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まいるず映画感想文

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#クリストファー・ノーラン

もう観た人のためのオッペンハイマーあらすじ解説【復習用】

#ネタバレ 映画の内容をほぼ書き起こしているので、復習にどうぞ。 ▼はじめに:本作の映画としての特徴として、主人公だけではなくて、その対極となる人物としてストローズの視点も加えていることが挙げられます。 この映画はカラーとモノクロの《二部構成》です。 カラーがオッペンハイマー(演キリアン・マーフィー)の裁判です。 モノクロがストローズ(演ロバート・ダウニー・Jr)の裁判です。 ある些細な行き違いを発端に関係が崩壊する二人の男を、カラーとモノクロを使い分けることで、

【オッペンハイマー】徹底解説:アインシュタインとの会話

#ネタバレ 映画の核心部分ですが、あまり語られてないので、解説してみます。 映画の中でアインシュタインが出てくるシーンは4箇所ありますが、この記事ではあくまで時系列に沿って3つに分けて記載します。 ▼1943年:核の連鎖反応についてニューメキシコ州のロスアラモスのオフィスが準備できるまでカリフォルニア州バークレーのオッペンハイマーの研究室で、マンハッタン計画は進んでいました。そこでテラーが核連鎖反応理論を提唱します。すぐに数学者たちで理論が正しいのか計算に取り組みますが

【オッペンハイマー】ネタバレ感想【あらすじ】

このnoteはクリストファーノーラン監督作品『オッペンハイマー』のネタバレありの感想になります。 本作は一応「伝記作品」という体裁を取っていますが、そこはノーラン監督なので時系列を複雑にすることに始まり、いくつか映画ならではの創意工夫を加えていてそれが面白い作品です。 なので、映画を観る前にこの感想を読むことはお勧めしません。 以降はネタバレありで語ります。 #ネタバレ ▼概論:素晴らしい映画でした。「今世紀最高の映画の一つ」という宣伝文句は妥当です。少なくとも「2

オーストラリアまで『オッペンハイマー』を観てきた話

「ちょっとウナギを食べに浜松まで。😉」 人生で一度は言ってみたい言葉ですね。 私はこれを映画でやりました。 「ちょっとオッペンハイマーを観にオーストラリアまで。😉」 クゥーッ! 言ってしもうたで!(笑) このnoteでは最初になぜオーストラリアなのか、次に映画の感想を書きます。そして最後に日本の一部で問題視されている本作の日本ディスについて私見を述べます。 ▼なぜこのタイミングなのか:私も当初は日本公開を待つつもりでした。 しかし、待てども待てども決まりません

テネットのアルゴリズム起動装置がオッペンハイマーに繋がる件【TENET】

映画の核心部分をネタバレしているので閲覧にはご注意ください。 ▼問題:映画『TENET テネット』を久し振りに視聴して腑に落ちない箇所がありました。 ”セイターが絶命したのにアルゴリズムが起動しないのは何故か?” 映画では、主人公たちがアルゴリズムを奪取する前に、キャットがセイターを射殺してしまいます。しかし何故かアルゴリズムは直ちに起動しませんでした。その後、主人公はアイヴスと共に脱出して、ニールも加えて3人でアルゴリズムの隠し場所を相談します。 おいおいおい、アル

テネットでずっと誤解していた件(アルゴリズムはなぜ起動しなかったのか)【TENET】

結論から言うと、私は主人公(名もなき男)の誤解に引っ張られていました。 なぜ、私はそれを「間違った情報」だと見抜けなかったのか。 字幕だけでなく原語セリフも読み込んで、解析していきます。 この記事は映画TENETテネットの結末をネタバレしています。 閲覧にはご注意ください。 ▼なぜ起動しなかったのか:映画TENETを観ていて気になっていることがありました。 物語のクライマックスで 主人公チームがアルゴリズムを回収する前に キャットがセイターを殺してしまったことです。

テネットが編集で会話の順序を入れ替えてる件【TENET】

TENETの脚本と本編の差分から、編集の狙いを考察してみます。 現場のアドリブなのか。(監督の判断) ポストプロダクションの産物なのか。(編集者の判断) 考えながら読むと面白いです。 スタルスク12の作戦直前。 主人公がキャットに携帯電話を持たせる場面です。 少し長いので分かりやすくするために番号で区切ってあります。 ▼脚本:▼映画:▼解説:TENETは脚本をインターネットから入手できるのですが、実際の本編とは微妙に異なる部分が多いです。 全体的な傾向としては、脚

DC映画のロッテン・トマトを並べてみた

21世紀に入ってから制作されたDC映画を公開順に並べていきます。 タイトルサムネにした「批評家79%;一般78%」がどの作品か予想しながら読んでいただけると楽しいかと思います。 以上25作品。ピースメイカーとレゴバットマンは参考のために加えました。 タイトルサムネにしたのはBOPでした。意外じゃなかったですか?私がフォローしてるSNSではかなり叩かれていますし、お気に入りで挙げる人も少ない印象なので、その割には驚きの高得点だと思います。特に一般スコアの高さが意外でした。

新キャットウーマンのデザインについて(フィクションとリアルの狭間で)

2022年3月公開の新作バットマン映画のキャットウーマンの衣装がかなり優れていると思ったので理由などを書いてみます。 ●バットマンの服装って変だよね?1940年代の漫画が原作だから仕方ないのですが、バットマンは相当な変人だと思います。だって大企業の社長でスーパーお金持ちな旦那が、結婚して家庭も作らず、夜な夜なコウモリのコスプレをして反社会組織の人達を無許可で成敗してるんですよ?これが変人じゃなくて何ですか?笑 それでバットマンがバットマンなら、ヴィランもヴィランで漫画の連