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「ツンデレ」なるもの

世事に疎いにも程があるので、世の中様のことはよく判らないのですが、昨今では私の認識外の事柄もどうやら「ツンデレ」という萌えジャンルに分類される模様です。


私の認識だと「好きな人以外にはツンケンしてるけど、好きな人にはデレる」、もしくは、「好きな人にもツンケンするけど、事と次第によってはちゃんとデレる」というのがツンデレだと思っていたんですが、どうやら昨今では「表に出てくる言動は塩も塩なのに、内心ではもの凄くデレている」というのもツンデレに分類されているようです。というか、そういう作品を某所で見かけました。


それを見て私はちょっと無駄に傷付いてしまいまして。傷付いたというか、悲しみを背負ったというか、しょんぼりしてしまったというか。

某所で見かけた某作品は、そのツンデレなる人物が吐く言葉は、全部暴言なんです。ただ、それを翻訳してくれるツールがあるから、暴言の背後にある物というか、内心のデレが判るだけで、表立ってはただ単に暴言塩野郎ってだけです。

それってツンデレっていいます?だって第三者の目にはデレの部分は全くみえないんですよ。魔法のツールはありますけれども、その人物の有り様ってだけを取り出したら、暴言塩野郎、デレの要素無しじゃないですか。

人の気持ちなんて、言わなきゃ判らないですよね。ですから、数多のツンデレ女子達もちゃんと、頬を染め、つっけんどんになりながらも、デレる姿を見せていて、そこで初めて「ツンデレ」って成立するものだと思ってたので、ただただ暴言三昧、翻訳してくれる第三者の他力頼みな在り方をツンデレって言われて、そんなんあるかーーーー!!!って、何故だかぐっさり傷付いたのです。


私はADHD傾向あるので、匂わせ程度の言葉の含みには気づかないことも多いです。そんな私に、塩全開で暴言吐かれて内心はデレてたとか言われても、そんなのただの暴言です。以上終わりです。

わからないものは、ないものと同じです。「普通ナントカ案件」ってカウンセラーの先生と良く言いますけど、世の中的な普通に合致しないことの多い私は、「普通こうじゃね?」「なんでそんな普通のことがわからんの?」と、塗りつぶされてきてることの方が多いです。

それなのに、ツンデレの看板背負ってれば、誰かが翻訳してくれるんでしょうか。暴言ですら。そりゃねえよ、という気持ちになってしまったのです。たかだかフィクション相手ですけど、たかだかフィクションだからこそ抉られたとも言います。
フィクションって、人の欲望がもの凄く直截的にあらわになりますからね。


それともう一つ、余裕があって結構だねぇ、悠長なことしてんなぁ、という、これはちょっとしたやっかみですね、そんなものも感じました。

デフォルトがツンツンしてるってことは、直接的表現は二の矢三の矢って事ですよね。

そんな悠長なことしてたら、次の瞬間にはもう伝える機会は一生断たれてしまうかも知れないのに、別離、死別、あらゆる災難はいつ何時でもやってくるものなのに、そういう悲しみとは無縁に生きてきてるからきっと悠長なんだね、と思えば、己の貧しいというか、切羽詰まったというか、余裕のないというか、そういう来し方にやっぱりしょんぼりしますよね。別に悪いとは思いませんけど。

思いは思ったら伝えなきゃ伝わらない、全てに全力、全て一期一会、そう思ってなかったら後悔することが多すぎる、そうやって生きてきてるから、ツンとかいう迂遠な遠回りをみていて多分げんなりするんだと思います。


勿論、好みであり性癖であり萌えでの話でありましょう。二次元と三次元は違う、という向きもありましょう。

ただ、ツンという名の暴言に、私が勝手に傷付いたって、それだけの話かもしれません。

私がどんなに頑張っても人の言葉の裏や機微に疎く、冗談が通じにくいように、どんなに頑張ってもストレートな気持ちを言語化するのが苦手という人もいらっしゃるかも知れません。


その場合、不幸なすれ違いが起こるだけなのだな、というのを今回まざまざと感じました。

「ツンデレ」と名のつくものに近づくのは、私にとっては危険なことのようです。


しかし、丁度最近「この胸をかきむしるほどの迂遠がいい」という事例にもぶち当たっておりまして、その話はまたいずれ改めてするかもしれないです。


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