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まいるず映画感想文

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#英語

【オッペンハイマー】徹底解説:アインシュタインとの会話

#ネタバレ 映画の核心部分ですが、あまり語られてないので、解説してみます。 映画の中でアインシュタインが出てくるシーンは4箇所ありますが、この記事ではあくまで時系列に沿って3つに分けて記載します。 ▼1943年:核の連鎖反応についてニューメキシコ州のロスアラモスのオフィスが準備できるまでカリフォルニア州バークレーのオッペンハイマーの研究室で、マンハッタン計画は進んでいました。そこでテラーが核連鎖反応理論を提唱します。すぐに数学者たちで理論が正しいのか計算に取り組みますが

【落下の解剖学】真犯人は?自殺か、他殺か?

#ネタバレ この映画では【本当は何が起きたのか】は最後まで描かれません。 映画の中の裁判で検察が他殺だと証明できなかっただけで、自殺とも他殺とも、どちらとも受け取れる曖昧さを残して映画は終わります。 つまり、あらすじを最後までネタバレで語ってしまっても夫の死因はミステリーとして残り続けるという実験的で稀有な映画です。 そんな本作の根底を流れる重要なメッセージが、息子ダニエルの保護を担当した法廷職員マージが説いた台詞に込められています。 「人は証拠が足りない時は、自分

【レベルムーン】ここがヘンだよ日本語タイトル【翻訳やっつけ仕事?】

ちょっと日本語タイトルがクソ翻訳だったので。 解説していきます。 ▼パート1:炎の子日本公式は直訳すぎます。 ●脳死プレイの直訳である 脳みそを持っている人が映画を観れば誰でも判りますが、Fireというのは単純な炎ではなくて「戦争の炎」のことです。(=戦火) 日本で「炎の***」と表記すると、どちらかというと努力や情熱といったポジティブなイメージが伴うことが多いですが、本作での炎は戦争によって生まれた破壊や犠牲や被害のことを指すネガティブなワードです。 映画の冒頭

【イビルアイ】疑惑の真相を考える【魔女は誰?】

『イビルアイ』は2022年製作のメキシコ映画で、『パラドクス』『ダークレイン』など【メキシコ版・世にも奇妙な物語】とも言える面白い映画を作ることで定評があるアイザック・エスバン監督の最新作です。 本作でもラストに驚きの結末が待っていて、一部の映画ファンに人気なのですが… 私には正直ちょっと納得できないことがあります。 本noteでは、まずは【世間一般で正解とされているあらすじと謎解き】を素直に書きます。その後で、【私の疑問点と仮説】を書いていきます。 ▼素直に解釈した

映画と原作小説で比較してみよう【ノック終末の訪問者】

ネタバレ全開で語りますのでご注意を! ▼あらすじ(映画版):▼あらすじ(原作小説):第一幕は同じなので省略します。 ▼シャマランぽくない?:本作はシャマラン映画なのにシャマラン映画っぽくない、と評価されがちです。確かに撮影監督が『スプリット』以来の相棒マイク・ジオウラキスから、ジャリン・ブラスキー(ロバート・エガースの全作品を担当)に変わっていることもありビジュアルの雰囲気が少し違ったかもしれません。 しかし一番の原因は、ラストで「大どんでん返しが起きない」ことでしょう

ちゃんとすごく面白かった:アバター2:ウェイ・オブ・ウォーター

すごかった。 冒頭こそ、あれ、これ本当に大丈夫かな?と思ってしまったが。 ところが時間が進むにつれてドンドン良くなっていく! そしてラスト45分は怒涛のドラマに胸を打たれた。 とりあえず前作は観ておくことをオススメする。 そして出来ればキャメロン監督の過去作品も押さえておきたい。 時間がない人はとりあえずドルビーシネマでやってるうちに 映画館に急いだ方がいいと思う。 フルスペックで観ることに大きな意味がある映画なので。 ●予習復習は必要か? 見なくても別に大丈夫

【戸田奈津子】アバター第1作の日本語字幕が残念な件【そりゃコトだ】

誤訳の女王こと戸田奈津子先生のひどい日本語字幕を紹介します。 彼女が台無しにした歴史的大作は、SWファントム・メナスやロードオブザリングだけではありません。 映画『アバター』の日本語字幕も酷いものでした。 冗談抜きで、アバターは日本語字幕がひどかったせいで、物語の面白さが理解されず、”3Dがすごいだけの映画”という評価になってしまったんじゃないか、と最近は考えています。 吹替版では別の方が翻訳作業されたので、このような害悪はありません。 このnoteでは特に気になっ

THE 解説:映画ザ・バットマンの謎解きを英語原文でスクリプトを読みながら

本作を劇場で観ていて日本語字幕が微妙に感じる部分が多かったのですが、最大の原因はナゾナゾのせいだと思います。言葉遊びですから英語で考える必要があります。それを翻訳して文字数が限られた日本語吹替や日本語字幕に反映させるのは至難の業です。(なので結構ばっさりカットされたり、翻訳者によって日本語のダジャレに変更されることが多いです) しかも本作では全ての問題をバットマンが速攻で解いてしまい、それはそれで観客は日本語の謎解きの意味を考えて理解する必要があるので、日本語話者の観客が日

映画ザ・バットマンで個人的にツボに入った会話を集めてみた

他の記事を書いてる途中で出会ったキュートな会話をピックアップ。 ▼気まぐれバットマン:警察本部長の遺体発見現場にて。 いやいや、ゴードンだって警察での自分の立場が危うくなるのに無理してバットマンを呼んでるんだよ。自分だって謎解きする雰囲気ムンムンで部屋に入ってきてるのに、この返答はないでしょ、バットマン。(笑) ▼優しくないバットマン:セリーナは特殊コンタクトレンズを付けてナイトクラブに潜入している。 コイツらが私の目を見てないでしょうね? という質問に対して、 ボク

リスニングした英語の答え合わせをしてみた結果w(ザ・バットマン)

映画館で観ているときに日本語字幕に違和感を覚えた部分があったのですが、先日スクリプトがインターネットで公開されていたので答え合わせをしてみました。 結論としては、かなり強烈な空耳をしていました。(大爆笑) ただ、どうしてそんなに認知が歪んでしまったのか、考えてみたので書き留めておきたいと思います。 本文は映画『ザ・バットマン』の #ネタバレ になっているので閲覧にはご注意ください。 ▼問題の箇所と正解:物語の終盤でセリーナが拳銃でファルコーネを撃とうとして、それをバッ