未来のプリクラの話

現在までのプリクラの話

プリント倶楽部、通称プリクラは女子中高生を中心に人気の主にゲームセンターやゲームコーナーに設置されている写真機械である。

元々の機能は撮った写真を自由に落書きやデコレートしてシールとして好きな場所に貼るものだったが現在ではデータとして保存できるようになっておりSNSにアップして楽しまれている。

上記の自由に落書きやデコレートするという機能はプリクラの最大の特徴であり魅力であったが近年では撮った写真が自動で加工されることに大きな特徴がある。

加工のされ方も様々あり、初期は髪の毛の色を変えたり瞳の色を変える程度であったが近年では目が大きくなるものや輪郭がシャープになるもの、画面の下半分のみ引き伸ばされ脚が長く見えるものなどがある。その加工の“度合い”は年々大きくなっており、知り合いが写っているはずのプリクラを見た際に思わず「誰?」と問いたくなる程の加工が施されたものを見たことがある者も少なくないだろう。プリクラを撮るものにとってはこの容姿(顔面含む)の加工は必要不可欠なものとなっており、いつもより可愛くなった“自分”に満足感を得ている。

しかしこの加工について、不気味さを感じたことがある者も少なくないのではないか。私もその一人である。
先に挙げた近年のプリクラの代表的な「目を大きくする」、「輪郭をシャープにする」、「足を細長く見せる」等の加工、これらには一貫して“現実の物を拡張している”、“加工が一定である”という2つの特徴がある。わかりやすく例に沿って言うと被写体の目を一定割合大きくしている、被写体の輪郭を一定割合シャープにしている、被写体の脚を一定割合細長く見せているのだ。当たり前だと思うかもしれないがこの二つの特徴が不気味さを生んでいる。
そもそもこの容姿を加工するという機能は、言い方は悪いかもしれないがあまり容姿が優れていない、あるいは容姿に自信がない、容姿をファッションモデルなどの“完璧”に近いものに近づけたい者のための機能である。この近づけるという行為はやればやるほどいいといったものではなく、やり過ぎてしまえば再び理想から遠ざかってしまう。目の大きさが顔の半分もある人の容姿が優れていると思うものはあまりいないだろう。つまり元々“完璧”に近い容姿を持った者が加工されると、目が大きくなりすぎたり輪郭が細くなりすぎたり脚が細くなりすぎたりして“完璧”から遠ざかってしまう。これが不気味さの正体である。尤も撮っている本人はそれで満足しているかもしれないが…。

ここまで誰もが分かりきっているようなことを長々と書いたが、つまり何が言いたいかというと現在までのプリクラでは“完璧”な容姿にはなることはできない。

ではここからは本題である未来のプリクラの話をする。

未来のプリクラの話

先に“現実の物を拡張している”、“加工が一定である”という2つの要因によりプリクラに不気味さを感じると述べたが、これらは明確な問題点であり、未来のプリクラではこれらが改善される。ここで注意して欲しいのは、前者の“現実の物を拡張している”という点は改善されるのであってなくなるわけではない。
なぜか。そこに写っている人物が自分ではなくなってしまうからである。あくまで自分の容姿を元に加工されていることでプリクラを撮る者は自分が可愛くなったと思えるからである。

ではどう改善されるのか。それは一言でいうと“最適化”である。自分の容姿が自分の理想とする姿に近づく為に必要な加工の度合いは常に一定ではなく、人によって異なる。元々目が大きい人はそれほど大きくする必要はないし元々脚の細い人は故意に誇張して細く見せる必要はない。そこで自分の必要な分だけ加工が施されるのである。理想は人によって異なる。例えば目の大きさは顔面に対して◯%、鼻は□%、口は△%の比率が理想であると思う人もいれば、あるモデルのような比率が理想であるという人もいるだろう。
将来的にプリクラはそれぞれの人に対しそれぞれの理想とする容姿に近づけるための加工が施されるようになるだろう。

しかしそれだけではプリクラの進化は止まらない。何かが手に入るともっといいものが欲しくなるのが人間の性であり、最適化が可能になってももっと理想の容姿に近づきたいという欲求は出てくる。そこでプリクラはさらに進化する。

もっと未来のプリクラの話

自分の顔が理想の顔そのものになるプリクラが誕生するのである。これは前述した「自分の容姿を元に加工されていることでプリクラを撮る者は自分が可愛くなったと思える」という言葉と矛盾を感じるかもしれないが、“自分の容姿を元にして”、“顔そのものを変える”技術を我々はもう知っている。アニ文字だ。

アニ文字はiPhone XからiOS搭載された顔認証によりキャラクターが自分の表情に合わせて表情を変えるという機能である。
このキャラクターを各々の理想とする顔に置き換えるだけで上記のプリクラは実現する。ここから推察される未来のプリクラの手順はこうである。

スマホで各々理想の顔を生成する

プリクラ機の中で撮影する

落書き、デコレートする

シール、あるいは画像を受け取る

このプリクラにより将来全国の女子中高生は自分の顔を理想の顔にすることができるようになる。

以上未来のプリクラの話でした。

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