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「じゃがいも」のお寺話28 大乗仏教

お釈迦様が涅槃に入ってから約200年後、紀元前300年〜紀元前200年くらいの間のインドは、アショーカ王(阿育王)と呼ばれる王様(ラジャ)が歴史上最大の広さを統治したようです。
アショーカ王は熱心な仏教の信者であったと伝わり、インド全土に仏教を広めることに多大な影響を与えました。スリランカにもアショーカ王の時代に仏教が伝わりました。
お釈迦様の時代の仏教を原始仏教と呼びますが、原始仏教の教えや戒律に近い内容を守っている、スリランカ、ミャンマー、タイなどの上座部仏教国にはアショーカ王の時代にスリランカに伝わった仏教が広まったと考えられています。

仏像が初めて作られた場所の一つとされるガンダーラにもアショーカ王の時代の伝播の中で仏教が伝わりました。ガンダーラは今のパキスタンの北西部に当時存在していた王国の名です。現代では地名も残ってはいないようです。
ガンダーラ王国は紀元前500年代から西暦1000年の1500年くらいの間存続し、紀元前後の辺りから600年くらいの間を納めた王が仏教を信仰したため、以後の様々な仏教の発展や変化に影響を与えることになりました。

紀元前後の時代のインドの中では、新しい考え方をする仏教がたくさん興りました。
仏教の誕生から400年、500年も経つと最新で新鮮であったお釈迦様の教えも更なる変化を求めたり教えの論理的な構成をさらに細かく研究されたりしていくのは常なのでしょう。
ニュートン力学で世の中の物理学は完成したと思ったら、電磁気学が見つかり相対性理論が生まれて現代では量子力学が完成しようとしています。世の中とはそうしたものでしょうか。
原始仏教に対して新しい考えの仏教なので新仏教と言えそうですが、後の言い方としてこの時期に生まれた新しい仏教の総称を大乗仏教と表して良いようです。

原始仏教では、お釈迦様の教えに従って律を守り真摯に修行を行って悟りを開き安寧な生活を手に入れることを目標とします。悟りを開いた人を阿羅漢(羅漢)と呼びます。原始仏教では阿羅漢になることを目指します。

原始仏教では阿羅漢を目指すのであって、仏陀になる方法は一切説かれていません。新仏教では誰もが仏陀になれる。仏陀になるための別の修行があると、仏陀を目指すことを主張するようになりました。
原始仏教で示した阿羅漢になる方法はあくまで初級編であり、お釈迦様の原始仏教の教えの背後にはより深い真理がある。その真理を理解して修行をすれば仏陀になれる。とする前提で、お釈迦様のより深い真理をお釈迦様の言葉として経典にまとめて行きました。

大乗仏典は西暦紀元前後から大乗仏教教団によってサンスクリット語でまとめられました。大乗仏教経典以前の阿含経などはパーリ語で書かれています。
大乗仏教の代表的な経典として、般若経、維摩経、法華経、華厳経、浄土三部経、涅槃経、梵網経、大日経、金剛頂経などが順次作られて行きました。

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