楽器を上手くなるための意識

はじめに

 さて、皆さん曲を練習するとき何をご覧になっているでしょうか。多くの人は譜面から情報を得ていると思います。しかし、譜面に載りきらない情報というのはゴマンとあります。上達にはその情報が不可欠です。
 どの楽器にも言えることなら、フレーズ中の音量差やアクセント、どの拍に向かってフレーズが進行し、着地するのか。音価(音の長さ)はどうか。ギターやベースなら右手のアタックのニュアンスやピックアップに対しどの位置で弾いているか、あるいはピッキングのアングルは順アングルなのか、正アングルなのか、逆アングルなのか。
 上げだしたらキリがないくらい、楽譜に載っている情報は些末なことなのです。

 ということで、今回は「〇〇するためには〇〇しましょう!」という技術的なレクチャーでなく、それ以前の話です。長くなるだろうとは思いますが、ぜひ頑張って目を通してください。

曲を聴き込む

 まず1つ目ですが、ニュアンスやリズムを完璧に歌えるほどに曲聴き込むことです。
 これの目的は、「細かなニュアンスまで把握しきること」です。もちろん、普段のライブに向けての練習では、時間も限られてしまうので難しいことではあると思います。ですので、1曲のワンコーラスやリフ程度の短いものでも構いません。とにかく曲を聴き込んでください。

耳コピ(目コピ)とは

 耳コピ(目コピ)で重要なことは「楽譜を見ずに曲を覚えられること」ではありません。「楽譜に載っていること以外に重要なところを覚えること」です。
 はじめにも書きましたが、このようなことは沢山ありますので、譜面を追うことだけをやっていると上達の時間が非常にかかります。
 ただ、耳コピ(目コピ)とは言っても何をすればよいか?という疑問が沸き上がると思いますが、答えは簡単で、

「聴き込んだ曲と譜面を(譜面を読んでいない場合は自分の感覚を)等しく擦り合わせること」です。

 僕はよく「録音録画して見返すと良い」と言っているのですが、その本質はここにあります。自分の演奏と、本人の演奏では何が違うのかを、目で、耳で比べて改善点を発見し、それを都度修正していく。これが重要なことなのです。

 これそもそもの根本的な話は楽器以外にも通じます。スポーツをやっている、あるいはやっていた方、フォームやステップのリズムって別に譜面なんかないですよね。沢山素振りしたり、あるいは映像や本物のプレーを参考に、自分のプレーを練習しますよね。
 音楽以外の芸術だってそうです。プロのものを真似して、たくさん手を動かして、見比べて、だんだん上手くなっていくものです。
 寿司職人やてんぷらの職人だって、ずっと板前さんのそばで見る修行を積みます。

逆にそれをしないでどう上手くなるだろうか?というのが「出来合いの楽譜だけで練習するな」と言っている所以です。

トランスクリプションについて

 ひとつ誤解を生みそうなので言及しておきたいのが「トランスクリプション」は全く悪ではないです。寧ろどんどんやっていただきたい。
 トランスクリプションとは、曲を自分で譜面に起こすことです。これは譜面に起こす過程で曲をしっかり聴き込むことになりますので、耳コピの意義を達成しています。ですのでトランスクリプションをやられているかたはそのままやっていただけると良いと思います。

クォート(引用)をしてみる

 せっかくコピーしたフレーズやテクニックを、そのまま使わないのはもったいないです。どうせなら使ってみましょう。
 たとえば、非常に淡泊なフレーズでもっと抑揚をつけたいなあと思ったら、他の曲からアクセントを引用したり、装飾音をつけたりしてみましょう。人のテクニックを自分のものにする練習だと思って色々やってみましょう。

僕がギターを練習するうえで意識していること

 僕はギターしか弾くことができないので、ギターについてしか言及することしかできませんが、主に意識していることを挙げてみます。

  • 運指(どの指をつかっているのか)

  • 音価(音の長さは適切か)

  • 音程の細やかな揺らぎ(ビブラートやクウォーターチョーキングなど)

  • 右手のアタック感(音の立ち上がりの速さ)

  • アクセント

  • ピックアップに対してどの位置で弾いているか

  • ピックのアングルによるニュアンスの変化(順アングル、正アングル、逆アングル)

  • ビートの重心(頭重心か、バックビート重心か)

ビートの重心についてはつい最近意識しだしましたが、あまりにも根本的なことすぎて矯正に苦心しています。これに関してはまた別の機会にということで。

おわりに

 楽器の練習には近道はないと思いますが、より効果のある練習をすることはできます。もしこの投稿で、普段の練習を見直したり、よりよいものにしていただけたら嬉しいです。楽しく練習つづけましょう。

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