アムトラックでアメリカ横断:10日目~いざワシントンへ
さて、長かったアメリカ横断の旅もいよいよ最終章に
そう、アメリカの首都、世界の首都ワシントンD.C.へ向かいます
出発の日の朝は、窓付きの2階の快適な部屋でお目覚め…
と思いきや、実は前日の夜は深夜までガタゴトと上層階のどこかで家具を動かすような割と大きな音がずっと(数時間)続いていて、よく眠れませんでした
これもSMSで問い合わせましたが、原因は分からないとの回答
まさかOBAKEでもないだろうに… とにかく我慢しました
この日はチャールストン駅を9:15に発車するアムトラックの「Palmetto(パルメット)号」に乗り、その日の夜19:10にワシントンD.C.に到着する見込みなので、およそ10時間の列車の旅となります(距離にして約850km)
この大西洋沿いの路線は「Silver Star」というフロリダ州オーランドとニューヨークを結ぶ寝台車付きの便と、「Palmetto」がジョージア州のSavannah(サバナ)とニューヨークを結ぶ通常車両が走っています
残念ながらチャールストンにはシルバースター号が止まらないので、おのずとパルメット一択になりました
ちなみにPalmettoというのはSabal Palmettoというヤシの木の一種で、サウスカロライナの州木だそうです
ホテルから駅までは30分弱の時間がかかったので、Uberに乗りました
(この時はLyftだと15分以上待ちだと出たのに、Uberだと数分で来ました)
チャールストン駅は新しくてとても綺麗でした。しかも周辺には住宅ぐらいしかないので、ローカル線の駅のようにのんびりしていました
今回は寝台車がなかったので、ちょっと欲張ってビジネスクラスの席を予約してみました。お値段は$168だったので、850kmの移動でこの値段ならまあ元は取れるかな?と考えました
観光は体力勝負の部分もあるので、なるべく移動中は快適に身体を休めたいという思いもあります
ちょっと遅れて9:23頃にアムトラックがホームに入ってくる瞬間を撮影しました。カッコいい~
ビジネスクラスはこんな感じ
新幹線のグリーン車と似た大きさで、ゆったりくつろげます
Palmetto号の旅
はっきり言ってこの10時間は、特に旅行記に残すような印象的な出来事はありませんでした…
列車は順調に進むし、車窓の風景は殆どが樹木に覆われていて、緑豊かな風景がたまに出てくる程度でした
あと、天気も悪くて曇天だったので、こころなしか風景もくすんで見えます
アリゾナやテキサスの雄大な風景と比べると、どうしても印象が薄くなってしまうのは否めません
ビジネスクラスの特典としては、ドリンクはアルコール以外すべて飲み放題ということぐらいでした
一般のコーチクラスもシートの大きさなどはあまり変わらなかったので、この区間はわざわざビジネスにする必要はなかったかも知れません…
ランチは「Wrap(ラップ)」という、小麦粉を薄く焼いた生地にチキンや野菜、チーズを入れて巻いたものを頂きました。味はGOOD
この列車も最初はかなり空いていましたが、反対側の座席には50代ぐらいの白人の夫婦が同じくチャールストンから乗っていて、少し会話をしました
今回は奥さんの仕事でワシントンD.C.のクライアントに会いに行くのですが、それに会計学の大学教授である旦那さんも同行しているとのこと
普段は飛行機で移動するけど、コロナで座席の距離が近い飛行機より、ゆったりして空いているアムトラックを選んだそうです
自分も経営学を学んでいるけど、Finance(財務)やAccounting(会計)が苦手なんですよねーというコメントをした途端、「なぜAccountingが難しいんだ、会計はAsset, Liabilities, Equity, Revenue, Expense の5つを分類するだけで超シンプルなんだ。会計学はサイエンスだー! 」とまくしたてられました…
ちなみにこの路線では結構多くの駅に停車しましたが、アリゾナやテキサスを走ったサンセットリミテッド号のように途中で外に出ることはできませんでした
車掌さんが乗客リストを持っていて、その降車駅に着かないとドアを開けてもらえない仕組みになっていました
まあ、いずれにせよあまり魅力的な駅があった訳でもないので、大人しく旅行記のメモを整理したりしていました
10時間という長い列車の旅もいつかは終わりを迎えます
サウスカロライナ州からノースカロライナ州を通ってバージニア州に入り、リッチモンドという大きな駅を過ぎると、進行方向右側に大きな川が出てきました
小説などでよく出てくる「ポトマック川」のようです
でも、この日は雨模様だったので川も空もグレーでちょっと寂しげでした
それでも、ワシントンD.C.が近づいてくると風景がどんどん都会的になってきて、「いよいよか!」という感じがしてきました
列車も速度を落とすので、リンカーン記念堂やオベリスク、合衆国議事堂などを眺めることができました
風景を動画にまとめたので、ご覧ください
首都
大きな遅れもなく、19:20頃にワシントンD.C.駅に到着しました!
さすがアメリカの首都だけあって、駅も大きくて余裕があります
しかもスーツを着た人なども鉄道を利用していて(これはカリフォルニアではあり得ない!)、都会の香りがします
駅の構内も安全で、ホームレスの方などはいませんでした
預けた荷物を空港にあるようなターンテーブルで受け取り、そのまま駅を出ました
あまりにもあっさりとしたアムトラックの旅の終わりで、すこし拍子抜けしたような気分でした
ホテルにチェックイン
今回のホテルは駅から恐らく最も近いPhoenix Park Hotelというところで、駅から徒歩で5分ぐらいの距離にありました
これまでの経験から、都会の駅の周辺は治安が悪いことが多いのでかなり警戒していたのですが、そこはさすが首都だけあって全く問題なく、スムーズにホテルに到着
ホテルの受付もシュッとした感じの人で、てきぱきとチェックインの手続きをしてくれました
部屋はさすがに狭かったですが、清潔感もあって満足のいくレベルでした
夕食はあまり食欲がなく、周辺のお店も少なそうだったので、とりあえずホテルの1階にある「The Dubliner Restaurant(ダブリナー・レストラン)」アイリッシュ・パブに行ってみることにしました
名前はコテコテながらも結構本格的なお店のようで、レストランはほぼ満席
アイルランド音楽のライブ演奏まだやっていて、なかなかのものでした
食欲がないといいながら、結局ギネスビールとビーフシチューをペロリ!
まだ到着したばかりで土地勘もないので夜の外出は控えようと思っていたのですが、腹ごなしがしたくなり、若い女性のウェイトレスに周辺の治安を訪ねたところ「別にこの辺は大丈夫よ、もし何か危険な目に遭いそうだったら911に電話すればいいし」…って
そんなのんきなやり方がこの国で通用する気がしなかったのですが、まあちょっと歩いてみることに
夜の首都
アメリカ合衆国議事堂はCapitol(キャピトル)と呼ばれていて、まさにアメリカの政治の中心地となります
夜でもバッチリライトアップされていたのですが、そこに向かうまでの周辺の道はかなり暗くて殆ど車も人もいなかったので、ちょっとおっかない気持ちで歩き続けました
数年前にトランプ政権が敗北した際に暴徒化した市民が乱入した事件が起きたのはここなので、議事堂の周囲には柵が張り巡らされていて、車も人も入ることができません
周囲には発電機で照らす大型の照明がたくさん設置されていてかなり明るく、要所要所に警備員の人もいました
議事堂の周囲をぐるっと回ってみたのですが、周辺にある連邦庁舎、下院議員会館、議会図書館、最高裁判所、連邦政府庁舎などの巨大な建物がデーン、デーンと構えていて、ものすごい貫禄と威厳を感じました
東京の皇居の外周と少し似たイメージですが、一つ一つの建物がもっと大きくて迫力がありました
どの建物もローマやパリにあるような華麗な造りになっていて、夜でもライトアップされて強い威厳を感じさせます
ワシントンってこんなに立派だったのかー!ぽかーんと無邪気に口を開けながら歩いていても、警備が厳重だったので問題ありませんでした
そして夜の中央駅を通ってホテルまで戻りました
とにかく全ての建物が壮麗で大きく整然と並んでいて、なんだか小ぎれいなパリに来た気分がしました。これまでのアメリカの都市とは全く違う印象です
最も好対照なのはやはりニューオリンズのバーボンストリートでしょう、あのゴミだらけでごちゃごちゃした雰囲気(それはそれで良い)とは正反対です
ロサンゼルスを出発してからニューオリンズ、バーミンハム、ナッシュビル、アトランタ、チャールトンを経てワシントンD.C.まで10日、のべ5,121kmをほぼ鉄道(一部車)で旅をして、太平洋から太平洋までアメリカ大陸を横断するという目的を無事に達成することができました!
次はワシントンD.C.の博物館や美術館をレポートしたいと思います
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