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面接官が泣きそうになる面接

面接をしていると、たまにこちらが泣きそうになってしまうことがある。それはどうやらリモート面接でも起こるらしい。

色んなパターンがあるが、先日のその瞬間は22歳とまだ若いデザイナーを面接しているときに訪れた。名をH野さんという。

ZoomでつながったH野さんは、いかにもおどおどしていた。
初対面の齢37・Tシャツ眼鏡オッサン(注:ワシ)がカメラの向こうにいるわけなので、とりあえず緊張をほぐさなきゃな、と2、3の雑談などをして(確か、ミラ社のデザイナーヘッドである金髪の見た目怖いおにーちゃんを雑にいじったりした気がする)、
「業務委託は、実際してみて調子どうですか」、など話をはじめた。(ミラ社では、お互いの本当の相性を知るために、社員になる前に業務委託のステップを踏んでもらうことも多い)

緊張も解けてきて、「H野さんにとってデザインというのはどういうものなんですか?」と聞いた時のことだ。
少しだけ考えたH野さんは、それまでのおどおどした様子からスイッチが入ったように目の色を変えて「…人生そのものですかね。」「絵を描いていない自分というのは想像ができない」という話をした。僕は少し泣きそうになってしまった。

その瞬間の彼女の雰囲気は、ほとんど漫画「ブルーピリオド」の躍動するコマのようだった。

"自分は絵を描くという行為そのものに執着したい。もっともっと絵がうまくなりたい。ただ、自分は芸術家ではなく「デザイナー」になりたいのだ”、という話などを彼女は熱心に私にした。

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虹プロジェクト(*ご多分に漏れずまんまとハマった)でJ.Y.Park氏が「新人のオーディションがいちばん美しくて好きだ。それは、切実さ、必死さ、情熱があふれ出て来る瞬間があるからだ」というようなことを言っていた気がする。緊張が解けて話す彼女は、デザインに対して切実で、必死で、情熱をささげていることが明らかで、そしてそれを誇るでも操るでもなく、ただただ当たり前のこととして発露していた。それは素敵な光景だった。その姿勢だけで、尊敬できる人だなと思った。

私はその場でぜひ一緒に働きたいと伝えた。(*特にJYP氏のように「キテクダサイ」などとは言っていない)

そのあと、ミラティブは何を目指しているのか、「わかりあう願いをつなごう」とは何なのか、それにはどういう原体験があるのか。などについて、たぶんいつもより随分と熱っぽく話した。Zoomごしだったけど何か伝わったように思えたので、それもひとつの「わかりあう願いがつながる」瞬間だったように思う。そういう瞬間をユーザーや仲間の間で少しでも増やしたくて会社をやっている

先日、H野さんがデザインした初めてのアバターがリリースされた。ユーザーにもとても好評だったようだ。同僚のデザイナーNさんが、「自分の推しの配信者さんがH野さんのデザインしたアバターを着ていてとてもハッピー」、と書いていた。一流が一流に惹かれ、仲間やユーザーに熱が伝播する。組織全体でできているかでいうとまだまだだが、当社ではこうあってほしいモノづくりだな、と思った。

仕事における理想とは何だろうか、と考えた時に、自分の人生そのものと仕事がなめらかに混ざり合っている、というさまはとても理想的に思える。
自分もそうありたいし、各々の人生の意義と、ミラティブで働く理由というものは最大限すりあっていてほしい。この難しさは日々実感するのだが、経営として努力を続けたい。

H野さんの面接のレポートには、「ハイパーストイックで向上心の塊、絵描くことそのものに執着しきっていて僕はとても良いな尊敬できるなと思いました。(中略)こういう人にもちゃんと報いていける会社でありたいなと身が締まりました。」と書いた。

純粋な才能に選びつづけてもらえる会社でありつづけねば、と思わされる面接だった。今後もそんな、泣きそうになる面接がたくさんできると良い。


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