良かったですし、育休を取りたい人にとってはメリットばかりで「取ったほうがいいですよ」としか正直言えないです。懸念になりそうなことへの私の想定問答は以下の通り。

会社が人手不足な場合どうする?
→会社以上に人手不足なのは家庭。実際に会社は誰かが退職したとしても回っている。もし会社に不利益が生じても自分は損を被らない。一方会社に貢献して家庭が破綻しても会社は何もしてくれない。

キャリアにダメージがないか?
→今後育休を取った経験がある方が上司(つまり昇進)になりやすい世の中になると思っている。全国的に育休が推進されている全体感の中で社内というミクロな視点で怯え育休を取れない人のキャリアが成功すると個人的には思えない。それでも不安であれば(出産によるにダメージがない男性は特に)隙間時間に自己研鑽すればいい。

若い頃のキャリアは大事だと思うが?
→もし育休取らず出世したとしてもその頃は余計に育休を取りづらい立場だと思う。また若いうちにキャリアよりも夫婦関係を築いていた方が将来的に得になると私は考える。

育休取れるようないい会社ではない。
→いい会社云々の話じゃなくて国の法律なんです。
外国人が日本をいい国だというなら分かるけど…。

この辺でやめておきますが、つまり私が言いたいことはメリットはたくさんあるものの、完全なデメリットというのは存在しないと考えているということです。

ただ一方ですが必ずしも夫婦が共に育休を取らずとも片方が専業主婦(主夫)となり片方が働く生き方もあり。つまり家族の在り方は人それぞれであるべきとも思うようになりました。

私の家族の場合ですが家事については妻の方が色々なことへの感度が高い。「息子の皮膚が荒れている」であったり、「このホコリは息子に良くない」であったり等々、言われれば「確かに…」と思いましたがこれまで私が気にしたことのないことについて指摘をされ勉強になることが多々ありました。

一方妻については出産によるダメージもあり「即職場復帰はしようとしても出来なかった」と本人が言っていましたし、また私も側で見ていて同じように思いました。

これらのことから現在の日本では男女共に仕事・育児に参加することがトレンドのようになっていますが当然家族ごとの理想があるわけなので男性が絶対に育休を取らないといけないと主張するつもりは全くありません。

しかしもし育休を取りたいという男性の方や、夫に育休と取って欲しいけど説得が出来ないと悩んでいる女性の方がいましたら少しでも私の体験が参考になると幸いです。もし相談等ございましたら乗りますのでお気軽にご連絡ください。

最後に

こちらのnote読んで頂きありがとうございます!もし読んでよかったと思ったらLikeと周りの方へオススメ頂けると幸いです!



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