診療記録のどこに注目して情報を収集するべきか?(大腿骨転子部・転子下骨折)
理学療法を行う上では、生化学検査データを確認したうえで貧血・低栄養に留意する必要がある。
関節包外に位置する転子部の骨折では出血量が多く、受傷後に貧血を合併することが少なくない。
入院時の貧血は術後歩行能力と関連するため、ヘモグロビン量を把握しておく必要がある。
栄養状態の低下もまた術後歩行能力へ影響を与える一因であり、術前後の血清アルブミン値(Alb)や血清総蛋白量も把握しておく必要がある。
術後は手術侵襲に伴う生理反応として蛋白質や脂肪の異化作用が亢進するため、急激に栄養状態が低下する。
中等度以上の栄養障害(Alb<2.5g/dL)を呈する場合、高強度の筋力増強運動は蛋白質の分解を助長するため禁忌となる。
血清総蛋白(TP):基準値6.5~8.0g/dⅬ)
5g/dⅬ以下(高度減少) 5~6g/dⅬ以下(中等度減少)
ヘモグロビン(Hb)
基準値:男性13.5~17.6g/dⅬ 女性11.3~15.2g/dⅬ
高度貧血:男性8.0g/dⅬ 女性7.0g/dⅬ
*補足
炎症症状を知る指標としては、Dダイマー、WBC数(白血球数)、CRPなどがある。
参考文献:極める大腿骨骨折の理学療法p151
臨床検査データブック第8版
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