見出し画像

「人を雇う恐怖」について

最近、周りで独立する人がさらに増えたなと感じます。独立の初期に直面するのが「人を雇う恐怖」ではないでしょうか。

スモールビジネスの多くは、一定のスキルのある人が「自分で稼げる」ようになって、独立することでスタートします。それゆえ最初は必ずしも人を雇う必要はありません。

ですが、優秀な人ほど受注が増えてすぐに手が一杯になってしまうので、早々に「自分の時間を売るステージ」から「他人の時間を売る」または「商品を売る」ステージに移行する必要があります。できる人だと1年足らずでこのステージに行くのではないかと思います。

自分のお金で人を雇うことには勇気が要る


資金がついているビジネスなら組織を持つことは当たり前かもしれません。ですが、自分のポケットマネーで始めるビジネスで、人を雇用していくのはなかなか勇気のいることです。

私の場合は、タイの決まりでタイ人を4人雇わないといけないという理由もあり、最初に人を雇うところからスタートしました。以降も、稼いだお金の多くをできるかぎり人件費につぎ込んできました。一人でやってたら今頃もっと生活は楽だっただろうなぁ、、と遠い目をすることもありますが、それでも人を雇ったことで得たものは沢山あります。

人を雇う「デメリット」を考え始めたらキリがありません。
人件費が上がる、社会保険料の負担、対人ストレスが増える、管理業務が増える、他人の人生を背負うプレッシャー、などなど。こうしたデメリットを考えれば考えるほど、人を雇うことに気後れします。

ですが、それ以上に良いことも沢山あります。結局、デメリットは無くならないので、デメリットを上回るメリットを信じることが出来ないと、なかなか人の採用を推進することはできないんだと思います。

人を雇うメリット

自分が感じているメリットを3つほど書いてみます。

一つは、「自分が成長できる」ということ。上記に挙げたような様々なプレッシャー・恐怖がすべて成長材料です。私もタイ人の部下に脅されたり、目の前で泣かれたり、いろんなことがありましたがそれが今の自分を作っています。こうした、真の意味で自分を成長させてくれる学びは、自腹で人を雇うことでしか得られないという側面があります。

また、「自分にはない強み」を持つ人を雇うことにより、ある意味でその人からタダで学ぶことが出来ます。私はタイ人部下からはクリエイティビティ、チームの盛り上げ方、仕事の楽しみ方、いろんなことを教わってきました。こういう学びも一人でやっていたら決して得られなかったでしょう。

2番目は、「困ったときに自分を助けてくれる」ということ。一人ビジネスだと、社長が死んだら終わりです。死ななくても、入院したり、骨折して動けなくなったらサービス提供が出来なくなる可能性があります。そういう時のためにやっぱりチームは必要です。

私は2020年にコロナで数か月間、家庭の事情で日本からタイに帰ってこられませんでした。それでもチームがお客さんをフォローし、会社を回してくれました。「こういう時のためにチームっているんだな」と実感しました。「ごめん、助けて」と言える存在が近くにいる有難さをメンバーに助けられるたびに実感します。

最後は、「人の人生に関われる喜び」です。私はよく社員の未来を想像します。社員がうちの会社に在籍して巣立って、別の会社でさらに活躍していく。家族を持ち、子供を育てていく。そんな人生の一ページに自分の会社が関われていることに喜びを感じます。

社員の親御さんに会うこともあります。逆の立場で考えてみると、自分の子供が勤務先で生き生きと働いていたら、すごく嬉しいでしょう。そういう気持ちを作り出せる立場にいることの有難さ。自分の判断一つで、その人の家族にも喜んでもらえるって尊い仕事だなと思います。

もちろんツライことや面倒なことも沢山ありますし、いつもキレイごとを考えているわけでは無いですが、時にはそうやって水準をメタに上げて考えることで、自分の中の恐怖はどこかに消えていくのではないでしょうか。

固定費が増えないと幸福は増えない


ここまで書いてみて、「メリット」という表現は相応しくないような気がしてきました。

私にとって「人を雇うことにどういうメリットがあるか?」は「子供を持つことにどういうメリットがあるか?」という問いにやや近いニュアンスがあります。

メリット・デメリットを考えて子供を持つ人はあまりいないでしょう。損得で考えたら、時間も手間もお金も、子育てはマイナス面の方が多いです。ですが、それ以上に得られる喜びがあるから人は子供を持つわけです。

社員を持つことも、自分個人にとっての損得で考えたら損の方が多いかもしれません。ですが、「損得を超えた何か」が得られる点にこそ、人を雇う素晴らしさがあるのではないでしょうか。

よく「固定費は悪だ」と言います。確かに、固定費が低い経営ほど、安心できるものはありません。一度雇ったらクビにしづらく、また昇給もしなくてはいけない人件費は、コストとしてみたら最悪の固定費です。

ですが、ここまで書いてきたように、固定費を上げることでしか得られない喜びがあるんじゃないかと思います。固定費の恐怖に負けない喜びを求めて、雇用を生み出し続けていきたいなと思います。

#1か月間ブログ書くぞ

「この記事は役に立つ」と思って頂けたらサポートお願いします!