介護地獄から脱出するための7つのステップその3「認知症病棟に入院する」

誰でもできる介護地獄から脱出するための7つのステップ…。           ステップ3です。

これまでの経験則から、医療相談室のMSWとの折衝がうまくいけば、一週間以内にあなたのもとへ、具体的な入院日程の連絡が入るはずです。もう、あと一歩のところまで来ています。

ところで、多くの場合、認知症の本人は、はじめは入院などイヤだと駄々をこねるものです。しかし、ここは心を鬼にして、とにかく前に進みます。入院当日というのは、だいたいは外来診察から入院病棟へと引き継がれていくものです。あなたが保護入院の手続き(この書面は直系のお子さんの捺印が必要。これだけは、私どもで代行できません)を行うのと並行して、本人は診察室に入るや薬で眠らされ、移動式寝台で病棟へ運ばれます。あなたもそれに付き添う形で認知症病棟に随行します。入院病棟では、医療相談室のMSWとはまた別の相談員なる職員が登場してきます。そして、入院やら面会やらに係るルールの説明等がなされた後、あなたはこんな質問をされるはずです。

「通常、認知症病棟への入院は、2カ月から3ヵ月となっています。退院後の具体的なことは、何か考えていらっしゃいますか?」

ここであなたは、こう答えるようにしてください。

「はい。やはり、自宅で一緒にということは無理があると思いますので、老人ホームかグループホームを早速さがしはじめるつもりです。できればこの近くで、どこか良いところがあれば教えていただけると助かります」

つまり、「早急に終のすみかを探して、なるべく早く病院を出ていきますよ」というポーズを示すことが重要なのです。病院というのは、ある患者に3ヵ月以上、居座り続けられると収益が落ちてくるので、どんどんベッドを回転させたいのです。

とは言っても、業務の特性上、嫌がる患者を力づくで追い出すこともできないので、規定の在院日数できっちりと退院する方向で動いてくれそうな家族には好感を持つわけです。

まちがっても、「できれば、可能な限り、1日でも長く入院させておいてほしい」などと言ってはダメです。口が裂けても、です。いくら本音はそうであっても、です。いくらあなたが「正直」をポリシーとして生きてきたとしても、です。

入院待ちの患者がうじゃうじゃいます。病院にとって望ましい新規の患者と入れ替えに退院勧告を受けるのは、やはり、扱いづらい患者や家族なのです。

「もちろん3ヵ月で出ますよぉ~」オーラを漂わせること。これが大切なのです。

あと、ひとつだけ。いくら問題行動を伴う認知症を発症したからといっても、やはり、あなたを産んで育ててくれた大切なお父さん(お母さん)です。入院直後は、どうして過ごしているかと思いを巡らせてしまうものです。そこで多くの方は間髪入れずに様子を見にお見舞いに出向くわけです。

しかし、入院生活という新しい環境に慣れようとしている途上で息子や娘と面会してしまうと、突如、「わたしもうちに帰る! もうこんなところはイヤっ!」となってしまう可能性があります。そうなったら、病院の職員にとっても厄介なわけです。

なので、ここはグッとこらえて、入院後、10日から2週間程度は面会に行かないのが得策です。それ以降の面会は、お父さん(お母さん)はすでに入院生活に適応している確率が高いです。「家に帰りたい症候群」は収まっているので好きなお菓子でも持って行ってさしあげるといいと思います。

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