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ケーミー(が去るの)を待ちながら(台湾横断実況note#1)

台風の台北である。
万が一のために駅の地下街と直結したホテルを取り、テレビやネットで情報を漁る。
まだ台湾の空を眺められていない。


今日25日が台湾横断旅の初日だった。
昨日未明に台湾に上陸したケーミーこと台風3号の影響で、飛行機が飛ぶかどうかも不透明な状況。
だが幸いなことに、出発は遅れに遅れたものの、飛行機は19時ごろに台北に着陸した。
台湾に接近した時こそかなり揺れたが、着陸後の雨風はそれほどだった。
おそらく、峠は越したのだろう。

駅前地下街、今昔

成田空港で急いで予約したホテルが地下街と直結だったので、台北駅に着くや否や、私は地下街へと向かった。

台北は暑さのせいか、それとも台風のせいか、地下街が発達している。
私は以前も2度台北で台風と出会ったのだが、その際も地下街はまるでオアシスだった。
レストランも充実しているし、なんとも言えないアジア的なワイ雑さがある場所で、歩いていて飽きることがない。
それでいて、(当然)雨よけになる。

ところが、駅前地下街に来てみると、ほとんど閑散としている。
レストランのほとんどもシャッターが下りている。
どうも、地下街に入り浸っていた8年前の台北とは様子が違うようだ。
8年も経っているわけだし、パンデミックも深い影を落としていることだろう。
時代の移り変わりは恐ろしい。

台湾には台風休暇というものがあり、台風の際には休校、仕事も休みという措置が取られる。
結果、地下街のゲームセンターには学生が集まり、ゲームに興じていた。
地下だからいいのだ。ずっと家で台風報道を見ていても疲れるだろう。

地下街の果ての牛腱麺屋

しばらく地下街を彷徨い、一軒だけ空いていた店に入った。
客はほとんどおらず、旅行者らしい二人組がいるだけである。
普段はもう少し活気のある店を選ぶのだが、ここは偶然にも8年前から気になっていた店だったし、他に店もない。
カタコトの華語で店の看板メニューと思しき「牛腱麺(ニュウジエンミエン)」を頼んだ。

出てきたのは、牛肉麺(ニュウローミエン)の一種だった。
牛肉麺という名前は最近では日本でも見かけるが、そのほとんどは「蘭州牛肉麺」と呼ばれる中国大陸の料理である。
台湾の牛肉麺は、辛味噌ベースの茶色いスープで、そこに肉、青梗菜、漬物を入れる。

日本で暮らす者からするとコシの無い麺に初めこそ驚かされるが、徐々にハマっていってしまう、そんな料理である。
というわけで、私は台北に来るたび、この種の麺を食べている。

牛腱麺は、ただの牛肉ではなく、牛すじ肉を入れる。
牛すじはコリコリとして美味い。
そしてスープも濃過ぎず、飲み干せてしまうような旨味に溢れた味である。

丼たっぷりの麺が100元。
だいたい450円ほど。
台湾は食費が安いのがありがたい。


コンビニでお茶とビールを買い、ホテルへ向かう。
ホテルは本当に地下街からすぐだった。
雨風を避けなければいけない日にはちょうどいい。
だが部屋には窓がない(部屋も地下だからだ)ので、長期滞在には向かない。

明日は台中か嘉義に向かおうと思う。
だがニュースを見る限り、南部の被害はかなりのものであり、明日も台風休暇の地域もあるらしい。
明日使うつもりの鉄道の一部線路が歪んでいたという報道もある。

前途は多難だが、少なくともケーミー君は、明日には中国大陸にいるはずだ。
私も行けるところまで行ってみよう。

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