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モノの色いろいろ 

|| グリーンを巡って②
ふだん何げなく使っている色名ですが、色の名前として使われる色名の背景を探っていくと、おもいがけない面白い発見に出会うことができます。色名は、あるモノの名前が、その色名として呼ばれるようになったものであり、その色名のもとになったモノが持つ様々な、自然、文化、歴史などの背景を抱えています。ある色名の由来をたどっていくと、その色名が持つ意外な背景に出会うこともあります。このコーナーでは、そうした色名の背景が持つ様々な面白いエピソードをご紹介いたします。
|| 抹茶色とお抹茶族


日本茶は英語でグリーンティーと呼ばれますが、その飲料としての緑色は煎茶や番茶ではなく、抹茶の方に顕著に見られます。この抹茶に見られるような少しくすんだ黄みの緑色は、茶道の宗匠である千利休(せんの・りきゅう)の名にちなんで、伝統色名では「利久」(りきゅう)と呼ばれます。この「利久」の緑色がさらにくすんだような、グレイッシュな緑色が「利久鼠」(りきゅうねず、または、りきゅうねずみ)と呼ばれる色になります。 緑色や黄緑色が抹茶の色を連想させるという伝統は現在まで受け継がれており、1987年(昭和62)には、イエローグリーンのコスチュームを特徴としたことから、お抹茶族と呼ばれた若い女性の一団が、東京の渋谷あたりを中心に出現し、話題を呼びました。当時、お嬢様ブームと呼ばれる社会現象が発生し、お嬢様たちの間にボディコンのワンピースが流行しました。その中に鮮やかな緑色やイエローグリーンのワンピースも見られましたが、お抹茶族と呼ばれていた一団にも、ビビッドや蛍光色のイエローグリーンのタンクトップやボディコンのワンピース姿が目立ちました。また、その日焼け肌に白い口紅というメイクも特徴的で、後の90年代のコギャルたちのガングロメイクをほうふつさせるものがありました。

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