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20代単身のマンション購入記 その11 ~購入へ~

20代単身のマンション購入記、本編その11です。

近所の新築物件を見学し、ローンの仮審査も出しました。
希望条件を概ね満たしており、ネガティブポイントに対する解決策もしくは妥協点を見出せれば購入に進めそうというところまで来ました。
それではまずネガティブポイントを見ていきましょう。

なお、特定防止のためフェイクを入れまくっています。もはや物件として原型を留めていない点、ご了承ください。

ネガティブポイント

資金繰り

資金繰りが安心できる水準は人によりけりだと思いますが、以下の状況を仮定した際でも年間の収支がマイナスとならないことを確認しました。

・借入実行時点で金利が3%、かつ
・年収が一定程度ダウン(マイナスX00万円)

なお、金利3%は特段根拠のない数値ですので参考程度にお願いします。
金利の仮定でよく言われるのは「実際は変動金利で借りるけど固定金利で借りたつもりでシミュレーションする」ですが、住まい以外にお金をかけたい部分もあり、家計に余裕を持たせたかったので金利は当時の固定金利よりやや固めに見ました。また、返済が進むにつれて元本が減っていくため、借入中途で金利が上昇しても元本もいくらかは減っている状態になっているはずであり、借入実行時点から金利が高かった場合に比べてトータルの金利負担は少なくなっているものと思います。

価格の高さ

昨今の新築マンション価格の高騰でエリア内の中古マンション相場もそれに引きずられる形で高くなっていましたが、近隣の新築案件供給が多くないこともあり相場感としては今一つ伸びが足りないという印象でした。
当物件は全体的な相場上昇の波に乗り一段と高い価格設定で(高いから先着順で売れ残っているというのもある。安ければすぐ売れると思う)、仮に手離れしたとしても買った価格では売れないだろうなぁ…というのが素人目線での率直な感想。物件のスペックを考えると、フルローンで購入して5年以内に売却したら余裕で残債割れしそうな香りがしました。

それでも買うにはどうするか。最近の「自己資金は少なく、なるべく多く長く借りる」というセオリーとは逆行し、残債割れしない程度の自己資金を入れるしかありません。そこで、予定よりも自己資金を多めに入れることにしました。

もう1割安く売ってほしい、近隣です○ふが一気に板マンを5棟くらい異次元プライスで分譲して相場を吊り上げてほしいというのが本音です…(小声)。

部屋の狭さ

正直に言います。当初検討していた面積より狭いです。出口はぶっちゃけ怪しいです。ここは他の優先事項を取って大いに妥協しました。
50平米くらいのワイドスパン広め1LDKに1人で住みたい人生でした。合掌。

専有部の設備仕様

専有部の設備仕様が同価格帯の物件と比べていまいちであることがネックでしたが、以下の理由からある程度の妥協は仕方ないと考えました。

・絶対に欲しいと思っていた設備は標準でついている
・売却時に他物件と比較して明確に不利になると思われる設備の欠落はない
・最低限の設備仕様しかない賃貸からの住み替えであり、個人的に見れば十分なステップアップである
・一次取得で設備仕様を充実させすぎると住み替えの選択肢が狭まる
・ディスポーザーと床暖房以外の専有部設備は大抵の場合課金すれば後からでも追加できる。それよりも課金しても変えられない部分(立地・向き・共用部など)に目を向けるべき

周辺の商業施設の弱さ

現居の最寄り駅は複数路線が乗り入れていて駅前に複合商業施設があり、スーパーやドラッグストア、100円ショップの他、ご褒美使いしたくなるようなスイーツ店などがテナントとして入っていました。一方で、検討中物件の最寄り駅にはそういった施設はありません。また、チェーンのカフェやファストフード店のラインナップを比較すると、現居の最寄り駅のほうが充実しています。
これをどこまで妥協できるかというところですが、幸いなことに、検討中物件と現居のあるエリアの間はそれほど距離も離れていませんでした。そのため、普段使いしていたスーパーやドラッグストア、その他店舗へも自転車を使えば苦にならずに行けるため、なんとかなるだろうと考えました。
その他、検討中物件の駅前にもサブで使えそうな別のスーパーも一応あるので両者を併用すれば買物便は問題ないと判断しました。



「これは買うな」という声が各所から飛んできそうですが、結果としてこの物件を買うことになりました。リセール最重視で短期での住み替えを考えている方は決して真似しないでください(当然に真似するはずがないんだよなぁ…)。


購入の決め手

逆になぜ買うことにしたのか。購入の決め手となったポイントを挙げます。

(注)あくまでも個人の価値観です。1ミリも共感できない部分が多分にあるかと思います。当エントリは残り約2,800字ありますので、それでも読み進めるつもりの奇特な方はダイバーシティ、ダイバーシティ…と念じながら読まれることをおすすめします。

大前提条件の充足

・23区内駅近
・災害リスク低
・生活圏にあってほしい施設が全てある

いろいろ迷走しつつ検討を重ねた結果(購入記その7参照)、住宅購入にあたり上記は大前提でした。当物件は上記を全て満たしていました。

馴染みのあるエリア

上京以来住み続けてきたエリアに引き続き住むことができるというのがかなり大きいです。
当初は広域検討というスタンスでしたが、住み慣れたエリアでオンオフ含めた生活スタイルを変えずに住むことができるのはストレスが少なく、性格的に合っていました。住んでみて街が合わないリスクも抑えられるのは馴染みのエリアを選ぶメリットだと思います。
惰性と言われればそれまでですが、そこは価値観の問題かと思います。自分は落ち着いて長く住み続けられることを選びました。

日当たりと眺望がある程度確保できる

実家時代に自室として与えられていた部屋は日当たりが良く視界が抜ける部屋だったため、視界の抜けない部屋だと発狂するくらいには眺望重視マインドが身についてしまっていました(ガチ田舎で土地が開けており、周囲に何もないため事実上の永久眺望)。また、冷え性なので冬の日当たりは死活問題でした(なお夏。後述します)。
なけなしの予算で永久眺望を望んでいたら他の条件を大幅に妥協しないと一生買えないので永久眺望は諦めましたが、ある程度の視界抜けを確保できる部屋だったことが購入の決め手となりました。
加えて、将来眺望がつぶれても立地条件的に日当たりは維持されそうなこともプラス要因でした。

間取りに違和感がない

専有面積が狭い部屋である以上、居住有効面積は死活問題です。柱が居室の外に完全に出ていることと、先行して検討していた物件よりも下がり天井や梁の主張が強くなかったことが決め手となりました。天井高が~、開口部が~などと突き詰めればより良い間取りはあったのかもしれませんが、一次取得なので完璧は求めていません。
また、バルコニーも奥行きがあり、専有面積以上のゆとりがあって夏の日差しを庇が遮ってくれそうなこともプラスポイントでした。

ローン仮審査が下りた

昨今のセオリーに反して自己資金を比較的充実させて借入額を圧縮したためか、ネット銀行含め仮審査を出した全ての銀行でローン仮審査が満額、金利条件なしで承認されました(注)。
ローン仮審査が希望条件で下り、親族からの援助なしに自力で買えることが購入にあたっての最低条件だったので、購入の後押しとなりました。

(注)この点、売主の提携ローンだった面も大きかったと思います。売主と提携している以上、銀行側でも物件の担保性はある程度充足しているという前提になっているはずで、また、分譲時一気に数十件~数百件のローン申込が想定される点からも、ローン承認の難易度及び付帯条件の充実度(金利面での優遇など)は新築>中古になるものと思われます。ただしあくまでも素人の推測ですのであしからず。

新築持ち家派

すみません先に言います。これはもはや宗教です。共感は求めていません。他の勢力に迫害されるかもしれませんがここで白状します。とはいえ、これ以前のエントリで既に察されていた方もいるかと思います…

昨今の新築マンションは販売価格が上昇し専有面積が狭くなる一方で、建築コストの高騰によりコストカットが目立つような状況です。一説では2000年代初頭に建てられたマンションのほうが仕様も高いと言われています。専有部はリフォームでどうにかなる部分も多いので、スペシャルな新築物件ではない限り、この市況下では合理的に考えて中古を選ぶべきでしょう。

しかしながら、新築築浅派は宗教です。築年数が経過した物件に対して少しでも抵抗があればその瞬間にNGなのです。一人暮らしを始めてから住んだ賃貸が築年経過物件かつ、設備仕様も最低限of最低限でそれが一番不満だったことから、自分は新築築浅信者でした。築古リノベ物件の売出を見るときれいになっていて意外といいかも!?などと思ったりするのですが、築年経過物件で過ごした楽しくない思い出や不便な経験までセットで蘇ってしまい心の奥底で受け付けられない部分があります。

(注)あくまでも個人の感想です。築年数が気にならない方は旧耐震リノベ物件ならではのメリットもあるかと思いますので、ご自身で納得されたうえで突き進んでいってください。

新築築浅信者であれば、築浅の分譲賃貸に住めば万事解決できるのではないかと思いますが、それに加えて残念なことに持ち家信者でもあったのです。
自分は一体いつまで掛け捨ての家賃を払って賃借人を続けるのか、結婚しない限り永遠にワンルーム賃借人から脱出できないのか…などという葛藤も持ち続けていました。

「新しい家を所有し、QOLを上げる」が住宅購入の目的であった以上、この点はどうしても妥協できませんでした。
(新築、入居した瞬間に中古やん。築浅だって35年住めば築古やん。というご意見はNG)

最後に

ポジションが多分に入ってしまいますが、あくまでも実需で住宅を購入する(転売益での資産形成目的ではない)という前提であれば、資産性という名のリセールバリューに過度に囚われすぎずに自分が気に入った物件を買うのがトータルでの満足度が一番高いのではないかと思います。もちろん将来的なライフスタイルの変化も考えられる中である程度の出口が見通せることは重要ですし、結果的にリセール重視の価値観で気に入った物件を購入するのもアリでしょう。しかし、今自分が住むための家なのに将来の売却ばかり気にして、帰るのが楽しみにならない家や住み心地の良くない家をわざわざ買って住むことは本当に幸せでしょうか?(極論を挙げると、日当たり重視で探していたはずなのに割安な価格に目が眩んで北向き壁ドン低層を選んでいいんですか?という話。あくまでも一例です)

その物件を購入した理由を自分の言葉で人に熱く語ることができるか。将来の高値売却を夢見て購入したとしても何らかの理由で住み続けなければならなくなったときに、それでも愛着を持って住み続けることができるか。
住宅価格が高騰している中で、買って失敗したと思わないためにより慎重な検討が求められるご時世ですが、資産性を気にしすぎてそのあたりを軽視していないでしょうか。特に予算が限られている若年単身者の場合、住み心地重視の価値観なのに資産性(リセール)最優先で探すとミスマッチする可能性が高まるので要注意です。

SNS等を見ていると様々な意見がありますが、居住性と資産性、どのくらいの配分で優先していくのかは個人の価値観次第だと思います(偏っているのもまた価値観…)。いずれかに全振りするのもいいですし、他者の意見を参考にする中でバランスを取りながら、家探しにおける自分の軸となるものを見極めていく必要があるのではないかと考えます。


以上、アップサイドを期待できない物件を購入することになった私からの遺言でした。SNSにいる単身購入勢、みんなしっかり先のことも考えて買えていてすごいなぁ…

次回以降は契約から引渡までのあれこれを綴っていければと思います。