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ピーター・グリーナウェイとマイケル・ナイマン

3/2(土)よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次開催予定の特集上映、『ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師』。英国アート映画界の先駆者として世界中でカルト的人気を誇るグリーナウェイ監督作品の中から、4Kリマスター含め選りすぐりの4作品を上映する特集上映ですが、注目ポイントのひとつに、作品全ての映画音楽を担当しているのが、『ピアノ・レッスン』等でも知られる世界的な作曲家マイケル・ナイマンだと言う事が挙げられます。

↑上記は特集上映の作品のひとつ『プロスペローの本』(91)撮影時のグリーナウェイとナイマン。この2人の天才によるタッグは、まさに世紀のコラボレーション!異彩を放つグリーナウェイの世界に音で更なる煌めきを与えたナイマンの音楽もスクリーンでご覧頂く際には是非ともお楽しみ頂けたらと思います。

そんなマイケル・ナイマン、偶然にも同じ3月に映画音楽を手掛けた『ピアノ・レッスン』の4Kデジタルリマスター版が公開されるそうです!名曲「楽しみを希う心」を劇中でもう一度堪能できる貴重な機会なので、是非とも併せてご覧頂けたらと思います!

マイケル・ナイマン関連作が連続公開する3月、こんな偶然はなかなかないですね…!

マイケル・ナイマン/Michael Nyman
1944年、イギリス東ロンドン、ストラドフォード生まれ。
音楽学校を卒業後、雑誌The Spectatorで音楽レビューを執筆。そこで用いたミニマル・ミュージックという表現が一つの音楽ジャンルとして定着。ミニマル・ミュージックという呼称の生みの親なのだそうです。また、ナイマン自身もこのジャンルに属した音楽を数多く作曲しています。
1976年にイタリアの劇作家カルロ・ゴルドーニの喜劇「イル・カンピエッロ」の音楽を担当し、この時に結成した楽団「カンピエッロ・バンド」が、後に「マイケル・ナイマン・バンド」に名を変え、日本や世界中でコンサートを行っています。
下記は、マイケル・ナイマン・バンドの演奏動画。演奏曲は、今回の『ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師』上映作品のひとつ『英国式庭園殺人事件 4Kリマスター』から「Chasing Sheep is Best Left to Shepherds(羊飼いにまかせとけ)」です。冒頭の華やかな幕開け的メロディーが印象的です。

グリーナウェイとは、彼がまだ短編を撮っていた時代に借りていた部屋でゴダールやアラン・レネ、黒澤明作品の上映会を通じて知り合い、短編『5 Postcards From Capital Cities』(67・未)から初めてタッグを組みます。グリーナウェイ以外の映画音楽では前述の『ピアノ・レッスン』(93)、パトリス・ルコント監督作『仕立て屋の恋』(88)、『髪結いの亭主』(90)、アンドリュー・ニコル監督のハリウッド大作『ガタカ』 (97)など等数えきれないほど有名な作品があります。
ちなみに、1999年には沖縄を舞台にした中江裕司監督作『ナビィの恋』のメインテーマの作曲も担当しました!

「料理の鉄人」やトヨタ・クラウンのCM曲など

日本でナイマンの楽曲といえば、90年代に流行した料理番組「料理の鉄人」で使われた「Lady In The Red Hat(赤い帽子の女)」が知られています。番組のクライマックス、結果発表の時に流れる緊迫したメロディを聞けば思い出す方もいるのではないでしょうか。

「Lady In The Red Hat(赤い帽子の女)」は、今回のグリーナウェイ特集上映の『ZOO』で聴く事ができます。他にも、トヨタ・クラウンのCM曲と言われたらピンと来る人もいるかもしれません。

『ピーター・グリーナウェイ レトロスペクティヴ 美を患った魔術師』の予告篇でもマイケル・ナイマンの曲をふんだんに使用しています!美と毒の饗宴を引き立てるナイマンの楽曲たち、是非聴いてみて下さい!

[予告使用楽曲]
・Chasing Sheep is Best Left to Shepherds(羊飼いにまかせとけ)
・An Eye For Optical Theory(光学理論の眼識)
『英国式庭園殺人事件』より
・Lady In The Red Hat(赤い帽子の女)
・Time Lapse(タイムラプス)
『ZOO』より
・Wheelbarrow Walk(ホイールバロウ・ウォーク)
『数に溺れて』より
・Miranda Previsited
『プロスペローの本』より

特集上映は3月2日(金)より全国順次ロードショー!
是非ともご来場下さいませ。