ライブゲーミング誕生のきっかけと、プロダクトづくりへのヒント
ミラティブ赤川です。
前回は、ビッグウェーブになってきた「ライブゲーミング」の種別を引きながら、グローバルでもどんどんサービスが出てきている様子などを書きました。
今回は、ライブゲーミングを思いついたきっかけから見る今後の展望です。
*今回は、スタートアップのプロダクトづくりやイノベーションづくりのヒントにもなるかなと思っています!
きっかけ=ユーザーの発明と観察
当社がライブゲーミングに張り始めたきっかけは、創業者の苦悩の果ての奇跡のひらめき…では全くなく、ユーザーの「観察」でした。
2017-18年頃、ユーザーがMirrativ上である「遊び」を「発明」したのです。
シンプルな「ルーレット」のアプリを使った遊び=「ルーレットゲーム」です。
ある配信者が思いつき、「これはなんか面白い遊びだぞ」というので、配信者の間にバイラルしていったのです。
元のルーレットアプリ自体は、非エンジニアの私でもがんばればワンチャン開発できそうなシンプルなアプリで、自由文入力欄があって、欄を増減できます。押すとルーレットが回ります。(ライブ要素・サーバー通信はゼロです)例えばこんなアプリです。
そしてMirrativは、「スマホ画面をライブ配信できるアプリ」なので、このルーレットを映したまま配信ができました。
すると、このルーレットアプリを使ってある日突然、配信者が「いま見てくれている視聴者の名前を入力してルーレットを回し始めた」のです。
そして、「ルーレットが当たった視聴者は配信者の決めたお題に回答する」というルールを配信者が定めました。
お題は配信でできることなのでかわいらしいもので、「名前に〇〇推しってつける」「コラボ通話をつないで歌を歌う」などの内容でした。
ただ、絶妙な偶然性が楽しく、「え~やめてよ~」「www」などの笑顔のリアクションが配信内に飛び交い、ユーザーさんたちが延々とこの「配信遊び」を楽しんでいました。
そして、「面白そう」ということで次々に別の配信者に飛び火し、どんどんとサービス内で広がっていったのです。
そんな、これぞUGCという様子を観察していて、「これはめちゃくちゃインターネットっぽい…!面白すぎる…!」と衝撃を受けました。
つまり、
「なんの変哲もないルーレットアプリが、
①皆が同じ画面をリアルタイムで見ている
②配信者をホスト役にコミュニケーションする
という構造になっただけで、
新しい”遊び”になっている」
ことに気づいたのです。
その時、「あー次のゲーム体験は、ライブxゲーム=ライブゲーミングになるんだ!!」と雷が落ちました。
(→第1回で紹介したようなゲームが絶対出てくるな、と確信を持ちました)
小さく検証、また観察
それから熱にうなされたように「ライブゲームや…!」となり、Mirrativのメイン部分を伸ばすのと並行で2019年から未来への投資・R&Dとしてライブゲーム開発を小さく始めました。
結果としてはたくさん失敗もしたのですが、ミラティブはユーザーが触っている様子をリアルタイムで生々しく見られる分、学びも深く、少しずつゴールに近づいて行っている感がありました。
(ゲーム開発やサービス開発は、「当たるか当たらないかは出してみないと最後はわからない、だからこそ当たらなくても同じチームで学びと練度を積み上げていく」のも大事だと思っています。「エモバト」も同じチームの2本目の開発です)
小さく出してPDCAを回していき、12月に月1億円のサイズまで何とか成長してきたのが「最新の現在地」です。
振り返り・学び
ものづくりの失敗でありがちなこととして、「概念」「提供者論理」が先行するとコケがちです。
「時代的に次は〇〇が来るはずだ!」や「いま流行りの〇〇を取り込んでみました」などの提供者の「妄想」が先行しすぎたものです。(自分も何度もやらかしてきました…)
ユーザーは「自分のニーズを満たしてくれるからサービスを使う」だけであって、概念でサービスを使う・使い続けることはないので、この手のプロダクトはコケがちです。
(最近だと、「メタバース」にはまだ概念先行の感覚があり、ユーザーは今は「メタバースだから使う」ということはなく、「毎日さわりたくなるゲームやゲーム系SNSがあるだけ」です。それに業界人が勝手にメタバースという名前をつけている状態です)
なので、実際にユーザーを「観察」して、実際にとっている「行動」「現象」を、もっとやりやすくする・ふくらませるとうまくいく、と思っています。(このあたりは過去にも書いたミラティブの開発哲学でもあります)
その観点からも、「ルーレットゲーム」でユーザーから具体的な「行動」と、それが伝播していく強烈な「熱量」を観察できていたのがライブゲームでは良かったです。ブレずに投資を継続でき、今はエモバトなどの利用をまた観察しながらPDCAしていっています。
そしてここからは、これまでの学びを広く共有しながら、ユーザー体験の幅をもっと広げていこう、というフェーズになります。
ユーザー観察しながらのものづくりは楽しい
これから一気にライブゲーミングは広がっていくはずですが、特長として「リリース後にユーザーが実際に触っている様子を開発者も観察しやすい」、というのがあります。その分、PDCA・進化も早いと予測しています。(何より、ユーザーの様子・生のリアクションが自然と見られるので開発者冥利につき、テンションが上がります。)
自分たちで作ってみて出してみて学べることは多く、かつ、ルーレットのように「ものすごくシンプルなものでも新しい遊びを作れる可能性がある」、1本出すのに1-数名x短期間でできるというのも今のこの領域の面白さです。
とりあえず1本作ってみたくなった人はぜひ以下からお声がけください。
↓採用中職種。顧客向き合いのものづくりに共感いただける方はぜひ。
次回は、ライブゲーミングの流れはゲーム産業・エンタメ産業にどんな影響を与えそうか?ということを書いてみたいと思います。
「誰かのためにお金を使うゲーム市場」が登場しつつあるよ、という話になる予定です。励みになるのでよかったらフォローやシェア、スキしていってください!!
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