【終活110番033】 手術オファー時の鉄則 ~正しいセカンドオピニオンの受け方~
もしも、予期せず、がんが発見されてしまった場合には、セカンドオピニオン&サードオピニオンの受診が必須です。同時に、自分自身のこれまでの人生と生活を振り返り、悪しき習慣を改善する努力が必要です。
以下が、がんの可能性が生じた場合の手順ですが、やはり本人だけで対応するのはむずかしいでしょう。お子さんの支援は欠かせません。となれば、「仮に自分ががんに罹患したと判明したには、息子と娘よ、こんなふうに動いておくれ」と伝えておく必要があるということです。
●カルテおよび検査データの入手
●セカンドオピニオン外来の段取り(取り扱い症例数の多い医療機関・医師の抽出と予約手続き)
●セカンドオピニオン外来診察の立会い
●サードオピニオン外来の段取り(取り扱い症例数の多い医療機関・医師の抽出と予約手続き)
●サードオピニオン外来診察の立会い
●治療方針の比較検討と決定支援(医者との相性は特に重要)
●治療医療機関との折衝、または、他医療機関の選定
●転医先医療機関の外来初診への立会い
●治療方針説明への立会い
●転医先医療機関との入院手続き
気をつけるべきは、セカンドオピニオンの医者を、まちがっても主治医に紹介してもらってはいけないということです。主治医と懇意の医者なんかを紹介されたのでは、セカンドオピニオンの意味がありません。医師会の仲間や医局の先輩から紹介されてきた患者に対して、主治医の所見と異なる見解を語る医師なんぞ、いるはずがありません。医療の世界とはそういうところなのです。
セカンドオピニオン外来をどこの病院の何という医者に頼むのか。これは自ら情報収集をして選定しなければなりません。基本的には、インターネットで「病名 症例数ランキング 最新」で検索し、上位にきた病院のサイトに入ります。そして、症例数が多かったり、論文数が多かったり、メディア露出が多かったりする医者のフルネームを控えます。そんな作業を5件程度繰り返して、ターゲットを2つに絞ります。なお、セカンドオピニオンを受けるために必要な手続き(受診方法、予約、費用、診察時間、必要な書類など)については、すべて当該病院のサイトに記載されています。これを熟読して理解しておくようにしてください。
その上で、現在の担当医に、セカンドオピニオンを受けたいと考えていることを伝え、紹介状(診療情報提供書)や、血液検査や病理検査・病理診断などの記録、CTやMRIなどの画像検査結果やフィルムを準備してもらいます。現在かかっている医療機関からの資料は、セカンドオピニオン外来を受診する際に、患者の状態を客観的に評価し、適切な助言を伝えるために非常に重要な情報です。これなしに、他の医者の所見を聴くことはできません。
併せて、担当医の所見(ファーストオピニオン)を十分に理解しておくことが大切です。
ファーストオピニオンで、「自分の病状、進行度、なぜその治療法を勧めるのか」などについて理解しておかないと、セカンドオピニオン・サードオピニオンを受診しても、最終的な治療法を選択するときに比較ができません。むしろ、セカンドオピニオンを受けても、かえって混乱してしまうだけです。現在の担当医の説明とこれまでの検査結果をきちんと理解しておくことが不可欠なのです。
さて、たまにこんな質問を受けることがあります。「セカンドオピニオンを受けたいなどと言ったら、現在の医者が不快な思いをするのではないか」。10年くらい前までは結構いたものです、そういう医者が。しかし、今日では99%ありえません。もしもネガティブな反応をする医者がいたとしたら、そもそも一刻も早く、そんな医者からにはサヨナラをすべきです。医者の気持ちのことよりも、患者本人のことのほうがよっぽど重要です。何と言っても命がかかっているのですからね。悔いが残らないようにしてください。
必要な書類を揃えたら、セカンドオピニオン外来の予約申請に入ります。アポイントは、メールでのやりとりが基本です。まずは病院側から事前提出書類(カルテおよび検査データ等)について連絡メールが来ます。これらを用意して郵送した後に、受診日時がメールで送られてきます。病気の種類にもよりますが、一般的なものであれば、概ね、2週間から3週間後になると思います。
セカンドオピニオンを受けるにあたっては、自分の病気の経過と、受診時に伝えたいこと・質問したいことを整理しメモしておくと、限られた時間を有効に使えます。できるだけひとりではなく信頼できる人に同行してもらうことをお奨めします。なお、セカンドオピニオン外来は、基本的に公的医療保険が適用されない自費診療となります。病院によって、担当医の役職によって費用が異なる点は注意を要します。概ね、3万円から5万円と思っておいてください。
セカンドオピニオンを受けた後ですが、結果的に、病気や治療方針に係る考え方がどう変化したのか、しなかったのか。もう一度、現在の担当医に報告した上で、これからの治療法について再度相談するのが理想です。もちろん、その担当医との相性が悪くてセカンドオピニオンを受診したのであれば、事務的に「●●病院で治療を受けることにしました。引継ぎの手続きをお願いします」とだけ言えば済みます。セカンドオピニオンの結果、セカンドオピニオン先の病院で治療を受けることになった場合には、あらためてこれまでの治療内容や経過などを紹介状などで引き継ぐのが一般的なのです。心理的抵抗があるのであれば、お子さんに同行してもらうようにします。
いかがでしょうか。おそらく、面倒くさいなぁ~とお感じになられると思います。そうです。とても厄介な作業なのです。となれば、高齢の方がひとりで取り組むのは現実的ではありません。どうしても、お子さんの手助けが必要になってきます。もう、おわかりですね。がんに限らず、何かしらの疾病で手術をオファーされた場合には、セカンドオピニオンに係るサポート依頼を事前に予告しておいてあげることです。だって、仕事を休んだり、家を抜け出したりしなければならないわけですからね。
セカンドオピニオン・サードオピニオンの段取り、主治医との折衝、セカンドオピニオン受診時の立会い、治療法と治療医療機関の選定…。実質的に1週間程度は必要です。交通費も含めて、20万円から30万円程度は渡してあげたいところです。
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