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日本とアメリカのビタミンDの推奨摂取量の違いとその理由


ビタミンDは、骨や免疫系の健康に重要な栄養素ですが、天然に含まれる食品は少なく、日光からも限られた量しか得られません。そのため、ビタミンDの摂取量は、国や地域によって異なる推奨基準が設定されています。この記事では、日本とアメリカのビタミンDの摂取量の違いや、摂取量によってどのような効果があるのかについて紹介します。

日本とアメリカのビタミンDの摂取量の違い




日本では、厚生労働省が「日本人の食事摂取基準」¹として、ビタミンDの1日の推奨摂取量を以下のように定めています²。

– 0~17歳:5.5~8.5μg

– 18~29歳:5.5μg

– 30~49歳:5.5μg

– 50~69歳:5.5μg

– 70歳以上:5.5μg

– 妊娠中・授乳中:5.5μg

一方、アメリカでは、全米科学・工学・医学アカデミー(NASEM)の食品栄養委員会(FNB)が「食事摂取基準」³として、ビタミンDの1日の推奨摂取量を以下のように定めています⁴。

– 0~12ヶ月:10μg(400IU)

– 1~13歳:15μg(600IU)

– 14~18歳:15μg(600IU)

– 19~70歳:15μg(600IU)

– 71歳以上:20μg(800IU)

– 妊娠中・授乳中:15μg(600IU)

これらの数値を比較すると、日本の推奨摂取量は、アメリカの推奨摂取量の約半分以下であることがわかります。この違いは、日本ではビタミンDの欠乏症のリスクを回避するための最低限の摂取量を基準としているのに対し、アメリカではビタミンDのカルシウム、骨、筋肉代謝に対する効果を最大限に発揮させるための摂取量を基準としているためです⁴。

ビタミンDの摂取量による効果


ビタミンDの摂取量が不足すると、骨が軟化し、細くなり、脆くなる病気を発症するおそれがあります。この病気は、小児の場合は「くる病」、成人の場合は「骨軟化症」と呼ばれています⁴。また、ビタミンDの欠乏は、骨粗鬆症、筋力低下、感染症、自己免疫疾患、心血管疾患、糖尿病、がんなどのリスクを高めるとも言われています⁴。

一方、ビタミンDの摂取量が過剰になると、血中カルシウム濃度が上昇し、腎臓や心臓に障害を引き起こすおそれがあります。これは「ビタミンD中毒」と呼ばれています⁴。ビタミンD中毒の症状には、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、多飲、多尿、腎結石、不整脈、筋力低下、頭痛、錯乱などがあります⁴。

ビタミンDの摂取量の適切な範囲は、個人差や環境要因によって異なりますが、一般的には、血清中の25-ヒドロキシビタミンD(25 (OH)D)という指標で判断されます。25 (OH)Dは、食物やサプリメントから得られたビタミンDと、日光から生成されたビタミンDの両方を反映しています⁴。NASEMのFNBは、25 (OH)Dの血清濃度が30nmol/L(12ng/mL)未満ではビタミンD欠乏症のリスクがあるとし、50nmol/L(20ng/mL)以上が十分な値であるとしています⁴。一方、内分泌学会は、75nmol/L(30ng/mL)以上が必要であるとしています⁴。

まとめ


ビタミンDは、骨や免疫系の健康に重要な栄養素ですが、天然に含まれる食品は少なく、日光からも限られた量しか得られません。そのため、ビタミンDの摂取量は、国や地域によって異なる推奨基準が設定されています。日本とアメリカでは、ビタミンDの推奨摂取量に大きな違いがあります。ビタミンDの摂取量が不足すると、骨や全身の健康に悪影響を及ぼすおそれがありますが、過剰に摂取すると、中毒症状を引き起こすおそれがあります。ビタミンDの摂取量の適切な範囲は、個人差や環境要因によって異なりますが、血清中の25 (OH)Dの濃度で判断することができます。

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