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Fashion Color History vol.3

「昭和の“慶祝カラー”発表・1959」

※「 Fashion Color History」では、過去の「流行色」にまつわる話題を紹介します。今回は「昭和の慶祝カラー発表」についてのお話です。
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 JAFCA(日本流行色協会)が誕生した1953年(昭和28)、当時のイギリス女王・エリザベス2世の戴冠式が行われた。その折りにイギリスの色彩情報機関のBCC(British Colour Council)が慶祝の意を込めたコロネーションカラー(Coronation Colour)を発表している。
これはBCCのパトロンでもあった英王室のプリンセス、マーガレット・ローズが自ら選定したといわれ、国をあげての慶事に色を添えたものとして伝えられ話題となった。そして、このBCCの活動はJAFCA創立のきっかけにもなった。

 さて、そのBCCのコロネーションカラーは、59年(昭和34)の、天皇陛下(現在の上皇陛下)御成婚の折りにJAFCAが発表している「慶祝カラー」のきっかけともなっている。当時は日本経済はようやく復興の波に乗り、物心とも向上していく時で、白黒テレビの時代。今日ほど色が注目されていなかった状況下に、国民の慶祝の気持を「色彩」で表徴した「慶祝カラー」は非常に話題となった。そして、服飾における流行色ばかりでなく、種々の記念行事における装飾や印刷物、あるいはウインドーを飾り、色彩美への関心を大いに高める役割を果たし、歴史的にも意義あるものとして今日に伝えられている。

左・1953年にBCCが発表したコロネーションカラーの正色5色/右・店頭展開された、昭和の慶祝カラー

 慶祝カラーの意義の一つに挙げなければならないのは、国民の慶びの気持を「色彩」で表徴するといった本来の目的に加えて、カラーコーディネートの指針を示すことが発表の目標に掲げられていたことである。
 発表されたカラーは、7色の慶祝カラーを中心にして、そのバリエーションカラー(変化色)10色からなるパレットであった。カラーパレット中央の基本色7色が「国民の真心を表わす色」、その左の明るい色調の5色は「皇太子殿下並びに妃殿下の御幸福と平和を祈念する国民の真心を表わす色」、右の濃い色調の5色は「両殿下の御推範に従い、日本国民の国際的活躍を期待する意を表わす色」と解説されている。
 また同解説に併記されている色名解説は「日本の伝統をつたえ、これを内外に示す意味で和名を付した」とあり、基本の7色は、上より「藤紫」、「白銀」、「紅」、「金糸」、「るり」、「黄水仙」、「もえぎ」。左の明るい色調の5色は、上より、「さふらん」、「真珠」、「さくら」、「象牙」、「若竹」。右の濃い色調の5色は、上より、「あかね」、「朱うるみ」、「あい」、「ろうばい」、「松みどり」となっている。
なおJAFCAは、1993年(平成3)の現天皇陛下御成婚の際も、お祝いの気持ちを込めた「皇太子殿下 雅子さま 慶祝カラー」を選定、発表している。

1959年にJAFCAが発表した「皇太子殿下御成婚慶祝カラー」中央の7色が正色

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