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そろそろちゃんとナメクジの話をしなければいけないと思う

タイトルでもお判りの通り、完全に閲覧注意です。ナメクジが嫌いな方は速攻でブラウザバックorアプリを閉じて下さいね。

ナメクジの研究をされている先生というのは、多くはありませんがいらっしゃらないこともありません。その中で、私が一番最初に知ったのは京都大学の宇高寛子先生でした。先日(といっても昨年11月とかの、COVID-19第三波前のお話ですが)上京されまして、朝日カルチャーセンターで「ナメクジの生物学」という講義をなさいました。勿論聴講させて頂きました。
実はその一ヶ月位前にも、京都大学オンライン講座で「ナメクジの春夏秋冬」という講義もなさっていて、そちらにもZoomで参加致しました。
実はその前にも、飼育の仕方に悩んで個人的にいきなりメールを送りつけるという暴挙に出ておりまして、宇高先生には本当にお世話になっております。
ここまできてよもや「ナメクジになんの興味もありません」とは言えませんので、ちょっとばかり勇気を出してこの話をしようと決意致しました。いやまぁ日頃の己の変態さからしたら、ナメクジ云々など勇気の要るようなことでもないと言えばないですが。
ちなみにもうお一方存じ上げているナメクジの専門家は、福岡女子大の松尾亮太先生です。松尾先生は主にナメクジの脳の研究をされていて、生態や分布がご専門ではないので、直接コンタクトを取ったことはありませんが、著書は拝読しました。

宇高先生の対面講座では、色んな方がいらっしゃいましたが、先生が持参して下さった珍しいナメクジ(生きたままですよ!)をみんなで見ながら、「うちもナメクジ飼ってるんですけど」「あ!うちもです!種類何ですか?」「チャコウラです」「うちはナメクジです!」みたいな会話が出来て凄く嬉しかったデス。
結構いらっしゃるんですよ、飼ってる方。某巨大掲示板のなれのはての5の方にも「ナメクジを飼おう」というスレッドがありますし、そもそも「ナメクジの飼い方」とググるとそのものズバリ、昔のテキストサイトそのままのページがヒットします。何を隠そう、私が一連のムーブの中で一番最初にググったのは「ナメクジの飼い方」で、その時一番にヒットしたそのテキストサイト様の記述内容に大変助けて頂いたのです。
付け加えておくと、単に「ナメクジ」とだけ検索すると「駆除」だの「害虫」だのという文字に打ちのめされます。

はい、ワタクシ只今現在21人のナメっ子たちの飼い主でゴザイマス。

別に後ろ暗いことは何もないんですが、畑とか園芸とかなさる方にとってはナメクジってガチの害虫ですし、生理的に嫌いって方も沢山いらっしゃるでしょうから、大手を振って誰にでも堂々と語れる内容かと言われると、まぁ人を選びますよね、と苦笑いするしかありません。
何でナメクジを飼おうなんて事になったんだと尋ねられると、たまたま、としか言い様がありません。
梅雨時に、ゴミを捨て間違えたんですよ。ゴミの日の前日の夜、プラゴミと可燃ゴミを間違えて出したことに気づき、ゴミ捨て場に引き返して取り替えたんですけど、持って帰ってきた方のゴミ袋にナメクジが一匹張り付いてまして。
それを私は、何も考えずに流しに流そうとしたんです。ぽいっとシンクに捨てて、視界から消すようにざーっと水を流して、別に塩をかけるとかでもなく、取り立てて強く「殺傷する」って気があったわけじゃありません。少なくともゴキブリと遭遇したときの自分の1/100の殺意もなかったでしょう。
だからでしょうかね、流されまいと足掻いているように見えたそのナメクジが、なんだか可愛く見えてしまったのです。あ…なんか、ごめん、何も考えずに死なせるようなことしようとして、と思ってとりあえずジャムの瓶に入れてみました。そこから全て始まりました。
ちなみに、何にでも名前をつける私は速攻でその子に「まるちゃん」という名前をつけました。円環の丸です。ナメクジって雌雄同体的な何かである、という知識は何となくあったので、一人で完結できる→メビウスの輪、という連想から、でも今メビウスっていったらマイセンなんで名前変えたの?という煙草の名前を連想してしまうので、「えん」より「まる」の方が響きが可愛いな、というので「まるちゃん」採用です。

結果から言うと、その時の「まるちゃん」は今はもういません。ナメクジって意外とあっさり死にます。これは、先述した「ナメクジの飼い方」とググると一番上にヒットするページ(伊達梶乃さんという方が書かれた文章です)にしっかり書いてありますし、私もそれを実感する経験を早々にしました。害虫害虫言われますがゴキブリみたいな命根性はないです。暑さに弱く、乾燥に弱く、汚れにも弱く、ホントにちょっとのことでころっと死にます。私も最初の一匹含め、うっかりで5、6匹は儚くしてしまいました。
それに学んで、まるちゃんたちが儚くなったらここ、と一つ植木鉢と土を用意しまして、以来そこが身罷った子達の墓地となっております。
さて、比較的凝り性の私が、一度決意を持ってナメクジを飼うとなったらまぁ結果は知れておりまして。うちの実家から歩いて7歩位の所に、雨が降ると必ずナメクジが出る壁があるんですよね。随分昔からあるお宅で、しかも出るのは殆どがフタスジナメクジという俗称、正式名称ナメクジ、今では外来種のチャコウラナメクジに分布を追い越されている在来種です。
宇高先生に一度聞いてみたんですが、ナメクジが良く出るのは昔からある木や草のあるところらしいので、生態系が変わらず維持されているのかも知れません。
ともあれ、雨が降れば必ずナメクジがいると判っている場所があるとなったら、行かないわけないですよね。
普段は頭痛がするから憂鬱な雨の日も、お?降ってるね?よし、ナメっ子たちはいるかな♪と捕獲キット(タッパーとスプーンですけど)を持ってルンルンお出かけしていましたね、去年の梅雨時は。
そんなんして増えに増えて20匹になりました。

ところがです。ここはもの凄い懺悔の為所なんですが、殆どナメクジ(フタスジナメクジ)しか出ないその壁に、チャコウラナメクジがいたことがあって、その時には気づかずに一旦連れて帰ってきてしまったんですね。
見た目も結構違いますけど、やっぱり外来種と在来種の違いでしょうか、日々世話をしていると、活動量というかが全然違うのです。みんなお昼寝の時間なのに(ナメクジは夜行性です)一人荒ぶってる奴がいるな、と思うとチャコウラである、ということが続きまして。
これは完全なる私のエゴであり選り好みなのですが、どうしても荒ぶるチャコウラが苦手で、ごめんねごめんねといいつつも、元いた場所にそっと返しました。
その時点で19匹。その頃には「大きい個体は残りの寿命が少ないので小さい個体が良い」とかいらんことも学んでおりましたので、その時目についた子達の中から小さい子を厳選したのですが、どうしても二匹の候補が絞りきれずに、結局両方連れ帰り、以来死なせてないので只今現在我が家のナメっ子達は21人です。
最初の子に「まるちゃん」ってつけましたけど、流石に21人もいると個別認識出来る子って一人だけ(ただ単に一番躰が小さいから)なので、みーんなまとめて「まるちゃんず」です。

ナメっ子達は気温が上がると死ぬので、夏場の温度管理は大変でした。宇高先生からは30℃越えたら気を付けて、というご忠告を頂いていたので、飼育ケージの中に温度計を貼り付けて、30℃近くなると蓋に保冷剤をおいて中の温度が下がるようにしていた為、テレワークで本当に助かりました。
ちなみに21人もの大所帯ですので、只今のうちの子達の住まいはこちらです。

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良くみるとお判りかと思うのですが、これ、蓋に格子状の隙間がずらっとあります。小さい個体だとここから脱走を試みるので、グルーガンを使用し穴は全部埋めました。でも通気性が悪いのも宜しくないので、埋めたグルーに熱した針で穴を空けてあります。
中の環境はそれこそ四苦八苦しましたが、宇高先生のご忠告などを経て、今では下にキッチンペーパーとペーパータオルを敷いて霧吹きし(たっぷり、しかし傾けたときに水が滴る程では駄目)、そこにスポンジで隠れ家を作ってます。よく緩衝に使うような浪波のグレーのスポンジで、今の所問題なく暮らしてくれています。

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そこに至るまでは貝殻やらカブトムシ飼育用の木だとか本当に散々色々試してみたんですが、宇高先生に「それナメクジよりカタツムリ向け」というツッコミを頂き、後は先生の講義で「産卵するには落ち着く場所が必要で、自分も卵を産んで貰うまでに二年くらいかかった。結果スポンジが一番良かった」というお話を伺ったので、さっさとスポンジにしたわけですね、はい。先人の経験は本当に貴重です。

暑さも落ち着き、11月半ばになった頃でしょうか。その頃はすっかりスポンジ住宅でございましたが、何匹かが交尾をしているのを偶々見つけました。
ナメクジは雌雄同体ですが、一匹だけで自家受精というのは余りしないそうです。頭の右側、耳くらいの所に穴が開いてるんですけど、そこから白い管みたいなのが出て、相手のおんなじ穴に入れあうんですね。だから頭くっつけ合ってる子達がいると、おお、インシーズン、と思うわけです。
お互いの精子をお互いに与え合って、自分の持ってる卵子で受精して卵を産む、つまり、交尾した子は二人ともが卵を産む子なんです。暑さにも汚れにも乾燥にも弱い個体なので、きっとそうやって母数を増やして残ってきたのかなぁと思います。
一ヶ月ちょっと位、交尾する子達を見かけることがあって、さてじゃあいつ卵産むのかな、わくわく、ともの凄く期待して見守ってたんですけど、意外とすぐには生んでくれなくてですね、割と最近ですね、産卵ピークが過ぎたかなっていうの。とはいえ、今日も一つ見つけましたけど。2月半ばから3月頭位までが出産ピークだったと思います。
なんかうちの子達余所の子たちとペース違うのかなぁ。宇高先生の「ナメクジの春夏秋冬」によれば、11月から1月位までが交尾産卵の季節、みたいなお話だったように思うのですが、考えたら先生が観察しておられるのはチャコウラナメクジで、うちのはナメクジ(ホントにこれが正式名称なんですよぅ、紛らわしいけど)なので、その辺の違いもあるのかもしれません。
チャコウラは大体一年が寿命だそうなんですが、種類によっては数年生きるものもいるそうです。今ナメクジの寿命を調べようとググったら、たまたま宇高先生の記事を見つけたので貼っておきますw

https://imidas.jp/jijikaitai/k-40-100-16-05-g617

ちなみにナメクジの卵は、たとえると透明な桑の実みたいな感じでしょうか。ちまちま丸っこいちっちゃいのがひとかたまりになってます。15個くらいの小さいのから、これ結構あるよねっていう大きさのものまで。もの凄く固くくっついているわけではないので、私は薬匙で掬って別の容器に移し、そこにもペーパータオルを敷いて霧吹きして、均一になるように少しならし上に軽く水を吸わせたスポンジをおいて乾燥対策してます。
そして日々そのスポンジをめくっては「まだかなまだかな~♪」と孵化を心待ちにしているのですが、やっぱりうちのこ達はのんびりなのか、まだ出て来てくれる気配もないですし、何なら卵の中で成形している様子も目視は出来ません。
5のナメクジスレで聞いてみたら、二週間から一ヶ月で孵るってお返事を頂けたので、日々ワクワクして覗き込もうと思います。

5のスレといえば、一度どなたかが「皆さんなんで飼おうと思ったんですか?」っていう問いを投げかけておられて、住人の皆さんのお答えは殆どが「買った野菜についてきたから」というものでした。私も、捨てて取りに戻ったゴミ袋についてきてた、というだけなので、みなさんそんな感じできっと何か愛着が湧いちゃったんでしょうねぇ。偶に「うちの子死んじゃった…」って嘆いているお声を見かけると、うちはなにせ大量飼いですからそこまで個体に思い入れがないですが、その子一人を可愛がっていたらさぞ辛かろうと胸が痛みます。
先にも書きましたが実は21匹のなかで、一人だけ見分けがつく子がいるんです。…っていえば凄い話っぽいですけど、なんのことはないその子だけ躰が凄く小さいので、栄養のある餌をあげるためにその子ともう一人躰の小さめの子だけを別の容器に入れてるからなんですけどね。でもその小さい子だけは「ちび」と呼んで依怙贔屓してる感満載なので、ちびが死んだらショック大きいだろうなぁ。いや、他の子も身罷ったら辛いですけども。

そしてこの記事、本当はもっと早くか、さもなくば卵が孵化してから書いてUPしようかなって思ってたんですけど、卵が全部孵らなかったり、卵が孵る頃に寿命を終えてしまう子が出たりという悲しい予測もなくはないので、今まだ、わくわく新しい命を待っている位の時にUPしてしまうのがいいのかな、という訳で久しぶりにがっつり文章を書いてみました。

なんかどうも、noteって気楽に書けなくて…。そんなに構えることないとは判っていても、ちゃんと内容のあることを、ちゃんとある程度の分量で、とか思っていると、普通に暮らしていてそんなに沢山色んな事があるわけでもなければ、それら全てが書けることである訳もないので、すっかり久々の投稿です。
それがまぁこんな内容なんですけどね。
ただ、研究者でもなく、そして何より今現在全国で最も分布しているチャコウラナメクジではなく、在来種のフタスジナメクジの話をここまで書ける(書こうと思う)人間はいまい!という謎の熱意でかき上げましてございます。

あ、ちなみに、文中何度も宇高先生のお名前をあげましたが、私が格別親しいわけでもなんでもなく、オンライン講義や対面講座、それらの質疑応答からの内容だったり、最初に私が不躾にもいきなり送りつけたメールに、先生が「「「ご厚意で」」」お返事を下さった内容からなので、何でも聞いていいんだとか、誰でも連絡して良いんだとかではないことを、強く申し添えておきます。

世の中的には「不快害虫」とか言われてしまう子達ですが、世の中の隅っこでささやかに、生きるのは赦してくださいませ。
…と書いて思いました。私、自分のことを世の中に対してこんな風に思ってる節があるなって。




※マシュマロ始めてみました。コメントより気楽かなと思って。
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