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まいるず映画感想文

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#ネタバレ

【シン・ゴジラ】あらすじを三幕構成で読み解く

#ネタバレ 一幕(約45分)一場:状況説明(巨大不明生物東京湾より現る) 東京湾で大量の水蒸気噴出を伴い出現した新種の巨大生物が大田区から品川区にかけて蹂躙する。政府は想定外の事態に、災害緊急事態の布告を宣言して超法規的に対処することを決定する。 二場:目的の設定(巨災対設置〜ゴジラ凍結作戦の立案) 政府は自衛隊を出動して駆除に当たるが、逃げ遅れた住民を発見して攻撃を中止する。巨大生物は京浜運河から東京湾へ姿を消す。政府は従来の海上自衛隊とは別で、官邸内に巨大不明生物

【ゴジラ-1.0】あらすじを三幕構成で読み解く

#ネタバレ 一幕(約30分)一場:状況説明(逃げ帰ってきた敷島) 1945年8月。敷島は特攻から逃げて大戸島に着陸する。そこで恐竜のような怪物(呉爾羅)に襲われて、ここでも逃げてしまう。戦後は東京に帰るも、実家と両親は空襲で失われていた。 二場:目的の設定(敷島が幸福になること) 1946年。同じく両親を亡くした典子と、彼女が拾った赤ん坊・明子との奇妙な共同生活が始まる。敷島は東京湾近海の残留機雷の処理で稼ぎ、家を建て直すまでになったが、まだ戦争で逃げたことが気にかか

【碁盤斬り】落語から映画化での変更点

#ネタバレ 映画紹介サイトには以下のように説明されています。 では、その古典落語とはどのような内容か。 少し長いですが、落語散歩というWebページから引用します。 ▼映画での変更点:・柳田に骨董目利きの特技を追加。 ・源兵衛が柳田に出会って人格が変わるくだりを追加。 ・彦根藩を離れた理由(冤罪事件)を追加。 ・彦根藩での仇敵・柴田兵庫(斎藤工)を追加。 ・吉原塾の女将・お庚(小泉今日子)を追加。 ・よろず屋に武家出身の養子・弥吉(中川大志)を追加。 ・首を刎ねる提案者

【碁盤斬り】映画の構造を解剖する【三幕構成】

#ネタバレ まるで教科書のように綺麗な三幕構成(三幕八場)だったのでメモ。 以下は、初見時の楽しさを大幅に削いでしまうので、映画を未見の方は今すぐブラウザの戻るボタンを押していただきたく候。 ▼あらすじ:一幕(約40分)一場:状況説明 柳田格之進(草彅剛)は訳あって貧乏な浪人。娘のお絹(清原果耶)と二人暮らし。囲碁がやたら強いが、賭け囲碁で萬屋源兵衛(國村隼)にわざと負ける。また別の日に格之進はひょんなことから源兵衛の店で茶碗の目利きをして源兵衛を助ける。 二場:目

【ミッシング】大傑作だが劇薬すぎて危険【あらすじ整理・考察】

#ネタバレ 振り返り、整理。未見の方はブラウザバックされたし。 ▼構成:一幕 一場:状況説明(3ヶ月目の放送) 二場:目的の設定(美羽を見つけること) 二幕 三場:一番低い障害(蒲郡まで) 四場:二番目に低い障害(いたずら電話) 五場:状況の再整備(6ヶ月目の放送) 六場:一番高い障害(2年後の失踪事件) 三幕 七場:真のクライマックス(弟の暴走) 八場:すべての結末(優しさに触れる) ▼あらすじ:アバンタイトル かわいい娘との思い出「ぶるるるるる」 3ヶ月目の

【アンダー・ザ・ウォーター】ネタバレ感想・考察

▼冒頭の字幕について:この映画はデンマーク語と英語で話すので私には全く聞き取れない場面も多くありますが、タイトルが言語圏によってバラバラなので、まずは冒頭の舞台説明の字幕が、翻訳者によって妙にアレンジされていないか確認しておきます。 デンマーク語を英語にGoogle翻訳することで正当性を評価します。ほんの少しのニュアンスの違いですが、本作のように科学的設定が凝っていたり、あまり情報を出さない映画では結構重要になる場合があります。 《塩病》という造語は、日本語翻訳でのアレン

【ゴジラ-1.0】ラストの敬礼について

#ネタバレ ▼なぜ敬礼を?『ゴジラ-1.0』の副音声VFX解説コメンタリーで山崎貴監督はワダツミ作戦終了時の敬礼について、以下のような発言をしています。 ええと、いや、そこが論点じゃなくて。(苦笑) 軍人が敬礼をする意味くらい、説明されなくても判りますよ。 そこじゃなくて、なぜ登場人物がゴジラを敬礼が必要な相手だと認めるのか(ゴジラを神格化するのか)という点に納得が出来ないって言ってるんですよ! コメンタリーで渋谷さんも髙橋さんも野島さんも、なぜ何も言い返してくれな

【ゴジラ-1.0】山崎貴監督がG細胞だと認める【書き起こし+考察】

#ネタバレ ゴジラ・フェス 大阪でYouTubeライブ配信もされたVTRで、笠井アナが『ゴジラ-1.0』のラストシーンの真相を訊き出しました。 ▼引用(書き起こし):●脚本の改訂について: 最初構想していた物語と設定や展開が大きく変わった所はどこでしょう? それね、結構色々変わりましたよ。あのー、典子さんがずっと生きてるバージョンとか。あのあそこですね… 吹き飛ばされない? 吹き飛ばされない。あそこで二人とも助かって生きてるやつとか。水島もね、あの、割と早く死んで

【市子】時系列を整理して、原作舞台の情報も絡めて、考察する【川辺市子のために】

#ネタバレ アマプラで視聴したので考察します! 原作舞台についても調べたので、その情報も整理します。 ミステリー作品なので、本編を未見の方はブラウザバックを強く推奨します。 ネタバレ注意🚨🚨🚨 ▼映画あらすじ(時系列で再構成):2015年8月13日 川辺市子がプロポーズされた翌日に失踪する。 2015年8月21日 長谷川は後藤刑事から「1987年生まれの川辺市子は存在しない」と告げられる。 2015年8月28日 長谷川が独自に市子の捜索を始める。 長谷川はキキから市

【レベルムーン PART TWO】深イイ感想

後半、ネタバレありです。 ▼はじめに:いの一番に言っておきたいのは、すごく良かったです! 現時点でのザックスナイダーの集大成と呼ぶのに相応しい映画です。はっきり言いましょう。THE・ザックスナイダー最高傑作です。少なくとも私は一番好きです。 スターウォーズに代わる新たなスペースオペラとして完璧な仕上がりだと思います。後半は1時間近くずっと戦闘が続きますが、シチュエーションが多彩で全く飽きさせません。 期待はしてましたが、まさか私の中でDawn of Justiceを超

もう観た人のためのオッペンハイマーあらすじ解説【復習用】

#ネタバレ 映画の内容をほぼ書き起こしているので、復習にどうぞ。 ▼はじめに:本作の映画としての特徴として、主人公だけではなくて、その対極となる人物としてストローズの視点も加えていることが挙げられます。 この映画はカラーとモノクロの《二部構成》です。 カラーがオッペンハイマー(演キリアン・マーフィー)の裁判です。 モノクロがストローズ(演ロバート・ダウニー・Jr)の裁判です。 ある些細な行き違いを発端に関係が崩壊する二人の男を、カラーとモノクロを使い分けることで、

【オッペンハイマー】徹底解説:アインシュタインとの会話

#ネタバレ 映画の核心部分ですが、あまり語られてないので、解説してみます。 映画の中でアインシュタインが出てくるシーンは4箇所ありますが、この記事ではあくまで時系列に沿って3つに分けて記載します。 ▼1943年:核の連鎖反応についてニューメキシコ州のロスアラモスのオフィスが準備できるまでカリフォルニア州バークレーのオッペンハイマーの研究室で、マンハッタン計画は進んでいました。そこでテラーが核連鎖反応理論を提唱します。すぐに数学者たちで理論が正しいのか計算に取り組みますが

【落下の解剖学】真犯人は?自殺か、他殺か?

#ネタバレ この映画では【本当は何が起きたのか】は最後まで描かれません。 映画の中の裁判で検察が他殺だと証明できなかっただけで、自殺とも他殺とも、どちらとも受け取れる曖昧さを残して映画は終わります。 つまり、あらすじを最後までネタバレで語ってしまっても夫の死因はミステリーとして残り続けるという実験的で稀有な映画です。 そんな本作の根底を流れる重要なメッセージが、息子ダニエルの保護を担当した法廷職員マージが説いた台詞に込められています。 「人は証拠が足りない時は、自分

【レベルムーン PART ONE】感想(暫定)

Netflix応募枠でジャパンプレミアに当選しました。アジア最速で映画を観覧できたので感想を書いていきます。 後半はネタバレ有りで語ります。 ▼プレミアの感想:別記事に記載しました。 ▼映画の感想(ネタバレなし):とても良かったです👍 アクションと音楽とVFXは最高だったと思います。 すごく歯痒いのですが、この映画は言語化できない部分が本当に素晴らしいのです。すなわちビジュアルとサウンドと、映画全体から滲み出るザックのセンスとスピリットです。ぜひご自身の目と耳と感性