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仕事と育児・介護の両立を支援する改正育児・介護休業法が24日、参院本会議で自民、公明、立憲民主各党などの賛成多数で可決、成立しました。来年4月以降に施行されます。

介護について言えば、介護離職者を減らすため、40歳以上の従業員に対して国の支援制度を周知徹底させる。家族に介護が必要になった場合に制度利用するかどうか、会社側は個別に意向を確認しなければならない…のだそうです。あわせて、家庭の事情によってキャリア形成が妨げられないように指導する…。育児と比べると、あいもかわらぬ漠然感がいっぱいです。っていうか、これまでとどこがどう違ったのか、正直わかりません。

いわゆる労働政策に詳しい有識者、第一生命経済研究所の的場康子氏はは、「育児や介護の経験もキャリアにとって大事な要素だ」と指摘した上で、企業に対し、「男性もテレワーク等を利用できるよう働き方を変える工夫をしなければいけない」と訴えています。はあ?
育児はともかく、介護がキャリア形成に重要? まったくもって理解に苦しみます!

性差なく、育児と仕事は両立努力が必要でしょうが、介護と仕事はちょっと違います。例え両立しようと努めても、そうすればそうするほど、仕事と家庭に支障が出てきます。介護される側も介護する側も、そんなことは望んでいません。そもそも、仕事と介護の両立など不可能だと、私は断言します。仕事や家庭を犠牲にしない限り。介護というのは仕事と両立すべきものではなく、仕事から遮断すべきものなのです。会社サイドには、遮断できる労務環境と体制を整備することが求められます。

さて、ここにすばらしい会社があります。人の替えが利かないとされる、製造業の会社です。全社アンケートを行って、全社員の約1割が介護問題を抱えていることがわかると、同社はさらに深掘りします。その結果、社員の殆どが「親に何かがあったとしても、できれば職場を離れたくない」と希望していることがわかったのです。

介護休業制度では、親ひとりにつき最大93日、通常賃金の67%をもらいながら仕事を休むことができます。しかし、仮に3ヶ月間をもってしても解決困難な問題が、「予算内で賄える施設の確保」・「精神病棟の確保」・「財産管理および財産早計の手続き」であることがわかったのです。

いくら専用の相談窓口を用意したところで、話を聴いてもらえるだけであれば、地域の公的機関と何ら変わりません。結局は、社員が会社を休まざるを得ないわけです。そこで同社では、門外漢には対応がむずかしい医療や介護や財産まわりの面倒な作業を、社員の代わりに行ってくれる専門家を探し回りました。その甲斐あって一昨年からは、社員のみならず配偶者も双方の親御さんもが24時間365日なんでも気軽に相談できて、加えて実務代行までカバーしてくれて、さらに、老いの諸問題に係るリスクヘッジまで啓発教育してくれる…。そんな労務インフラを整えることができました。9割以上の社員が望む、親のことで仕事を離れなくていい職場ができあがったのです。

この施策によって社員満足が上がり、社内起点で企業イメージが上がり、中期的には採用のアドバンテージとか、株価の上昇とかも期待できる可能性があります。ちなみに、同社の昨年度の介護離職者はゼロです。

さいごに、実務代行してくれる主な内容をご紹介しておきましょう。

★居宅介護支援事業者の選定
★家事代行サービス事業者の選定
★予算と条件に見合う介護施設の選定
★精神科病棟の確保
★一般入院病棟の確保
★セカンドオピニオン受診先の選定
★症例数の多い専門医の選定
★財産承継スキームの策定
★財産承継関連文書の策定
★葬儀社の選定
*公文書の取得(別途費用)

もちろん、これら以外でも対応可能となっています。なお、オンサイトでの実務代行には別途費用が必要ですが、ビジネスケアラーたちにとって、作業負担が大きくストレスが嵩む折衝ごとを担ってくれるコンシェルジュのような存在は有用ではないでしょうか。

こうした実効性のある介護離職対策を講じてくれる企業が増えていき、ビジネスケアラーおよび介護離職者が減少に転じることを願ってやみません…。


https://www.minnanokaigo.com/news/special/hiroshiyamazaki/

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