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謝り方のレッスン

「自分のことをひとつも誤解されたくない」
言葉を重ねれば重ねるほど、相手との距離ができる……。

「ね、これ楽しいよね?」とふりかえったときに誰もいない。
相手の事情をすっとばした予定を立て、誰もついてこられない事態に……。

ここのところのわたくしです、はい。
ひとに対して上手くできないことがつづき、落ち込んでいた。

こんなときにわたしを支えてくれたのは、ドラマ「きのう、何食べた?」。

よしながふみによる漫画作品が原作で、 2019年テレビ東京系でテレビドラマの放送が開始した。その後ドラマスペシャルや劇場版が公開され、現在は待望のseason2が放送中……!

西島秀俊さん演じる筧史朗(シロさん)と、内野聖陽さん演じるパートナーの矢吹賢二(ケンジ)がリビングで美味しいものをかこんでおしゃべりするシーン、シロさんが料理するシーン、なんなら番組のBGMを聴くだけで、安心する。
2人を取り巻く世界にも事件は起こるが、これまでの作品は何回も観ているので、解決することがわかっている。だから安心して何度も観る。

この物語のなかで、わたしはお手本にしているひとがいる。
冨永佳代子(とみながかよこ)さん。シロさんのご近所さんにして、よき相談相手の主婦。シロさんとスーパーの店先で出会ってからというもの、特売品やいただきものを分け合ったり、一緒に料理をしたりする。女優・田中美佐子さんが演じているキャラクター。

ゲイカップルを取り巻くあれこれを、深刻にしすぎないのは、このひとの存在が大きいと思っている。

明るくてさっぱり。そして、慈愛に満ちている。
かよこさんはそういうひとなのだ……。

1つだけ紹介させてください。
2021年に公開された『劇場版「きのう何食べた?」』でのシーン。
仲よしの小日向さん(演者・山本耕史さん)とジルベールこと、航くん(演者・磯村勇斗さん)が、2人の住むマンションに食材をどっさりと抱えてやってくる。小日向さんの家の冷蔵庫が壊れてしまい、入っていた大量の食材をシロさんのところに避難させに来た。
そこで、近所のかよこさんにヘルプに来てもらい、みんなでお料理(ファンにはたまらない3ショットとなるわけなのです)。

お料理ヘルプが終わり、家に帰ろうとするかよこさん。娘が妊娠したことを皆に報告する。祝福の声にまじって、ジルベール(小日向さんのパートナー)は「気に入らない」とすねてしまう(ゲイカップルのさまざまな見方や考え方が出てくるのも、この物語の魅力)。

そこに、かよこさんは「あら、まずいこと言っちゃった……!」という顔をしたあと、すねてソファでわさビーフを食べているジルベール航の肩をたたき、笑顔で言うのです!
「ごめんね〜!」って。
しかも、そのときの片手で(お土産をどっさり持っているから)詫びを入れるポーズが、ほんっとうにさわやかでいい……。

わたしはこのシーンを観て、こういう風に謝れるひとになりたいと思った。
スピード感も必要。すぐに詫びる。この瞬発力よ……!
お互いが気持ちよくあるための最高の方法なんじゃないかしら。

かよこさんになるにはまだまだ修行が足りないけれど、明るくてさっぱり、そして慈愛に満ちたひとに、わたしは憧れています。

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