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「小さくなるまちづくり」を考える①

 昨今、少子高齢社会によって人口が減っていることから、様々な地域のまちがその社会を維持できなくなってきている、という課題が出ています。
 この課題に対して、私は「小さくなるまちづくり」という解決策の可能性について考えてきました。今回から、「小さくなるまちづくり」について私なりの考えを複数回のnoteに書いていこうと思います。

目次
・そもそも「人口減少」でなぜ社会が維持できなくなるのか
・「縮小・衰退」を前提とした「ちいさくなるまち」のゴール

○そもそも「人口減少」でなぜ社会が維持できなくなるのか
 今回取り上げる課題は、「人口減少によって地域のまちが、社会を維持できなくなる」というものですが、まずはなぜ人口減少すると社会を維持できなくなるのかを整理します。
 社会は人々のつながりと活動によって成り立っています。特に、地域のまち規模になると身近な活動(ゴミ捨てや安全見回り等)が多くなります。人口が減ることは、このつながりと活動が減少してしまうことに直結します。つながりが減少してしまうことに対しては、人数が少なくなるので新たに結びなおすことが比較的容易にできるかと思います。しかし、活動については人手が減りますから縮小せざるを得ません。活動の縮小は、そのまま社会の維持にも影響してしまいます。
 次に、現代の社会は資本主義を土台としています。資本主義は、私たちの欲望をエネルギーに、お金を材料として競争を通して無限に成長・拡大をしていく仕組みです。つまり、「成長・拡大」が前提となっています。人口減少は、この成長・拡大に対して真逆の動きとなります。欲望を持つ買い手が減るのと同時に、欲望を満たすものを創る売り手の人も減ってしまいます。すると、今までの人数の活動を満たしていたサービスを縮小しなければならなくなります。また、大人数向けであればできた効率化もできなくなり、値段を高くする必要も出てきます。経済活動が小さくなるので、税収も減少してしまい公共サービスも同じく縮小していかなければなりません。つまり、私たちの経済的な便利さが失われてしまうということです。

○「縮小・衰退」を前提とした「ちいさくなるまち」のゴール
 人口減少による特に大きな影響は、資本主義を前提とした現代の社会を維持できなくなることです。そこで私は、真逆の「縮小・衰退」を前提とした社会、すなわち「ちいさくなるまち」を創れないか考えています。
 まず、資本主義では拡大・成長が必要なのでまちをどんどん大きくする必要があります。具体的には、未開拓の土地を住宅地や工場に変えて人を呼び込み、経済活動を行わせてお金を生み出していきます。これに対して、ちいさくなるまちは人口が減少して人が使わなくなった住宅や工場を、自然に還していく活動を行います。建物を壊してキレイに更地に戻し、木を植えて森にしていきます。同時に、すでに住んでいる人々をまちの中心へと誘導していき、少ない人数でも効率的に経済的・公共的サービスを実施・享受できるようにしていきます。最終的には、まちの中心もちいさくなっていき、誰もいなくなることがゴールになります。

 次回は、「ちいさくなるまち」のより具体的な活動と、実現のための課題について考えます。


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