見出し画像

【第2弾・プロセス編】20人のスタートアップが、メルカリやDeNAに習ってメンバー200人になっても困らないミッションと行動指針を創る過程の話

自分が代表を務めるミラティブ社は、現在フルタイム20名(副業多数)のスタートアップとして運営されています(前回ポストから5名増えました^^)。
事業は順調に成長していて採用強化のフェーズに入り、200名になっても同じ目線感で動けるよう、メンバーが10名の時に行動指針を作りました。

実際にできたMissionと行動指針に込めた想いについては前回こちらのノートにまとめて、反響も多くいただきました。

そして、Mirrativってどんな会社?を凝縮したものは、折よくできた採用ページ(とても気に入ってます!ぜひご一読を!)にまとまりました。

第2弾の今回は、より具体的なプロセスで、どんな過程を経てミッションや行動指針ができていったかについて、あえて細かいコンテキストや黒歴史も共有して今後の起業家や組織を作る人の何かの参考になればと思い、noteしていきます。
登壇用にまとめたのでせっかくならフル活用したいというケチ根性の現れでもあります。その記事はこちら

今回も先に結論として、創られたものはこちらです。

言語化前夜

最初にこの「わかりあう願いをつなごう」の芽になったのは、リリース前に作ったコンセプト「友達ん家でドラクエやってる感じ」でした。

僕のインターネット原体験は音楽談義をするチャットルームや、ゲームの大会用にチームIDを交換する無料HP・BBSなどにあり、「ゲーム実況キテる」的なマーケットインの発想だけでなく、スマホ時代にふさわしい同じ趣味の人達をつなげるプロダクトを創りたい、という想いでできたのがMirrativです。DeNA時代に「ソーシャルゲームって言葉って最近できたけど、そもそも昔からゲームってソーシャルだったよね」という話をしていたのもここにつながってきています。

何とか「ドラクエ」という単語を使わずにうまく表現しよう、とリリース時に書いたアプリ内の「About」に簡単なポエムが残っています。
まだ「わかりあう」や「願い」という単語はなく、「感動の瞬間を、誰かとわかちあう」「コンテンツとコミュニケーションの関係を見つめなおすきっかけを創る」等、正直シンプルさはないながら、思想面での「芽」は散見されます。
*リリース時の「About」↓

そして、立ち上げ期の「ミッションの言語化とかヘチマよりとにかく立ち上がるか否かがすべて」期を終えてようやくサービスも軌道に乗ってきたころ(個人的に、Product Market FitするまではPMFに関係すること以外は全て二の次だと思っています。Y Combinatorの思想。)、「最近、少し何を目指しているのかがよくわからなくなってきた」という指摘がメンバーから出てきました。

エモみ会期

そこで、月に1回、「エモみ会」というのを始めました。エモみ会は、創業者である自分が、最近どんなことを考えているのかをとにかくざっくばらんに共有する会。

*画像はイメージです
今回改めて見直すと初回は2017年前半だったようで、こんなスライドを使って話をしていたようです(当時はまだDeNA内の事業で、MBOの話もなかった頃ですが、今となにも変わらずサービス哲学や組織運営に真剣に向き合ってきたのは僕らの誇れるとこの一つです)。

会のコンセプトとして、「気合入れて資料つくる会だと続かないから、とにかくラフに思想や短期KPIに影響しないことを話す場」としていました。よって資料もむちゃくちゃ雑ですw。


「わかりあう」という単語の初出は、2017年11月時点でのエモみ会。
「最近、任天堂ってやっぱすごい会社だなぁと改めて思うんだよね」という話を基点にして、踏まえて我々はどんな組織でありたいのか、というのを話した会でした。その最後に、「なんか最近思ってることとして、Mirrativが本質的に提供してるのは"わかりあう喜び"なんじゃないかなって気がしてきてる」というラフなスライドが残っています。

任天堂についてのスライド。

わかりあいについては最後に。

ここまででお気づきのとおり、この会は結構話題がハイコンテキストで濃い会wで、僕はこの会を通称「踏み絵」と冗談めかして言っていました。
ピーターティール曰く「最高のスタートアップは、究極よりも少しマイルドなカルト」で、「何をやるのか、なぜやるのか」が色濃く共有されている(一致している)チームである方が今はベターだと思っていました。(なお、エモみ会が毎月楽しみって言ってたメンバーは今も残っており、チームは好きだけどこの会は正直苦痛って言ってたメンバーは独立より少し前に新しい道に進んだりもしましたw)

考え続けた冬のある日に、単語がふと降りてくる

その後、MBOでの完全独立が内々で決まり、改めて「僕らは何の会社を創るんだろうか」ということを、年末年始に頭の片隅でずっと考えていました。「わかりあいを加速する」とか「わかりあう日々を目指して」とか、なんかちがうなー、、、という違和感とともに、とにかく頭の片隅に置いておきつづけた時期です。
そんな2月のある土曜日、カフェで仕事をしていた折に「あっ、我々がやりたいのは “わかりあう喜びを提供する” みたいな一方的なものではなくて、それぞれが持っている "わかりあいたい願いをつなぐ会社" なんだ」と天から降ってきて、自然に目頭が熱くなりました。言葉の強度に、その場でうずくまって反芻したのち、そのままCo-foundersに共有して漢字ひらがなの整形などして、「わかりあう願いをつなごう」ができました。

*そんな議論したりしてた登記日の写真

そのあとは、言霊の力が強く、noteに書いたり、メンバーに話したりしていく過程で、この言葉の強度がどんどん増していきました。
以下は、独立の件をメンバーにシェアした際のスライドよりそのまま抜粋。(いま見るとエモい)

その後、独立にあたって、当時10人弱のメンバーみんなを巻き込んで「どんな会社にしたい?」という問い、そして、「たとえば俺の頭の中にあるイメージはこんな感じなんだよね」を「エモみ会」で共有・ディスカッションし始めました。(2018年3月)

・リスペクトから始める
・好奇心駆動
・誰も「えらくない」
・斜に構えず、堂々と問う
・性善説をつらぬく
・エモく実行し、定量で振りかえる
今の行動指針や文化の源流には確実になりながら、まだまとまりのないWillの発信になっています。

その後、「エモみ会」は、副業メンバーが増えてきた社内事情とも相まって、月イチの「プレミアムエモイデー」に進化(?)します。「わかりあう願いをつなごう」というミッションを実現するために、まず我々自身がわかりあおう、という趣旨の、オープンな会です。

本題ではないですが、エモイデーでは毎月、ミッションに関する話をするようにしています。たとえば、7月にTwitterでバズった「プリン師匠」(最高です)の話は、これこそ僕らが創りたい体験だよね、わかりあう願いがつながる体験だよね、と話をする等。

他にも行動指針につながる話として、「なんかミラティブの文化ってこういうことじゃない?」という投げかけを毎月したりもしてきました。(たとええば、結局採用はされなかったものの、「雑」という単語がよく社内の会話で出てくることを踏まえて、↓の「雑」に関するview。敬愛するリブセンス桂さんとの会話の中で出てきた話を昇華)

こうした毎月の投げかけの結果、7月に合宿にて、メンバー全員で議論を尽くしてできたものが、今のミッションと行動指針になりました。合宿での過程は前回記載したとおりです。

「過程」や「時間」が強いミッションを創る

僕は「反脆弱性」という本が大好きなんですが、こうして振り返ると、とってつけたようなものでない(脆くない)強いミッションを作るのは、変わらない芯を持った上での「過程」や「時間」なのだろうなと思います。いろんな形でメンバーに共有したり、世間の風にさらされたり、自分の言葉で繰り返しているうちに、強度が増してくるものなのだなと。ミラティブの場合は↑のような過程でした。

奇しくも、ガンダム最新作にもナラティブという表題が使われるくらい、「ナラティブの時代」です。
「ナラティブ」は(同じ「物語」という翻訳でも、一本道の「ストーリー(プロット)」との対比として)、聞き手それぞれが経ていく過程や文脈の違いで、同じお話が「自分だけの体験」になり、ある事象が「自分だけの物語」として昇華されていくさまです。
(ナラティブって?は例えばforbesのこんな記事等に解説されています)

誰かがこのテキストを読んだことで、今までより少しだけミラティブという会社を解釈・独自理解してくれたのと同じように、メンバーひとりひとりがミッションに触れてそれを咀嚼していくプロセスそのものがナラティブ的だし、結果として強いミッションを創ったのだと今振り返ると思います。

終わりに:変わらないものを持って、組織は変わり続ける

QUEENの映画「ボヘミアン・ラプソディ―」が大ヒット中ですが、彼らの言葉を借りるなら「SHOW MUST GO ON」です。僕らが行動指針のすべてに「続ける」と入れているのも、やはり「続けるってこと自体勝負だぜ(by BOSS THE MC)」と思うからです。強いミッションを持って、その達成のために、組織は変わり続けていきます。

このポストも僕からのわかりあう願いです。何かビビっと来た人、語りたいことを感じた方、改めて、こちらの採用ページも見てもらえると嬉しいです。↑に書いた長い過程が、ぐっと凝縮された現時点での形でもあります。(そして、この変わり続けるプロセスそのものに参加して、最高のサービスとスタートアップをいっしょに作りませんか、という投げかけです。)

過去の黒歴史・見苦しい部分も含むポストでしたが、改めて組織運営は正解のない・正解の変わる七転八倒の連続と感じます。同じように日々葛藤しながらストラグルする起業家や組織設計をする方々の何かの参考になれば幸いです。自分に何かできることがあればいつでもTwitter等に気軽にご連絡ください!それではまた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?