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まさかは突然やってくる
まさかは必ずやってくる
親のまさかは子のまさか

50歳になった頃から、折にふれ、『まさかの三原則』という話をしてきました。その上で、『四捨五入百世代は即刻そなえるべき』と提唱し続けています。

若年性アルツハイマーの人(65歳未満の認知症罹患者)は、推定10万人。織田信長が好んだ『敦盛』の一節(人間五十年、夢幻の如く也)ではありませんが、この年齢になったら、明日の朝、今日と同じように目を覚ますとは限りません。健康上の問題のみならず、事故や事件に巻き込まれたり、天災に見舞われたり…。さまざまなリスクを抱えながら、私たちは生きています。

こんなお話をすると、ほぼすべての人が頷いてくれますが、実際にそなえる人はまずいません。そなえ方がわからないこともあるでしょうが、基本的に、積極的には考えたくないテーマなのだと思います。

でも、本人はそれでもかまわないのですが、もしも愛する誰かがいるのだとしたら、その人のためにこそ、そなえておかねばなりません。冒頭の『まさかの三原則』には、そんな意味が込められています。

Happiness loves preparation.  幸せはそなえを好む……ということです。

さて、自治会や老人クラブなどでお話しさせていただく中で、特に好評な演題に、2015年からはじめた『老後の十戒』というのがあります。少しずつアレンジを加え、つい先日は、診療所の待合いで『老後の十戒2023』と題して披露してきました。以下がその内容です。

①死ぬべからず
とにかく、まずは生きよう。そういうことです。いのちあればこその薔薇色の人生です。

②呆けるべからず
認知症…。できればならないほうがいい。それが本音です。そのためにも、自分が信じる対策を講ずるべきです。私の場合は、意識的に頭と手足と心を使うことを心がけています。

③依らしむべからず
薬漬け、検査漬け、高齢になってからの手術。いわゆる過剰医療とは距離を置いたほうがいいかもしれません。適度な距離感が大切です。

④怠けるべからず
リモコンひとつあれば、何でも事足りるほど便利な世の中になりました。でもそれは、万病のもとと知っておきたいところです。

⑤籠るべからず
外に出ましょう。街に出ましょう。この世界がどんなに美しく、驚きに満ちているか。人生がどんなに素晴らしいものなのか。五感で感じることができれば、おのずと孤独死や孤立死のリスクが減るはずです。

⑥驕るべからず
謙虚であることです。実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな、です。「今の若い人たちは…」は禁句です。

⑦ケチるべからず
煩悩に執着するのはやめましょう。天国におカネは持っていけません。老い先の支援と引き換えに、大切な誰かにおカネは先に渡すこと。これが幸せな老後の源泉だと思います。

⑧すねるべからず
前を向きましょう。まずは、「でもぉ~」「だってぇ~」「ど~せ私なんか」の3Dをやめる。まわりから嫌われるのは百害あって一利なしです。

⑨信ずるべからず
偏重報道、建前情報、悲観情報を煽るくだらないテレビは観ないに越したことはありません。スポンサー命のマスメディアに惑わされないよう意識しましょう。そんな時間があるのなら、本を読んだり、音楽を聴いたり、絵画を観たり、大切なひととの会話を楽しむことです。

⑩流すべからず
限りある時間を価値あるものにするために、日々漫然と過ごすのはもったいない。即刻やめましょう。そなえあれば憂いなし。常に目標を掲げ、その実現に向けて準備しましょう。


いかがでしたか?

さいごに番外編をひとつ。
枯れるべからず。

心に潤いをたたえ、まちがっても、ボロ雑巾みたいなお婆さん・お爺さんにならないことです。現代を生きる私たちにとって、最大のリスクは(感染症もあるかもしれませんが)認知症です。そのためにも、恋せよ愛せよそして生きよ、です。

恋すりゃボケてる暇はない!


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