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【英文法の話004】節と句 その2

前回の記事では、「節」と「句」の違いについて説明しました。今回はもう少しすすめて、品詞とのかかわりについて考えてみることにしましょう。

「品詞で優先的に覚えるのは4つだけ」でしたね。実は、節と句は、この4つの品詞のうち、名詞、形容詞、副詞の性質のいずれかをもつことができます。このあたりは難しいのでしっかり理解したいところですね。

名詞+節=名詞節 / 名詞+句=名詞句 になる

始めに名詞の性質を持つ節と句について紹介します。こういうものはそれぞれ「名詞節」「名詞句」と言います。

ところで「名詞の性質」というは、一番特徴的なのが主語、目的語、補語になることができる、というものです。節や句が名詞の性質を持つわけですから、節や句も同様に主語、目的語、補語になることができます。まず次の文を見てみましょう。

I like tennis.
私はテニスが好きです。

上の文では、tennis という名詞が目的語になっています(目的語というのは、日本語では「~を」「~に」にあたる部分です。基本的に動詞の後ろにあるものと思って大丈夫)。これを次のように変えるとどうでしょう?

I like to play tennis.
私はテニスをすることが好きです。

さっきまで目的語は tennis だけでしたが、今回は to play tennis に置き換わっていますね。この部分(不定詞)は「句」になっています

さて、ここまでの話をまとめてみましょう。

①名詞は、目的語になることができる
②目的語の位置(like の後ろ)に不定詞という「句」を書くことができる

名詞は目的語になり、目的語の位置に句がある…ということは、句が名詞の役割をもっているということになります。こういうものを名詞句と呼びます。

名詞節も例を見ておきましょう。

(A) I believe him.
私は彼を信じている。
(B) I believe that he isn't telling a lie.
私は彼が嘘をついていないと信じている。※tell a lie : うそをつく

こちらもさっきと同様に考えてみましょう。(A)では、himが目的語になっています(believe という動詞の後ろにありますね)。(B)では、同じ位置にthat から始まる節が来ています。節が目的語の役割をしている。目的語は名詞がなるものですから、これは名詞の節、つまり名詞節になっている、ということです。

形容詞+節=形容詞節 / 形容詞+句=形容詞句 になる

続いて形容詞節と形容詞句を見ていきましょう。その前に、形容詞って何でしたっけ? 覚えていますか?

形容詞とは、名詞を修飾するものである。

これが形容詞でしたね。名詞を修飾する(説明する)部分になるというわけです。形容詞のおさらいもかねて、以下の文を見てみましょう。

That black cat can run fast.
その黒い猫は速く走ることができる。

上の文の形容詞はどこにあるかわかりますか? …… black が形容詞になっています。修飾している語は cat ですね。「黒い猫」ということで、日本語でも「黒い」は形容詞になっているので、わかりやすいと思います。さて、次はどうでしょう?

That cat under the chair can run fast.
椅子の下にいるその猫は速く走ることができる。

修飾されているのは同様に cat ですが、どの部分が修飾しているかわかりますか? …… 答えは under the chair の部分です。cat を詳しく説明しているのは「椅子の下にいる」のという部分ですね。この部分ですが、句になっています(主語がないですよね)。

さて、まとめてみましょう。

①black は、cat という名詞を修飾する形容詞である
② under the chair という「句」も同様に、cat という名詞を修飾している

以上から考えると、句が形容詞として働いていることがわかります。つまり形容詞句になっている、ということです。

形容詞節も見てみましょう。これの典型例は関係代名詞です(中学生はこれに悩まされます。中学英語最後の難関です)。

The cat which he has can run fast.
彼が飼っているその猫は速く走ることができる。

これの形容詞、つまり cat を修飾している部分わかりますか? ……関係代名詞から始まる which he has の部分が正解です。これは主語 he と動詞 has があるので節ですね。名詞 cat を修飾する節、つまり形容詞節です。

副詞+節=副詞節 / 副詞+句=副詞句 になる

最後に副詞節、副詞句を見てみましょう。さて、副詞って何だったか覚えていますか?

副詞とは、名詞以外(動詞、形容詞、副詞、文全体)を修飾するものである。

これが副詞ですが、考え方は形容詞のときとよく似ています。修飾する言葉が名詞ではないということに注意すれば大丈夫です。

副詞の役割の話を先にしますが、その一つに「時を表す」というものがあります。話していることが今日のことだったとか、去年のことだったとか、「いつの話だったか」を表現できるということです。たとえば、

I went to the United States yesterday.
私は昨日、アメリカへ行った。

これは、「アメリカに行ったこと」が昨日であるとわかる yesterday の部分が副詞になっています。さて、こういった時を表す副詞を句にしてみましょう。

I went to the United States three weeks ago.
私は、3週間前にアメリカへ行った。

「3週間前に three weeks ago」という、時間を表現する部分が句になっています。時を表す部分は副詞で、それが今は句になっているから…副詞句になっていることが分かりますね。

副詞節の例も見ておきましょう。接続詞 when を使ったものが好例です。

I went to the United States when I was twelve years old.
私は、12歳の時にアメリカへ行った。

「12歳の時に when I was twelve years old」という部分は、節になっています。時を表すから副詞なので、副詞節ということですね。

まとめ

長くなりましたがまとめです。

☆節や句は、名詞、形容詞、副詞の役割を持つことができる。
☆名詞の役割を持つと、名詞節、名詞句になる。
☆形容詞の役割を持つと、形容詞節、形容詞句になる。
☆副詞の役割を持つと、副詞節、副詞句になる。

今回の話は、慣れないとかなりややこしいと思います。高校生くらいの子を相手に教えていると、わかりづらいのは「英文そのものにまだ慣れていない」「(とりわけ)形容詞、副詞の理解が追い付いていない」ことが原因のようです。ある程度勉強がすすんだらまた振り返ってみましょう。

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