見出し画像

海緑石はどのようにしてできますか?

大塚さん(中学3年生)からの質問
(回答:高知コア研究所 岡﨑)

海緑石も蛇紋石と同じように化学式にOHを含む粘土鉱物の仲間になります。ただし、蛇紋石ほどバシッと化学式としてあらわされるような鉱物ではなく、カリウム、アルミニウム、鉄、ケイ素、マグネシウム、酸素、水素、でできた鉱物のようです。あと若干のナトリウムやカルシウムが入っていてもいいようです。文献によると平均的な海緑石の化学組成は、(K0.66Ca0.07Na0.06)0.78(Al0.45Fe3+1.01Fe2+0.20Mg0.30)(Si3.65Al0.35)O10(OH)2だそうです(出典:吉村、2001)。とても複雑な化学式ですね。鉱物と考えるとカチッとした結晶がありそうなので成分も簡単にあらわせそうですが、実際には綺麗な化学式にあらわせられないことも多いです。鉱物によっては微妙な成分の違いによってその鉱物ができた時の温度などが推定できたり、海緑石のようにカリウムの入っている鉱物だと化学分析によってどれくらい昔にできたのか測定できることもあります。温度の低い条件でできた鉱物ほど、化学成分が複雑な鉱物ができる傾向にあるように感じます。実際に海緑石は水深が60m以上の海底もしくは海底下2~3mの堆積物中で海水から沈殿(成長)してできると言う説が有力だそうです。ですので基本的には堆積岩の隙間を埋めるように存在するようです。名前の通り緑色でヨーロッパでは絵の具として使われていたり、日本でも古墳の内部の壁画の絵の具として使われていたようです。