【終活110番039】おカネを渡すなら死後よりも生前

私は、現在の仕事に就いてから20年間、一貫して、四捨五入百世代(50歳以上)にもなったら、いつ何が起きるかわからないので、一刻も早くそなえるべきだと繰り返してきました。そして、そなえるべき事柄の中でも特に重要なのがおカネの問題です。子どもたちにいくらぐらいの財産を残すのか。もちろん、残さないという価値観もありますが、円滑な老後や納得いく老後のためには子どものサポートが不可欠である以上、依頼事項に係るコスト相当分くらいは渡してあげるのが筋だと思います。

親子関係が良好、あるいは、親側にお子さんへの思い入れが強い場合には、やはりできるだけ多くのおカネを残してあげたいと考える親世代が多いのではないでしょうか。そういう人たちに対しては、生前相続がお奨めです。要は、元気なうちからおカネを渡してあげるのです。そのほうがお子さんだってうれしいし、親への感謝の気持ちも大きいはずです。もちろん、親に対する態度や接し方にも、ふつうは感謝の気持ちが投影されることでしょう。つまり、過酷な現代を生きる若い世代にとっては、親がなくなる云十年後のことよりも、今が重要なのです。未来のおカネよりも今のおカネに価値があるのです。

なので、自分が描くエンディングまでの道のりを実現させようと思うのなら、早くからお子さんにもその気になってもらうほうがいいのです。その気になってもらうためには、おカネを前払いしたほうが絶対にいい。理由は、お子さんの側に、親の老後を支えようという覚悟が定まるからです。

あとはおカネの渡し方です。理想的なのは、経済的に余裕がある場合には、50歳の時点から、少しずつ財産を引き継いでいくことです。そうすれば、暦年贈与だけでも、65歳までに1,500万円ほど自分名義の予算を減らすことが可能です。

教育資金、生活資金、結婚資金、マイホーム資金、生命保険。これらをうまく使いながら、生きているうちに、ボケてしまう前に渡し切ってしまうのがいいと思います。その際に、ムダな贈与税を払いたくないというのは当然でしょう。非課税が適用される贈与の仕方はいろいろあります。ですが、手続き的に面倒なこともまた事実です。

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