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オンオフ最上位ピカチュウの統計学的比較②

前回の続き:交絡因子とは?

 前回の記事ではキシルさん,ショーリミさんの勝ち試合における立ち回りや撃墜法の違いなどについて統計学的手法を用いて考えました。かなり違いがあることが分かってもらえたと思います。
 しかし,前回述べたように「交絡」を調整していない結果ですので,本当に信頼できる結果かどうか定かではありません。「交絡」というのは少し難しい言葉でいうと「結果に影響を与える要因と関連のある外的因子」です。

交絡

要は何を言いたいかというと,様々な表やグラフを見たときに一見違いがあるように見えるけど,それって他の要因でそう見えてるだけじゃないの?ということです。知らない人にとっては分かりづらいと思うので具体的に見ていきます。ちなみに交絡因子の調整方法は複数あるのですが,今回実現できる方法は回帰分析という手法なので,これを使います。


電撃の回数

 電撃についてみていきます。前回の表を載せます。

16.5回 vs 18.0回でキシルさんよりショーリミさんの方が多いですがp値が0.29なので統計的には有意差はありません。でもここで注目してほしいのがショーリミさんの方が弾キャラと多く試合をしています(これもオンの影響でしょうか)。ピカチュウ使いなら分かると思いますが,例えば,対サムスでは闇雲に電撃を打つとやや大きなチャージショットにかき消されてこちらに当たることがあります。そのため、弾キャラは可能な限り密着して戦いたいと考えるはずです。ただし,様々なキャラがいますので電撃を多く使った方がよい弾キャラももちろんいます。これはカテゴリ化の限界ですので仕方ありません。そこでもう一度,電撃の回数を見てください。ショーリミさんは密着したい弾キャラとより多く試合しているのに電撃の回数が多いということは,そうでなければ実はもっと電撃の回数が多くて、キシルさんより有意に電撃を使っているのではないか?と考えます。次に実際に交絡の調整をしてみます。


回帰分析を使って交絡の調整をする

 回帰分析とは「関数をデータに当てはめることによって、ある変数yの変動を別の変数xの変動により説明・予測・影響関係を検討するための手法」のことで,すごくザックリいうと「いい感じの直線(1次関数)を求める」ことです。気になる人はリンク先を読んでみてください。
 ただデータの数によって調整できる交絡が決まっているので,今回の参考試合数36では2-3個の因子が限界です。そこで今回は電撃に影響のありそうな「試合時間」「弾キャラ」「反射吸収持ち」を調整します。
簡略化した結果を示します。

回帰分析の結果

 結果から言うと,プレイヤーのP値は0.99で,交絡を調整してもキシルさん,ショーリミさんの電撃の回数は有意差がありませんでした。それどころかほとんど差がないような結果になりました。回帰分析をすると見たい変数以外についても一緒に結果が見れます。試合時間と反射吸収持ちでは当たり前ですが,有意差がありました。見方としては「試合時間が1秒増えると0.23回電撃の回数が独立して増える」ということです。

 なんとなくショーリミさんの方が電撃の多いイメージがありましたが,実はそうではなかったようです。
 ただ、弾キャラ選びは私の独断ですので,これには「バイアス」というまた違った結果に影響する要因があります。そもそもスマブラを全部データで解釈することはナンセンスのなのでここら辺で終わりにします。


まとめ

 今回は両プレイヤーにおける電撃の回数について詳しく見ていきました。個人的な解釈としては,プレイヤー間の差はなく「二人とも敵キャラに合わせて的確に電撃を使っている」のではないでしょうか。よくよく考えてみると,2人とも電撃にリスクをつけられていることがほぼ無かったように思えます。
 前回の記事と合わせて,「的確な電撃撒き」「復帰阻止,雷での早期撃墜」を意識していくのが良さそうだと感じました。


最後に

 統計学に関して,完全な初心者ですので誤っている部分もあるかもしれません。またステージを考慮していないことや網羅していないキャラもたくさんいますので,これが統計学的な差を完全に示していることはありません。が,少しでも御二方のプレイスタイルの違いやピカチュウの立ち回りの考察につながれば幸いです。
 
 ここまで読んでいただきありがとうございました。質問や要望等あればTwitterへご連絡ください。

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